神戸・御影の住吉川を、一谷さんと共に海から上流へと歩く散歩です。
御影は酒づくりで知られていますが、かつては素麺づくりも盛んでした。
どちらにも不可欠だったのが「水車」です。六甲の山から一気に流れ下る水の勢いが水車を回し、米を磨き、小麦を挽きました。最盛期には、住吉川に八十八の水車が並んでいたといわれます。お酒のまろやかさも、素麺のしなやかさも、この水の力によって生まれていました。
川沿いには季節の草花がさりげなく咲いています。見過ごしてしまうような小さなものほど、立ち止まって見ると可憐です。この「道草散歩」は、そうした一瞬に気づく時間を大切にしています。
途中で白鶴美術館に立ち寄ります。重厚な建物と御影石が、この土地の歴史を静かに物語っています。
さらに上流へ進むと、かつての水車跡が残っています。石垣や水路がそのまま残り、この町の産業がここで育ってきたことが実感できます。
御影は、山・川・海がすぐそばにある場所です。自然の力を受けとめ、その流れを手仕事に活かして暮らしてきました。
道草散歩では、摘んだ草花を店に持ち帰って生けます。歩いて感じた風景が、そのまま手の中に残ります。
どうぞご一緒に、ゆっくり歩きながら確かめてみてください。



