そっと、ふくらむ

こんにちは!MAMEHICO東京スタッフの前島由紀です。
今日は、私たちが毎日焼いているマフィンについてお話しします。

MAMEHICOのマフィンは、見た目こそ素朴ですが、驚くほど繊細なお菓子です。
粉をふるい、卵を割り、バターを合わせ、生地の状態を確かめながら混ぜていく。
その日の気温や湿度によっても仕上がりが変わるため、毎回、生地の表情を見ながら焼き加減を微調整しています。
混ぜ方ひとつ、手の加減ひとつで仕上がりが変わる。
それは、私たちが日々焼いてきたジェノワーズ(スポンジケーキ)と同じです。

材料は卵・砂糖・粉というごく基本的な組み合わせ。
けれど、その“基本”をどう扱うかで、仕上がりの軽さや口どけがまるで違ってきます。
泡をつぶさないように混ぜること。
でも、甘さや香りを引き出すためには、ある程度の力も必要。

お菓子づくりは、理屈だけでも感覚だけでもだめで、その中間を見つける仕事です。
「この子(生地)が、膨らんでね〜って思いながら、そーっとね。」
そんな気持ちで手を動かす瞬間があります。
でも同時に、混ぜる回数を数え、温度を記録し、同じ仕上がりを再現する冷静さも欠かせません。
優しさと精度、その両方があってはじめて、MAMEHICOの味になります。

オーブンに入れてからも、最後の瞬間まで目を離しません。
色づき、香り、焼きの具合。わずか数十秒で全てが変わってしまうからです。
焼き上がった瞬間、厨房いっぱいに広がる香ばしい香り。
バターと小麦がふくらんだ空気に混ざり合い、その日の仕事が報われるような静かな充実感があります。

MAMEHICOのマフィンは、派手さはありません。
けれど、一つひとつの工程をていねいに積み重ねることで、やさしく、しっとりとした味わいが生まれます。
毎日焼きながら、「これがMAMEHICOの味だ」と確かめています。