「面白い」の語源

あのね。「面白い」の語源って知ってる?教えようか?日本書紀の神話のなかにその語源が書いてあるのよ。ボクはこの神話が好きでね。「面白い」が世界を救う。
そういう、話なんだよ。
素戔嗚尊( すさのおのみこと) って神様が再三にわたって悪いことをしてた。それを見かねた天照大神(あまてらすおおみかみ)が、怒って天の岩戸を閉ざして隠れちゃった。
太陽神である天照大神が洞窟に隠れちゃったから、世界は真っ暗。極夜だね。
それでみんな困っちゃった。
そんで残された神々が、こりゃやばいから、なんとかしなくてはって考えた。なかでも知恵の神である思兼神(おもいかねのかみ)に作戦を考えてもらった。
どんな作戦かっていうとね。思兼神は口を開いた。みんなは固唾を飲んで聞き入った!!
「まず芸能の神様である天宇受売命(あめのうずめのみこと)にですね、岩戸の前に来てもらいます。そして、思い切ってえいやっと、オッパイを出してもらうんです。えぇ。思い切って。そして、できることなら、これはまぁ、ご本人の意志も確認してですが、下の方も脱いでもらっちゃう。そして岩戸の前で踊ってもらうんです」
神々はそのあまりの名案ぶりに興奮した。興奮しすぎて、鼻血を出してる神様までいる。
「それで、悲しんでいた神々は、それを見てはしゃぐのです。はしゃいで、楽しい雰囲気を醸し出す。その空気が岩戸の中に伝わっていく。
そうすればですね、あの天照大神のことですから、きっと出てくるでしょう。そのとき、丸出しの天宇受売命は、天照大神にこう言うんです。

『あら、天照大御神さん。私達がどうして楽しそうに踊っているか知りたいですか?それはね、あなたより尊い太陽神がいらっしゃったので、みんな喜んで、はしゃいで踊ってるんですよ』。
負けず嫌いの天照大神のことですから、「なにっ‼」と身を乗り出すはずです。その瞬間を狙って、岩戸の脇で待機していた力の神、天手力男神(あめのたぢからおのかみ)が、天照大神の手を取って岩戸から引きずり出すんですっ。どうです、このアイデア」

実にくだらない作戦だけどね(笑)、やってみたら成功したってわけ。
天照大神が、暗い岩戸から出てきた瞬間、神々の顔(面)がはっきりと白く光った。
この神話が、「面白い」の語源だっていうんだね。もともと神様ってのは、くだらないものなんだ。好きになっちゃうね。
(2022 年10月号)

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