北海道でべにや長谷川商店を営み、MAMEHICOの名前にも影響を与えたという長谷川さん親子が
ゲストにいらっしゃって非常に興味深い話をうかがえた。
ここからは東京生まれ東京のサラリーマン家庭に育ち、自らもサラリーマン一筋定年間近なワタクシ。
農業の本質を理解できてない浅い物言いかと思いますが何卒ご容赦ください。
農業も商売と同じように、後継者が創業者のような熱量をもって継ぎたいとかじゃなければなかなかその業を継承していけない。
それを解決するには全国規模で合同会社や株式会社化などで事業化すればいいんじゃないかな?
若い人の就農へのハードルは低くなるし。流行りの合同会社なら決算公告必要ない。
地域を分ければリスクも分散するし、人手のやりくりもしやすいだろう。
なんか、そんなことを考えていた時期があった。
でも会社組織として経営を維持するには結局大量、安定生産が必要。
そのためにはコスト管理の徹底、完全なマニュアル化で作業を誰でもできるように単純化する。
一方供給過多になれば、市場の値段は下がる。
収穫量は天候や、病害虫によって左右されるので、今度は不足してるからといって工業製品みたいにすぐに増産できるわけじゃない。
気まぐれな自然のご機嫌をうかがいながら手間暇かける農業経営は、マニュアル化できない勘や経験が大いに役に立つ分野で、また「市場のニーズにあわせて右肩あがりに事業を拡大していくのだ…」みたいな。
正しいとされる経営とは真逆のベクトルだ。
(もちろん大量生産の農作物や、輸入食材のおかげでワタクシの食生活が彩られているので
そのことを否定するキレイごとをいうつもりはない。)
ちょっと古い話で恐縮だが、農林水産省「2020年農林業センサス」の確定値を見てみた。
4年前のデータなので、状況は変わったかもしれないが、
*雇われで就農した方は結局定着せず。
*自営農業では、高齢によるリタイアはあるとしても、若い方が農業を離れるケースも顕著。
だということだ。
なぜ離れてしまったかのデータは明確ではないが、いろんな事情で「もうやっていけねえ」と判断されて辞められたのだろうと思う。
国策としての大きな動きはもうなるようにしかならないとは思うが、では自分たちの身近になにか光明はあるんかいな?と思ったときに。
そこで、べにや長谷川商店さんのはなしに膝を打つ。
地元のおかん、おとんたちが作った在来種の豆は、コンバインなどで収穫される大規模農業とは違い5kgとか3kgとかそういう少量のため、通常の流通では引き取ってくれないケースが多いという。
乗ったとしても市場の需要原理で、安い値段しかつかない。
長谷川商店さんは、そういった農家さんから適正な価格で「直接」仕入れる。
そして消費者にその豆のおいしい食べ方の啓蒙まで含めて提供を。
そのおいしい在来種の豆は全国に届けられる。
それは決して規模は大きくはないけれど理想的な「求めて求められて」のバランス。
間にはいる長谷川さんのきめ細かい仕事ではじめて実現できることで、全国に豆ファンの人が増え、ファンの人が推していくことでこのバランスは守られていく。
結局のところ手詰まり感を打開する唯一の光明は「人」なんだろうな。
まっしぐらに自分の道を貫いてきた人のノウハウはマニュアルでは完全には引き継げない。
でも次の世代もまたまっしぐらに道を貫いていけば、また違う次元に辿り着くわけで。
(今いわれている流動的雇用などとは実は世界線レベルでなじまないよなあ。)
タイパだコスパだとかを求める「余裕のない社会」では、それぞれが道を貫くのも難しいので、自分の心もちだけでも余裕を大事にしていきたいと思う。
そんな気持ちを抱きながら、最後美味しく六マス弁当をいただいた今回の食の会。
甘く炊かれた各種豆、まだ温もりのあるかき揚げ、マリネ、豆の混ざったハンバーグ、大好きな胡麻豆腐などなど。
酸味、甘味、塩味、など、味付けの振り幅で全く飽きさせない。
これだけの手間暇かかったおかずが一同に会する 食の会のお弁当。今回もすばらしかった!