仕掛けるカフェになりたい

2005年、東京の三軒茶屋でマメヒコを始めた頃、3年間はほとんどお客さんは来てくれませんでした。
明けても暮れても、ただ待つばかり。
このまま潰れてしまうんだろうと、ため息の日々でした。

それから渋谷にお店を出したんですけど、そのときはさらにお客さんは来ませんでした。
店の一部の電気を落として、縮小して営業していたほどです。
電気代がもったいないことと、広い店に誰もいないと、かえって空気が悪くなるからです。

よく、辛抱のたとえとして、石の上にも三年て言うけれど、ボクの体感としては7年、いや10年は不安定なときが続いた印象です。

コロナがあって、また冷水をかけられたが、ここ数年、銀座や御影、桐生、そして糸島と、新しいところにお店をオープンすることが続いています。
それらのお店の場所は、どれも辺鄙なところにあります。
今までなら絶対に出店しない場所ばかりです。
銀座といったって、MAMEHICOはビルの10階にありますから、視認性はまったくないので、ふらっとお客さんが立ち寄ることはありません。
メンバーシップ制だから行きにくいという声もたまに聞きますけど、それはないと断言します。
メンバーシップ制だからお客さんが来ないんじゃなくて、そもそも来ないところに出しているから来ないのです。

カフェは立地の良いところに出さなければ、お客さんは来ないのです。
コンビニでさえ、立地の悪いところ、視認性の低いところには出しませんから。

MAMEHICOを始めて、改めて立地の不利を痛感しています。
それで、いままでやってきたマメヒコと違ってMAMEHICOは、待つカフェじゃなく、仕掛けるカフェにしたんです。
音楽イベントを組んでみたり、ワークショップを積極的にやってみたり、大なり小なり、色んなヒトと一緒にお店を盛り立ててやることができるカフェにしたんです。

純粋にカフェだけやるのは、これからますます難しいと思います。
材料費の高騰も続いているし、今後も下がる見通しもなさそうだし、人材は不足しっぱなし、新人を育成する余裕もない。
お店をやってるヒトは、どこもギリギリでやってる感じなんじゃないですかね?
いつの時代もどの世界にも例外的にうまくいってるヒトはいて、その例外をもって、やり方次第だというヒトはいますけどね。

ギリギリが続くと、なんのためにやってるんだろうと考えるようになるはずです。
未来に希望なんか持てなくなって、自分のことを理解してくれるヒトもいない、自分だけが頼みの綱で、その自分も疲弊して、嫌いになっていく。
そしてある朝。起きようと思ったら体が動かない。
なんのために生きてるのだろう。
朝日を受けても、ネガティブな思考が拭えない。
そこまではいかないけれど、ボクもそういう気分になることは、まれにあります。

福岡・糸島のMAMEHICOのオープン日が決まりました。
9/21です。秋分の日の前日です。
開店日から3日間はオープニングイベントをやります。
そして、イベント制作のお手伝いをしてくれるスタッフや企画を募集しています。

福岡のお店の前は海、後ろには山です。
待ってるカフェから、仕掛けられるカフェに、この機会に大きく成長したいなと日々思いながら福岡に通っているのです。

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