和と洋を混ぜていくこと

こんにちは。MAMEHICO編集部の坂本智佳子です。

19年前に「カフエマメヒコ」として始まった三軒茶屋店は、CAFEという名前通りに、ニューヨークのカフェのような大きなテーブル、教会で使われていたアーコールチェアなど、海外の要素を強く感じるお店です。
なのに、棚には日本の骨董がいくつも並んでいます。

その理由のひとつは、コロナをきっかけに流通の問題や健康について考えたとき、日本の良いものを再発見したこと。
地粉を使ったケーキを開発したり、地元の朝採り野菜を積極的に使ったり、玄米ごはんのわっぱ弁当を作ったり。
和洋を分けることなく、折衷することになりました。
特に、その時期に生まれたメンバーシップ制の「MAMEHICO」のお店には、和と洋が混じった核があります。

もうひとつの理由は、日本の良いものを再発見していくなかで、MAMEHICO紫香邸の建物の持ち主とのご縁があったこと。
その建物は、築90年の立派な日本家屋。
財閥出身の方が住んだ後、骨董商の手に渡り、骨董のお店として使われていました。
MAMEHICOが、建物と一緒に、実用的な骨董を受け継いで、三軒茶屋店、MAMEHICO全店へその骨董を散りばめた、ということです。

例えば、MAMEHICO神戸・御影では、飲み物を飲むための器は、江戸〜明治の「猪口(ちょこ)」です。
猪口ならたくさんあるからカフェで使えるね、と骨董屋さんは言いました。
でも、大きさがある程度は揃っていないとカフェでは使えないのです。
その骨董屋さんが集めたものはたくさんありましたが、大きさを揃えるとなると、数が揃わず、骨董市に足を運んで、必死でかき集めていたことを思い出します。

いざ収集した猪口を並べてみれば圧巻!
染付の青色だけみても、色の具合が違うのが分かります。
紺を含んだ暗めの青、しっとりとした青、ぎらっとした浮き出る感じがする青、鮮やかな青・・・江戸から明治にかけて、顔料の違いで色の印象が異なります。
この猪口を大切に使い続けることは、時間がつくり出す変化を愛でること。
珈琲を提供するときにも猪口をご用意していますが、実に日本的です。

「猪口」というと、現代では「そば猪口」なんて名前が付いていますが、もともとは今ほど用途が決められているわけではありませんでした。
湯呑として使ったり、小鉢としておかずを盛り付けたりする小さな器のことで、とても身近な雑器でした。
機能性の高さといい、用途を決めないおおらかさといい、100年以上前の日本人の暮らしは、本当にサステナブル!

実際、ポットに入った飲みものを、猪口に注いで飲んでいると、かわいさを感じると同時に、かなり実用的だなと感じます。
あつあつの珈琲も、猪口に半分くらい入れて飲めば冷めやすく、猫舌でも安心。
背が低いので、倒れにくいのも良いのです。

骨董を使ってみると知る、過去の日本文化や知恵。
これらを尊重しつつ、現代にも溶け込むように折衷を考えて、未来にも繋げていけるようにする。
CAFEが骨董を扱う意味は、そういうことなんだろうなぁと考えています。

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