MAMEHICO福岡・糸島のできるまで 第9回

皆さんこんにちは!MAMEHICO福岡・糸島のできるまでをお伝えしていく記事の第9回ということで、今回は完成に近づきつつある店内の様子に焦点を当ててお伝えしていきます。

まずはこちらのイスを見てみましょう。イスの素材には長崎のセンダンという広葉樹を使用しています。センダンは成長が早く、家具や建築用材などに使われます。調べたところ、下駄の材や仏像彫刻に使われたこともあるそうですから、面白いですね。このイスの利点は、積み重ねて収納しておくことができるところ。カフェはさまざまな用途に利用するため、いつも同じ数のイスが必要とは限りません。普段はしまっておいて、大人数が集まったときに必要分のイスを追加したり、店内で何かを催す際に邪魔になるイスを片づけたりといった作業が容易にできます。素材だけでなくイスの構造もまた、持ち運びや収納を考えたつくりになっていますね。

テーブルとイスを組み合わせると、こんな感じになります。テーブルは角が丸みを帯びているため、ぶつけてもあまり痛くありません。また表面がツルツルなので、掃除もしやすくなっています。

ふと厨房付近の台の端の方を見てみると、こんなところも滑らかな曲線を描くように仕上げられています。多くの方は見落としてしまうかもしれませんが、人が気づかないような細部までもこだわって作っていることがよくわかりますね。手で触れてみると、何とも言えない心地よさがあります。ぜひカフェを訪れた際にはさわってみてください。

ついでに、木の壁の方も見てみましょう。一枚一枚の板を見ると、どれも個性的な模様が浮き出ています。綺麗な表面が、少し光っているのがわかるでしょうか。こちらも触ってみるとすべすべしていて気持ちが良いです。このようにMAMEHICO福岡・糸島は、店内の雰囲気や人との交流、飲食だけでなくテーブルやイス、壁の手触りや温かみ、匂いといった部分も楽しんでいただけるカフェになっています。

匂いと言えば、MAMEHICO福岡・糸島の店内にはスギの木やそのほかの材木のいい匂いが漂っています。筆者の取材ノートはこれまでカフェの中に何度となく持ち込んだものですが、いつの間にかスギの木のいい匂いが染みついてしまいました(笑)。家に持って帰ってもまだ香っていて、さらに1週間経っても2週間経っても消えずに匂いが残っているから不思議です。MAMEHICO福岡・糸島をひと言で表すなら「五感のすべてを使って楽しむカフェ」といったところでしょうか。いずれにしても、とても良いカフェが出来上がりつつあることは間違いありません。

続いてこちらは店内のトイレのドアの写真。カフェの中は全体的に茶色っぽい色で統一されているのに、ここだけ真っ青な色をしているのは、アクセントをつけるため。筆者が最初にこのドアを見たときは違和感が強かったですが、次第にこのアクセントが心地よく感じられてきました。色が目立つので、トイレがどこなのか迷うことも少ないでしょう。

カフェで使うカップやお皿には、福岡県朝倉郡の「小石原焼」という焼き物を使っています。小石原焼は江戸時代に始まった、福岡の焼き物です。飛び鉋(がんな)や刷毛目(はけめ)、流し掛けといった技法が使われています。その中で飛び鉋とは、鉋の刃先を使って規則的に小さな削り目を入れていく技法のことで、鉋が当たったところに鋭い模様ができるのだそう。写真に見えるカップにも、その飛び鉋が使われていますね。

さらに「生がけ」と呼ばれる、素焼きをせず素地に直接釉薬をかけて焼き上げる技術により、素朴で温かみのある質感や手触りが出ています。小石原焼は1975年、陶磁器では日本で初めて国の伝統工芸品に認定されました。生がけによる素朴な質感と飛び鉋などで生み出される幾何学的模様によって、日常づかいの器でありながら伝統工芸品としての顔も持つ、味わい深い器です。

次回の記事では、カフェ入り口の山門についてお伝えしていく予定です。

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