こんにちは、神戸・御影スタッフのシホです。
私は6年前まで学生でしたが、その時、元弓道部の友人から「正射必中」(せいしゃひっちゅう)という言葉を教えてもらいました。
「正しく射られた矢は、必ず的に当たる」
素敵な言葉だなと、頭の片隅に残っていましたが、MAMEHICOの仕事はこの考えに通じると思います。
…店で働く時、何も分からない私に教えてくれたのは、「正しい手順でやること」でした。
例えば、定番のデザート、黒豆寒天の注文が入った時の手順はこんな感じ。
注文を聞いたら、まず盛り付けるお皿や、寒天を切るための道具、そして盛り付ける具材を用意する。
この時、盛り付ける皿の下に置くお皿は用意しないで、ギリギリまで冷やしておく。
寒天の入ったバットにかかっているラップを外し、寒天を切っていく。
長方形のバットから、2センチくらいの大きさに一列、ピーッと真っ直ぐ横に切る。
この時、真っ直ぐ横に切るように、始点と終点を見ながら、慎重かつ丁寧にヘラを入れる。
切ったら、その真ん中をまず切る。二つに切られたところから、さらに真ん中を切り…と、等分していく。
きちんと出来たら、一列で規定量になるので、ヘラをしならせながら、バットから取り出す。
皿に盛り付けたら、寒天が乾かないように、ラップを元に戻す。
次に黒豆を盛り付ける作業に入りますが…以下割愛。
この動作を、毎回同じように行うこと、と教えてもらいました。
正直「こんなところまで…!」と、手順やポイントが多すぎて、頭の中が真っ白になることもしばしば。
手順書があるわけでもないので(あったところでじっくり見る時間は無いので)周りから「使う道具、準備出来てないよ!」とその都度声をかけてもらいながら、繰り返し繰り返し、何度もやって体に覚え込ませていきます。
そうやっているうちに気づいたのは、盛り付けが終わるまでに時間がかかりすぎたり、終わった後の作業台が必要以上に汚くなるのは、決まってこの手順から逸脱した時ということでした。
味や盛り付けに正解はないけれど、手順はきっと皆んな同じように出来る。
失敗しても、そこから学んで、次はしないように気をつける。
そうやっていけば、0からのスタートであったとしても、一定の品質は担保できる。そして、お客様にも喜んでもらえて、店全体ももっと良くなる。
恐らく、そう思って先輩たちはこのことをまず最初に、教えてくれたのだと気づきました。滅茶苦茶ありがたいです。
先輩たちの動きを見ていると、流れるようにやっていて、そこにある種美しさもあり、一日でも早く近づきたいと、挑戦を続けています。
そしてこれは、モノを作る時に限らず、お客様が帰った後の空になった器を片付ける時など、色んな仕事に通じることだと感じています。
店にはたくさんの的があり、それを前にすると「ちゃんと当てなきゃ」と出来ないのに思って緊張してしまう自分がいますが、こういう時こそ正射必中。
教えてもらったことを胸に、雨の日も風の日も、姿勢はしゃんと、正していきたいです。