いちごの香りの記憶

こんにちは。MAMEHICO東京スタッフの飯塚友美です。

クリスマスを皮切りに、いちごの季節が終わるまで。 
MAMEHICOでは毎年、苺のショートケーキをお作りしています。 
このショートケーキについては、どうしても書いておきたい思い出があって。 
少し長くなりますが、お付き合いください。

私がMAMEHICOで働き始めて、1年目のクリスマスの日のこと。 
クリスマスケーキやローストチキンは、料理が得意な先輩が、早朝から夜中まで、たくさんのご注文に向き合いながら、ほとんど休まずに作っていました。 
私も、先輩ほどではありませんでしたが、朝から夜までホールに立ち、MAMEHICOで過ごすことを楽しみに来てくれるお客さんをお迎えしていました。 
ケーキやチキンを横目に見ながら、「おいしそうだなぁ。どんな味なんだろう」と、何度も思っていたのを覚えています。

そのときは23時閉店。 
お店を閉めて、お客さんを全員お見送りすると、店の電話が鳴りました。
三軒茶屋店から招集がかかり、渋谷店で働いていた私たちも全員で移動しました。

なんの呼び出しだろうと思いながら駆けつけると、井川さんがスタッフ全員分のクリスマスディナーを用意してくれていました。 
お酒が飲めないスタッフが多いので、シャンパンの代わりに、ワイングラスにはソーダ水。 
蝋燭を灯したなかで光るクリスマスツリーと、美味しい料理、みんなの笑顔。 
一日中働いた体に、じんわり染みわたる時間でした。

そして、ひとしきりご飯を食べ終わったあと、その日ずっと気になっていたショートケーキが目の前に現れました。
お客さまの分だけでも十分な量なのに、先輩は私たちの分まで作ってくれていたのです。
それだけでも嬉しかったのに、一口食べると、今まで食べたことのない美味しさでびっくり。 
気づいたら、お皿はすっかり空になっていました。

あとから先輩が、美味しさの理由を教えてくれました。 
中に挟んであるのは、苺を煮詰めてピューレにし、純生クリームと合わせた苺クリーム。
ふわっと苺が香って、きゅっとした酸味があり、生クリームの重たさが残りません。 
ショートケーキって、こんなに軽く食べられるんだと、そのとき初めて思いました。

それから5年後の冬、その先輩はMAMEHICOを離れました。 
経験の少ない私たちには、あの苺クリームを再現することができず、しばらくの間、プレーンの純生クリームのショートケーキを作っていました。 
クリスマスが来るたびに、気持ちが落ち着かない年が続きました。

それでも、「やっぱり、あの苺クリームのショートケーキを作りたい」と思い続けていました。 
毎年、スタッフみんなで食べるためのショートケーキを作り、そのたびに苺クリームにも挑戦しました。 
何度も「なんか違うね」と言われながら、去年、ようやく「あの日の味」にたどり着きました。

「やっぱりこっちの方が美味しいね」「これを出そうよ」 そんな声に背中を押されて、苺クリームのショートケーキが、ようやく戻ってきました。
ショートケーキがあまり得意でない方にも、一度食べてみていただけたら嬉しいです。

12/20〜苺の季節が終わるまで。 
ご注文いただいた分だけ焼いて、お渡しします。 ご予約をお待ちしております!

 

クリスマス2025
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