MAMEHICO福岡・糸島のできるまで 第7回

皆さんこんにちは。MAMEHICO福岡・糸島のできるまでをお伝えしていく記事の第7回ということで、今回は細部のこだわりに焦点を当ててお伝えしていきます。

筆者が取材に訪れたとき、ちょうど床塗りの作業中でした。床塗りは2回塗った後に上からコーティングを行うそうです。この床塗りの工程は、プロの業者さんではなく東京からお手伝いに来たMAMEHICOの常連さんが行いました。これはMAMEHICOが大事にしている「さまざまなヒトやモノが融合して新しいものを創り出す」の具体的実践の一環です。今回はこのMAMEHICO福岡・糸島という場所を通して、プロの職人さんの技と、素人のお手伝いさんのおもてなしの心が融合しました。

よく見ると、床はただまっすぐ板を張っているだけではなく、ところどころに色の違う同じ材木が使われ、独特の模様を生んでいますね。床板の断面には、「さね」というものが使われています。下の写真のような配置にする場合、1ヶ所ごとの材木を固定するために、1本ずつさねを作らなければなりません。何気なく見える床にも、MAMEHICOはこだわっています。また床材には杉の木の無節の無垢板を使用しています。ここも大きなこだわりの1つです。

床に寝そべって見てみると、板と板の隙間に若干の塗り残しがあるのが見つかりました。東京からお手伝いに来ている皆さんは、この塗り残しをどうやって塗ろうかと頭を悩ませていましたが、最終的には解決策を見出したようです。この塗り残し、立った状態で上から見おろしてもわかりません。床と同じ高さまで寝そべって初めて、気づけることでした。

その後、トイレに行ってみると壁が奇妙な構造をしていることに気がつきました。まっすぐの壁ではなく、ところどころ浮き出しています。こちらは既製品ですが、「呼吸する壁」というもので匂いを吸いとる性能に長けているそうです。たしかに人体の構造を考えても、まっすぐの壁よりこうやって細かい突起があって表面積が多い方が、匂いを吸い取ってくれそうですね。

店内には、土壁が使われている部分もあります。こちらの土壁をよく見てみると、横にまっすぐ線模様が走っています。こうすることで陰影が生まれ、より味わい深い壁になります。また、ところどころシワができたり、でこぼこになったりしている場所があります。左官職人さんに「きれいに塗らなくていい」とオーダーしているそうです。

こちらの壁などは、壁の中にワラのくずが残っています。壁に塗る液の中に、わかるかわからないかぐらいの量でワラくずを混ぜているのだとか。そうすることで、このように時々ワラの混ざった土壁が出来上がります。すべては偶然ですが、無機質な壁より何倍も愛着が湧くというものです。MAMEHICOは「ここに来る人が、この場所に愛着を持ってくれるためにはどうすればいいか」という考えでお店を作っています。経済効率も大事ですが、その前に「人の思い」「こだわり」があるのです。

こちらの照明、なかなかオシャレで素敵ですよね。てっきりこのままオープンするのかと思っていましたが、「これは工事用の照明で、オープンするときにはまた別の照明を使うよ」と言われ、驚きました。工事用の照明にしては、オシャレすぎませんか…? 「お店がオープンしたあとの雰囲気、明るさをイメージしやすいように工事用の照明にもこだわっている」のだそう。なるほど、たしかに工事用にまったく印象の違う照明を使ってしまうと、その先がイメージしづらいですからね…。ですがそこまでこだわるお店がいったい、どれだけあるというのでしょう。

天井付近のこだわりとしては他に、こちらの天窓があります。天窓とその横にあるお店で一番高い天井は、MAMEHICOの前にこの場所を使っていたお店では隠されていたそうです。しかしせっかくならこの一番高い天井をお客さんに見せたいということで、天井とその横の天窓が見えるように開放しました。外からの光が差し込んで、しっかり天井の奥まで見えるようになっています。

さて、MAMEHICO福岡・糸島では、カフェ入店時にお客さんが通る小屋を、これからカフェの入り口付近に作る予定です。その際、工事に使われるのはこちらの材木。皮をカンナで削っているので、大変に手間がかかっています。今ではほとんど使われていない技術なので、その技術を持っている方をわざわざ九州中からお招きしました。

いま足場が組まれているあたりに、山門(三門)を建てます。かなり大きなものが出来上がることでしょう。「阿蘇の弁柄」という赤っぽい顔料で塗り上げるため、まるで神社のような外観になるかもしれません。神社が好きな筆者としては楽しみであります。

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