ーなぜ各店には店内の中央に長テーブルの席があるんですか?
ボクがNYにいた時、Le Pain Quotidien(ル・パン・コティディアン) というベルギーのカフェの長テーブルが無垢の木で修道院みたいで印象に残っていた。
ボク自身、広くて安定した、どしんとした長テーブルが好きで、NYのカフェでもそういう長テーブルにみんな座り、見ず知らずのヒトと相席になる感覚が楽しかった。
カフェをやろうと思った時、NYと日本では何が違うのか写真を見比べると、日本のカフェはほとんど同じようなヒトたちしかいない。NYは黒人、ヒスパニック系・・・店員含めていわゆる人種のるつぼと言われるようなヒトたちがいることがボクはとてもいいなと思ったし、逆に日本のように同じようなヒトたちが固まっているのはなんとなく下品だとも思った。
なので、色んな人種のヒトたちが混じるようにしなければお店の雰囲気は下品なものになるという危惧があったので、なるべく相席の長テーブルを積極的に入れようと思った。
ところが、ボクが予想していたより、日本人は長テーブルが嫌い。自分だけの空間にしたいという想いがあるのか、長テーブルを置いているお店どこいっても、そこに座っているヒトがいない。
目立ちたくない、みんなと同じでいたいという気持ちがとても強いんだなということを、この長テーブルに座りたがらないということで感じている。
長テーブルはシンボリックでMAMEHICOらしさを表す一方で、お店を始める時はいいけど、お店をたたむ時、持っていけないので、やむ無くMAMEHICOメンバーの方に引き取ってもらったり、切り刻んでしまった。
今は三茶のお店にしか長テーブルはないけど、今も、ボクの中でお客さんと相席になる長テーブルの文化は魅力的だなと思っているので、御影も銀座もささやかではあるけど小さいテーブルをつなげて、長テーブルとして使っているわけです。