ー新しいお店を作る時は演出、覚書を書くそうですが、それはどうやって作られるのでしょうか?
クルミドコーヒーに置いてある、演出、覚書は影山くんがボクの演出、覚書にとても感銘を受けて、ポストカードにしてくれたんだと思う。
普通はパワーポイントとか、文章とかイメージとなる写真、そういうもので企画書を作ると思うんだけど、ボクの場合は基本的にはしない。
こんなイメージだったらいいな、こんな店員だったらいいなという感じで絵を描くと、イメージが想起されて、自分で頭で(PC)で考えていたものとは違う脳がパカっと開く。
その中でいいこと、悪いことがイメージされる。
ボクはそもそもカフェを作る時に、みんなが喜ぶカフェを作ってはいけないと決めている。
何かを作る時に、いいねと言われることは基本的に失敗の始まりだと思ってる。
自分のやりたいことと、世の中のいいね!の間に乖離するのは普通だと思う。
誰が見てもいいねという絵が描ける画家は幸せだけど、自分で描いた絵が個性的だったりするといいねと言ってもらいにくい。その絵を描くことが楽しいというマインドで店を作るということ。
そうしないと、みんながいいねというもの、合格点というのは必ず飽きられる。
例えば、うちのメニューの中にマメピコというのがあるんだけど、たぶん、この飲み物を出してるのは世界でうちだけ。
月にこれを飲むヒトは10人くらいしかいなくて(笑)、このメニューはなくても良くんだけど、この僅か10人はすごくマメピコが好きで、他にはないからMAMEHICOに来るんだよ。
つまり、よそと違った店を作らなきゃいけないという戦術を考えてるくせに、みんなよそと同じようにしてる。
これって戦略として間違ってない?ということ。
じゃあ、よそと違う、値段も他所よりは高いお店を作るというと、高いわよと受け入れてもらえない。その時に、値段を下げてしまうと、途端によそのお店と差別化ができなくて大手のお店に飲み込まれる最初の一歩。
つまり、いろんなことをイメージして、自分がこうだったらいいなという好きなことをきちっとヒトに伝える。
ボクがいいなと思っているものを作ろうとしてるのが演出覚書です。