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PUBLIC DEBATE 05 / REAL

偽物ではなく本物を

第五回 | 番外編
偽物ではなく本物を

番外編。ミルク、シロップ、本物と偽物の話。アイスコーヒーの脇に並ぶ一さじが、何でできているかを問い直します。

アイコの主張

微糖派

本物のクリームなら、もうひとつ別の顔が見える。

喫茶店で出てくる、あの小さなポーションのフレッシュ。あれが何でできているか、知っていますか。

答えを先に言うと、じつは、ミルクじゃないんです。

「フレッシュ」とか「コーヒーミルク」と呼ばれていて、いかにも、しぼりたての生クリームみたいな名前ですよね。でも中身の多くは、植物からとった油に、水と、混ざりをよくする添加物を足して、ミルクに似た見た目と口あたりに作ったもの。乳の成分は、ほとんど入っていないことが多いんです。だから、いくら入れても、本物のミルクのコクや、あの乳くさいような香りは、なかなか出てこない。

本物のミルクや生クリームは、すぐ傷む。常温に置いておけない。でも、植物の油で作ったフレッシュなら、夏でも常温の棚に積んでおける。日持ちする。安く、たくさん配れる。便利だから、喫茶店のテーブルに当たり前のように並ぶようになった。

偽物ではなく本物を アイコの主張

MAMEHICOは、それを置いていないんです。代わりに、本物の生クリームか、本物の牛乳を選べます。アイスコーヒーに本物の生クリームをひとさじ落とすと、苦味の角に、まるいコクがのって、香りがふっとやわらぐ。重たくなるんじゃなくて、深くなる、という感じ。牛乳なら、もっと軽くて、やさしい。すっと混ざって、毎日でも飲めるような顔になる。どちらも本物だから、ちゃんとミルクの味が返ってくるんですね。

ひとつ言っておきたいのは、アイスコーヒーにミルクを入れたものとアイスカフェオレとは、まったく別の飲みものだ、ということ。

クリームを足すのは邪道だ、なんて、思わなくていいんです。植物の油のまがい物を入れるなら、せっかくの一杯がもったいない、というのはわかる。でも、本物のクリームなら、話が別。それは香りを消すんじゃなくて、アイスコーヒーの、もうひとつ別の顔を見せてくれます。

偽物ではなく本物を アイコの主張

レイコの主張

無糖派

決めるのは、淹れた店ではなく、飲むヒトの方。

ずっと「砂糖はいらない」と言ってきた者が、こんなことを言うのは変かもしれません。でも——MAMEHICOのシロップなら、入れてほしいんです。

答えを先に言うと、それが本物の砂糖でできているからです。深い鍋に砂糖と水を入れて、火にかけて、ゆっくりかき混ぜながら煮溶かしていく。湯気の向こうで、砂糖がとろりと透きとおったシロップに変わっていく。それを冷まして、アイスコーヒーに添える。手間も時間もかかるけれど、MAMEHICOのシロップは、まぎれもなく本物の砂糖でできているんです。

偽物ではなく本物を レイコの主張

本場アメリカのコカ・コーラも、もとは本物のサトウキビの砂糖で作られていました。それが1980年代、政府の補助金などで安くなった果糖ブドウ糖液糖に切り替わった。ちょうど日本の喫茶店がガムシロップに変わっていったのと、同じ頃ですね。世界のあちこちで、同じ置き換えが起きていたわけです。ところが、近ごろ揺り戻しがありました。アメリカのトランプ大統領が、コーラに本物のサトウキビの砂糖を使ってほしい、そのほうが味がいい、と言い出して、ちょっとした話題になった。じっさい、メキシコで作られるコーラはいまも本物の砂糖を使っていて、そちらのほうがうまいと、わざわざ取り寄せるヒトがいるくらいなんです。

無糖を頼むとシロップは添えて出てきます。だから、自分で量を加減できる。ほんのひとさじでもいいし、いらなければ入れなくていい。決めるのは、淹れた店じゃなくて、飲むヒトのほうなんです。

偽物ではなく本物を レイコの主張