麦畑を走って

麦畑が好きです。
赤く実った穂は風に揺れると、幻想的なパステルカラーの波を作ります。
5月終わりから6月初めにかけて、福岡の糸島でも、群馬の桐生周辺でも、一面に波打つ麦模様はとても美しい。

糸島の麦と群馬の麦。よーく見ると違います。
糸島の麦の半分は大麦で、ビールメーカーとの契約栽培です。
ほぼ全量がビールの原料となります。
それに比べて群馬の麦は、ほぼ小麦ですね。

日本で小麦を作り始めたのは、主に江戸時代と言われています。
一年を通じて晴天が多く降水量が少ない地域は、米の裏作として麦を作っていたわけです。
当事の大名の収入源は米ですから、麦は自分たちで食べるために、ちょこっと作っていた、って感じでしょう。
それにカラッとした地域といっても、そこは日本ですから、雨が多く、湿気が多いわけで、小麦は育ちにくい。
さらに小麦は穀が硬くて、粉にしないと食べられませんから、川の力で水車を回して製粉できる場所は、うんと限られていたはずです。
ですから、日本人は小麦を昔から食べていたという人がいるけど、主食となるほど食べていたわけじゃないよねって思うんです。

当時の日本人は、米や雑穀、芋などを食べて生活していたわけで、今のように、パン、ケーキ、サンドイッチ、ドーナツ、クッキー、中華まん、ピザ、パスタ、ラーメン、と毎日のように小麦を食べているいまの日本人は、かなり偏っているんじゃないかと思います。

日本の食文化は国際政治の影響を色濃く受けている。
自国を守る観点からも食料自給率をあげないといけないと心配するヒトたちもいます。

MAMEHICOでも、数年前から玄米を炊いて、お店で出しています。
でも相変わらずパンもサンドイッチにして出している。
パンを食べず、お米を食べよう、そういうポスターを見かけますが、一度、変わってしまった食習慣を、昔に戻すことはできません。

それは食習慣に限らず、デジタルやインターネットを知ってしまったボクらが、それがないときには戻れないし、水洗トイレ、自動車や飛行機、電子レンジ、自動洗濯機、を知ってしまったボクたちは、それがなかった頃の生活に戻ることはできないでしょう(やればできるというヒトは、どうぞおやりになってください)。

ボクは程度の問題だと考えています。
どんなものでも、ほどほどに取り入れながら、愉しく生活することが賢明でしょう。
どちらかに振り切る生活は疲れます。

ハイブリッドカーを借りて麦畑を走るこの季節は、なんとも心地よいのです。

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