みなさん、こんにちは
MAMEHICOスタッフの田中朋美です。
桐生・紫香邸には3つの部屋があります。
和室が1つと洋室が2つ。
邸宅の真ん中にある和室を囲むように廊下がぐるりと1周する造りになっていて、玄関すぐ横と一番奥にそれぞれ洋室を構えています。
新しいお客さまがいらした際には、必ず全ての部屋をご案内するようにしています。
それは、どの部屋にもストーリーのような画が浮かぶからです。
私が初めて紫香邸を訪れたのは、プレオープンして間もない頃でした。
"ここは何!?
和風と洋風の要素を組み合わせた和洋折衷のデザインのバランスがなんとも絶妙…!!”
そのときから、心は掴まれていたのだと思います。
そこには私の理想的な「昭和モダン」の世界がありました。
玄関すぐそばの洋室は、まるで応接間のよう。
重厚感のあるテーブルを囲む背もたれの高い椅子。
アンティークのカップとソーサーが飾られたガラス棚と数々の額縁。
大胆に生けられた大きな花器がお客さまを歓迎します。
窓からは門扉が見え、お客さまがお見えになる様子がわかるので、本当にお出迎えをするような部屋です。
主人が客人をもてなす、ワイワイと話に花が咲く、そんな画が浮かびます。
一方、奥の洋室は、書斎のような雰囲気があります。
庭の木々を目にしながら風を感じられるように、窓際に机が2つ。
一つは、井川さんのお祖父様が実際に使われていたという立派な机が佇んでいます。
メンバーの方々が表面を丁寧に削り、見事に蘇らせてくれました。
引き出しには、桐生和紙の便箋がこっそりと忍ばせてあります。
時間を忘れて自分の世界に没頭できそうです。
当時はどんな書物を手にしていたのでしょうか。
では、和室はというと。
床の間に掛け軸、飾り障子に神棚。立派な書院造りの座敷が広がります。
種類の異なる6つのちゃぶ台があり、どこに座るかで見える景色も変わるのです。
畳から中庭に面した縁側へとつながり、四季折々の植物や石庭を眺めながら足を伸ばしてみる。
和室は、日本家屋のくつろぎの場だったに違いありません。
現代の住宅は洋室が主流になり、和室を1室設けたり、畳のスペースを設けておしゃれに伝統的な空間を維持するスタイルが多いかと思います。
しかし、紫香邸は元々昭和初期の邸宅でした。
和も洋もどちらもちょうどよく取り入れられています。
まさに「昭和モダン」そのものです。
西洋文化のモダンな生活様式を取り入れつつも、和風の美学を大切にしていたこの独特なスタイルがなんとも言えず、唯一無二に感じるからかもしれません。
当時の様子に似せて再現した、昭和モダン風のテーマパークではなく、紫香邸は「ホンモノ」。
そこがMAMEHICOなんだなぁと、ここに居られてよかったなぁと、噛み締めている日々です。
和と洋の融合から生まれた魅力的なホンモノの空間。
みなさんと一緒に手入れをしながら、大切に守りつないでいきたいものです。