こんにちは。MAMEHICO編集部の坂本智佳子です。
いま、カフエマメヒコ三軒茶屋店と、MAMEHICO神戸・御影では、骨董を販売しています。
「お手にとってご覧くださいませ」と売り文句でありますが、本当に手にとってご覧頂きたいのです。
とはいえ、割れ物を手に取りたくない気持ち、私にはとてもよく分かります。
そりゃあ、手にとって使うものであれば、実際に手にとった感覚で確かめるのが一番・・・その理由だけだと思っていたのですが、骨董について知るほど、それだけではないことに気づきました。
あくまで個人的な趣味ですけど、手にとってみたくなる見方を少しお伝えしましょう。笑
一つ目は、お皿の側面が楽しいから。
ナイフとフォークの文化でお皿を持ち上げることがない洋食器は、お皿の平面が、芸術的な絵画のよう。
正面に向き合って、眺めるのが楽しいなと感じます。
対して、お箸を使ってお皿を持ち上げる文化のある日本の骨董は、器の側面も美しいのです。
お皿を持ち上げて、くるくると回してみて文様が分かるのです。
お抹茶を頂くときに茶わんを回しますが、その意味がようやく腑に落ちました。
二つ目は、歪みが楽しいから。
特に平皿が分かりやすいのですが、お皿の表面が乱反射するのです。
完全な手作りゆえに、釉薬が均一にかかっていないことや、細かな傷などによるものです。
紫香邸の縁側の窓ガラスは、古い窓ガラスで、見える庭景色がゆらゆらと歪んだ感じがありますが、強いていえばそんな印象です。
お皿の表面で光が溜まっているようにも見える不均一さが、何とも良い味なのです。
これは実際にお皿を手にとって、傾けると分かります。
無意識であっても、この歪みは、美しさや温かさを感じる理由のひとつなのでしょう。
ちなみに、現代の工業製品の食器は、鏡のように均一に光ります。
これはこれで、完成度が高くてぴしっとした印象なのですけどね。
三つ目は、フィーリングが何より大切だから。
桐生の骨董市では「美術館では骨董は手に取れない、骨董市だったら手に取れる。目じゃなくて心で視るんだよ〜!」と呼び込みしているおじちゃんがいるのですが(笑)、本当にそうなのです。
同じようで同じじゃない。
揃いの器でも、手にとってみるとしっくりくる感じが違うのです。
手元に置いて、生活の味を染み込ませるとしたらどの器が良いか、と想像してみるのは楽しいです。
食器としての用途だけではなく、例えば染付は、花や植物とも相性が良くて、フラワーベースにもなります。
派手な色絵は、シンプルな果物や焼き菓子を引き立てます。本当に自由なのです。
三軒茶屋ではシンプルな骨董が、神戸では華やかな骨董が人気ですが、共通して置いているものもあります。
最近では、三軒茶屋の棚に並べた唐津焼の鉢の作者が、御影に並んでいる花瓶の作者と、兄弟でした。
それぞれ違うルートで手に入れたものなのですが、何だか朝鮮列島の雰囲気がある骨董が集まってきている感じがありますね。
秋にできるMAMEHICO福岡・糸島は、唐津にも伊万里にも近いので、その雰囲気がある骨董が、巡ってきてくれているのでしょうか。笑
何はともあれ、ぜひ「お手にとってご覧くださいませ」!