神戸美食会~街角のコロッケ 

1990年の春、新婚時代は灘区に住んでいました。
阪急王子公園駅の東側で水道筋商店街がある買い物に便利な場所。
肉屋の店先で揚げてくれたコロッケやメンチカツをほおばりながらぶらぶら歩きするのが休日の楽しみでした。

ラードで揚げたコロッケは旨味たっぷり、メインディッシュとしても良く登場したものです。
出来上がって網に並んでいるのはまとめ買いのお客用。

「いま食べるん?」
「うん」
「ちょっと待っとって。揚げたて持って行きーや」
「あ、奥さんメンチ5枚できてますー」
「そこ触ったらヤケドすんで!気ィーつけや」

などなど。
ジュワッと音を立てていい具合に色づくコロッケを見守るところから美味しさが始まっています。
この実演販売が人気の秘密であるのは間違いありません。

ところで。
MAMEHICO神戸・御影のある場所にかつて出店していたのが、今や全国のデパ地下を席巻しているRF1(アールエフワン)を経営するロック・フィールド。

社長が岩田さん。御影ガーデンシティがオープンした1978年に高級総菜店(ガストロノミ)を出店したそうです。
当時高校生だった私には全く縁がない存在でしたが。
そして1989年、岩田さんが始めたのが「神戸コロッケ」。
この大ヒットで地盤を築いて1992年に誕生したのがRF1でした。ステーキで全国的ブランドになった神戸を冠したコロッケ。
いかにも巧みなネーミングだと思います。

でもやっぱり私が今でも好きなのは、あの気取らない風情の精肉店のコロッケ。
1957年創業の精肉店「水野屋」はコロッケの人気店として神戸近郊にいくつも出店があるちょっとした会社になっていますが、マーケティングとか、ブランディングとか、小賢しい作為の無い存在が本当は一番価値があるのだと思います。

幸い今でも本店は昔ながらの風情のまま営業してくれていますが、皆さんの地元には美味しいコロッケを揚げてくれるお肉屋さんはありますか?

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