今週末、紫香邸で「限定で洋食屋をオープンします」のイベントをやります。
今回の目玉は、ハンバーグ。これしかない。
2月にも同じ企画でやったんだけど、そのときも、子どもも、大人も、お年寄りも、なぜか二つ返事でハンバーグを頼む。
群馬・桐生の方々は、よほどハンバーグがお好きなのかしら。
その真偽はわかりませんが、とにかく今週末もハンバーグが注文されるのは間違いない。
でも、その「ハンバーグ」。あなたね、やってみると、なかなか難しいのよ。
前回のイベントには100人以上のお客さんが来てくれて、洋食屋企画の手応えはあったんだけど、課題も残ったんです。
というのもね。厚さ2.5センチのハンバーグを中火でじっくり焼いても、ちゃんと中まで火を通すには14分もかかっちゃう。
そうなると、お客さんをかなり待たせてしまうし、どうしても表面は焦げがち。
じっくり弱火にしても、やっぱり焦げてしまう。
ハンバーグは、見た目にも味にも満足いく仕上がりにはならなかったんです。
そこで今回は、どうすればいいか、いろいろ試してみた。
まず、紫香邸のキッチン。
これはもともと家庭用の設備で、甘味処仕様。
白玉とか、あんみつのためであって、ハンバーグを焼くことなんてハナから想定してない。
火力も弱いし、何個も一度に焼けなかった。
そこで今回は、業務用コンロをどどんと導入。火力を倍増させてみた。
これで、やっと洋食屋のスタートラインに立てた感じです(甘味処です)。
さらに、加熱の方法も工夫できないかと。
フライパンで焼き色だけつけて、電子レンジで中を温めるという方法を試してみた。
2分くらいで中心温度が上がる。これはいい。
ただし、どうしてもレンジは加熱ムラが出るんですね。
それに、レンジで仕上げたハンバーグが出てくるっていうのは、なんか味気ない。
やってみたなかで、いちばん理想的だったのは、やはりフライパンで焼き目をつけて、あとはオーブンで中までじっくり火を入れる方法。
ただし三軒茶屋のMAMEHICOではそれができるけど、紫香邸にはオーブンがないから無理(だから甘味処なんだってば)。
ですからこの方法は、いまのところ使えない。
そこで考えたのが、厚さそのものを変える方法。
1.5センチくらいにすると、10分以内に焼けて、表面もきれいに仕上がることがわかった。
でも、それには肉の脂身具合がすごく関係してくる。
牛と豚の比率や、脂身の量で、焼き色も、仕上がりの姿も、全然違うことがわかったんです。
そこで信頼できる肉屋さんに頼んで、脂身の割合を変えた粗挽き肉を3種類、用意してもらいました。
脂3割のやつは、まぁジューシーでとろける。
大トロみたいで、口に入れた瞬間に溶けて美味しい。
でも、焼き上がりの高さが出ないのね。
脂が溶け出して、ぺたんとしぼんでしまうわけ。
むしろ脂1割のやつは、焼いた姿がとてもきれいで、すごく食欲をそそる立ち姿です。
だけど、食べるとちょっとパサつく、赤身が多すぎるから。
なので、最終的には1割と2割のあいだくらい──焼き姿と食感のバランスがいちばんいいところを選びました。
だけどやはり薄いより、ある程度ぽてっとしたほうが美味しそうに見えるもの。
そこでオーブンの代わりに、途中で少し水を入れて、ふたをして蒸し焼きにする方法を取ることにした。
これなら表面を焦がさず、13分くらいで中まで火が通ることがわかったから。
とまぁ、ハンバーグって、誰もが知ってる料理だけど、やってみると奥が深い。
とくに甘味処で、ハンバーグをたくさん出す方法はAIでもわからないみたいなので、なかなかムズい。
今回のハンバーグ、ボクの執念が詰まっています。
今週末、紫香邸でお出しするので、ぜひ、食べに来て。
とくに予約もいりませんので。
何度も言いますが、紫香邸は甘味処です。

2025.6.7&8
銀座洋食屋
MAMEHICO桐生・紫香邸にて