檸檬を絞ること

こんにちは、御影スタッフのシホです。

MAMEHICOの仕事は、基本手仕事です。

一つひとつ、自分たちの手でやっています。

例えば、檸檬を絞ることも、一個一個自分たちの手で半分にカットして、しぼり器に押し当ててやっています。

これらが檸檬ケーキなどに使われていく訳で、喫茶営業の合間に、隙をみては瓶詰めして用意しています。

ある時のことです。檸檬ケーキに使うクリームの味を店長に見てもらった時、「いつもより少し苦い気がする」と言われました。

一体何が原因なのか、自分では分からずにアドバイスを求めると、「愛が足りてないんちゃう?」と、一言。

予想打にしない抽象的なアドバイスに、思わず固まるわたし。

そこで今一度、檸檬の絞り方から見てもらうことにしました。

横に立つ店長の視線に緊張しながら、一つ、二つ、絞ってみます。

店長はその姿を見て、少し考えた後、「ちょっと場所変わって」と言いながら、檸檬を手に取り、一つ絞って見せてくれました。

その差は歴然でした。

絞り方から全然違う。私はグリグリと力一杯回していたのに対し、店長はギュッギュッと数回、軽やかに絞っていきます。

そして、絞り終わった後の檸檬を見比べてみると、店長は皮の一歩手前くらいのところで絞りをやめていて、私は皮の部分まで削れてしまっていたことがわかりました。

檸檬の苦味は皮にあります。苦味の原因は、恐らく絞り方だろうという結論に至りました。

…終わった後、店長からこんなふうに言われました。

「自分たちがやっているのは手作業なんだから、機械みたいにやっちゃダメだよ」

ドキッとしました。

絞る檸檬はどれも個体差があり、異なります。どのくらいの力加減が良いのか、一つひとつ手にとって自分たちで確かめながら、ちょうど良い塩梅で絞ることで、苦味のない、すっきり酸っぱい檸檬汁が出来ます。

手間暇がかかるかもしれない。けれど、それを使って作られたケーキや飲み物は、スッと体に馴染んでいきます。

しかし、カフェの仕事は檸檬を絞ることだけではありません。限られた時間の中で、手早くやらないといけない。

そんなプレッシャーを前に、とにかくやればいい、と自分でも気づかないうちに、心を無くしてしまっていたのかもしれない。

これが店長の言う「愛が足りてない」ということだと分かった時、深く深く、反省しました。

私たちの仕事は手仕事です。

自分たちの手でやっています。

自分の気持ち一つで味が変わってしまう、責任のある仕事。

それを改めて、身に沁みて理解しました。

MAMEHICOを信頼して来てくださったお客様の期待に応えられるように、日々、精進していきます!

(これから早春のメニューが始まり、檸檬を使ったメニューが並びます。檸檬絞りももう少し続きそうです。私も気を引き締めて、皆様のご来店をお待ちしています!)

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