赤いベンガラを塗る

何年か前に岡山の吹屋という街が好きで、よく旅行で泊まりに行ってました。
そこは家々の木材がすべてベンガラで塗ってある赤い街です。

いま福岡の糸島にMAMEHICOを作っているんですが、そのときの記憶があって、要所に赤を配置したいと思っています。
木材を赤く塗りたいと思っていて、その塗料はベンガラを使った「赤」にしたい。

ところでみなさん、ベンガラってご存知です?
ベンガラとは赤い顔料のことで、日本では江戸時代にインドのベンガル地方から輸入してたので「ベンガラ、弁柄」と呼ばれた。

「赤」といっても、漢字では「朱・紅・緋」があります。
これみんな「明(アカ)」が語源です。
お祝い事に欠かせない御赤飯に使う小豆も「アズキ」、「明(ア)」と早く軟らかくなる「ズキ」が語源です。

ところで「赤」って、なんで強い意味を持つんでしょうか。
それは、太陽の赤、血の赤、つまり命の赤だからだろうと思うんですね。

古代では、処女の女性が米を口のなかで噛み唾液と合わせて発酵させ酒を作った。
それは女性の体内菌が生命力を持っていると知っていたからだという話があります。
その命のもとである発酵酒を、神にささげ、そのお下がりを村の人々がいただき、健康を維持してきたり、違う考えでも諍いが起きないよう村をまとめたりするのに利用してきたんだと。
その口噛み酒を注ぐ酒器が「赤い漆」です。
赤い漆は、女性の色、子宮の色です。

九州の熊本では「阿蘇黄土」という土が採れるんだそうです。
これは鉄を多く含む土。
鉄が酸化すると赤い色の素になるんですね。

邪馬台国の女王だった卑弥呼は、魏に献上品として「丹」を送ったと文献に残っている。
「丹」ていうのは阿蘇黄土から精製したベンガラのことです。
糸島のお店も、この阿蘇のベンガラを使って塗る予定です。

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