桃の節句、お雛様のこと

MAMEHICOスタッフの美香です。
普段は東京の2店舗を行き来していますが、最近はそれに加えて月に何日か、桐生の紫香邸にも行きます。
そんなわけで、この週末は紫香邸にいます。

紫香邸ができて、「店内の装飾は季節ごとに変えていったらいいね」という話が出て、「雛人形を飾ろう!」となったとき、私はふと自分のお雛様のことを思い出しました。
私のお雛様は私が生まれた時に、祖父母が手作りしてくれたものなんです。

初孫の私が女の子で、男の子しかいなかった父方の祖父母(特に祖母)がそれはそれは喜んで作ってくれたんだと、物心ついてから何度も母から聞かされました。
私は「作ってもらった雛人形があるのが当たり前」という環境で育ったので、疑問も驚きも最初はなかったのですが、普通はみんな雛人形は買ってくるものなんだとわかるようになってから、その有り難さがだんだんと身に染みてきました。

それで、せっかくなので雛人形を紫香邸に飾らせてもらうことに!

一番人の目に触れる、床の間という一等地に置かせてもらい、たくさんの人に見てもらう機会ができて。
こんな日が来るなんて少し前までは全く想像もしていなかったのですが、思いが詰まっている雛人形なので、ようやく光を当てることができてよかったなぁとしみじみ思っている今日この頃です。

祖父も祖母もどちらも手先が器用な人でした。
祖父は郵政省に勤めていましたが、仕事人間という感じではなく、趣味に熱心だった印象があります。
若い頃は馬術の国体選手だったそうで家はトロフィーだらけでしたが、馬に乗らなくなってからはインドアの趣味がメインとなり、自分で作った倉庫で電気工や木工の作業をして何かを作ったり、修理したり。
祖母は洋裁を仕事にしていましたが、手作業は仕事だけに飽き足らず、趣味で折り紙、造花、人形など、様々な教室に通って技術を身に付けては作品を次々と作って人にプレゼントしたり、家中に飾ったりしていました。
そんな祖父母が作ったお雛様は、手作りと言っても信じられないくらい完成度が高いんですが、祖母が人形や細かい飾りを作り、祖父は周りの屏風や台などを作ったんだそうです。

凛とした表情と、華やかだけど派手すぎない装飾のこの雛人形のことを、私は幼い頃からすごく好きだったのに…
振り返ると祖父母にそのことを伝えたことはないし、作ってくれたことについて話題に出したことすらなかったように思います。
私が社会人になって少しした頃に祖母が亡くなり、その後を追うように数年後に祖父も亡くなったので、作る過程で何が大変だったのか?とか、どんな思いで作ってくれたのか?ということは、今更何も確かめようがありません。
もっといろんなことを聞いておけばよかったなぁと今の私は思うけど、祖父母がいた時はそんなことを思う気持ちの余裕も想像力も足りていなかったので仕方ありません。

でも。
そんな祖父母を見て育ったからか、私も小さい頃から何か作ったり、手作業をするってことがなんだか好きなんです。
私もMAMEHICOで舞台美術や小道具を作ったり、工事現場で作業したり、相変わらず手作業をしているけど、祖父母から知らず知らず受け継いだものがそうさせているんだなと今更ながらに気づいて納得(笑)。

さて、桃の節句の3月3日を迎えたので、この営業が終わったら雛人形をまた箱にしまわなきゃなぁ〜なんて思っていたんですが…
いらしていたお客さんたちとお話する中で「桐生では雛人形は4月3日まで飾るのよ」と教えてもらいました。
厳密な旧暦とも違うそうですが、桐生では旧暦の習慣が残っていてみんな4月まで飾ってるんだと星野さんも言うので、ここではそれに倣って4月3日まで飾らせてもらうことにしました。

なので、あと1ヵ月、紫香邸ではお雛様を飾っています。
紫香邸にお越しの際はぜひ見ていってください。

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