プロフェッショナル

MAMEHICOではご飯といえば玄米です。
店内のドライカレーはもちろんのこと、ハレの日のイベントで作るちらし寿司でさえ、いまではすべて玄米です。
玄米に食べ慣れてしまうと、白米だと「疲れた感じになる」とスタッフが言うのでなんでもかんでも玄米です。

まず良いお米を選びます。
コシヒカリとササニシキはそれぞれ別々の所から送ってもらいます。
甘くてもっちりのコシヒカリ、香ばしくてさっぱりなのがササニシキ。
味だけじゃなく、価格や手に入れやすさなど考えてブレンドして使います。
ササニシキはいまでは生産者が少なく、とても手に入りにくいので、価格も高いのです。

炊くのは絶対に圧力鍋です。
いろいろ試して、「これ」というもので炊いています。
玄米は吸水しません。
発芽させるヒトもいますが、そういうこともしません。
洗って、すぐ炊くだけ。
吸水させて白米を炊くより圧倒的に楽です。
水加減と加熱量がきちんと合えば、間違いなく美味しい玄米が炊けます。

いまではその日の玄米を食べれば、水が少ないとか、火が足りてないとかまでわかります。
美味しく炊けたときは、プチッとした皮の弾力と、もちっとした中身の食感が混ざり合います。
玄米は美味しくないけど、健康のために食べてるなんてことは、我慢することが嫌いな性質なのでありえません。
美味しくて楽ちん、身体も軽い、だから続いているんです。

炊きたてのお米はお櫃に移します。
圧力鍋からしゃもじですくい、あらかじめ湿らせておいたお櫃に移します。
ふきんはかけません。
その代わり、湯気が落ち着くまで、蓋を完全には閉めません。
それで十分です。
炊飯器は使わないので、保温という概念はなく、炊いたお米は、お櫃のなかで少しずつ冷めていくものです。
香ばしくて甘い美味しさは冷めてこそです。

お櫃の文字は、木でできた貴重な物を入れる箱、
という意味ですから、昔のヒトは
お米は貴重だったんだなとわかります。
余った玄米は、すべて硝子の容器に入れて冷凍します。
でも炊いたばかりの玄米のほうが圧倒的に美味しいです。

お櫃は桐生で買いました。
桐生に桶屋さんが一軒だけあるのですが、その店に行くと、時間の経った大中小のお櫃や飯台が売っています。
値段も張りますが、まとめて買いました。
古いお櫃は木の香りが、いい感じに抜けているからいいのです。
ご飯にヒノキや杉の香りが強くついているのは、ちっとも好きじゃありません。

玄米に限らず、スタッフには日々の生活も、お店と同じように過ごしなさいと言います。
青菜を水に放ち、茹でて氷水に落とす。
醤油を少しかけて絞る。
こういうことをスタッフに教えて、東京でも神戸も桐生も、徹底してやってもらいます。
調理道具はきちんと場所を決めて収納させる。
コンロは見えないところまで毎日拭くように注意する。
冷蔵庫の食材は、いつも頭に入っているように心がけて放置しない。
あまり使わない調味料があれば見直して、別なものに代替えする。

結局、日々の生活がお店の作業に出るんです。
家の中は、きちんと掃除をする。
不要なものはため込まない、できるだけ身辺は簡素にしておく。
今できることは、後回しせず今やる。
小さなめんどくさいこともすべて楽しみながら、するべきことをする。
プロなんだから、そのくらいはしなさいよと言います。
カプチーノの泡の立て方がどうとか、そんなことは言いません。
そもそもカプチーノはやってないしね。

日々の小さな差異、心の機微と言ってもいい、そこに注目できるか。
それがボクたちMAMEHICOの、プロフェッショナルなところだと思っているのです。

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