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測れないものを大切に

日野 沙織 2026年4月13日 空間を整える #哲学

みなさん、ごきげんよう。MAMEHICOの日野です。

最近、お店のあり方も、少しずつ変わってきました。
フルサービスのお店が、ずいぶん少なくなったなぁと感じることが多いです。
セルフで完結する気軽さはもちろんあるし、忙しい人も多いし、それはそれで、いまの時代に合っていると思います。

けれど、MAMEHICOは、変わらずフルサービスです。
メニューをお渡しして、お冷をお出しして、飲みものやお食事をテーブルまで運ぶ。
そういう、ひとつひとつのことを大切にしています。

その中に、「カトラリーをセットする」という仕事もあります。
いまは、フルサービスのお店でも、テーブルの上にカトラリーボックスが置かれていることが多いです。
必要なものを自分で取るという合理性、よくわかります。
目の前にセットされていると、じゃまに感じることもある。笑

でもMAMEHICOでは、カトラリーレストを置いて、スプーンやフォーク、ナイフ、デザートフォーク…、その都度、スタッフがお持ちします。
はっきし言って、手間はかかります。
忙しいときだと、「何往復してるんだ!」みたいなことも。
最初から全部テーブルに置いておけば済むことで、効率だけを考えたら、そのほうがいい。

それでも、あえてそうはしません。
その「ひと手間」の中にしか、生まれないものがあるからです。

カトラリーをお持ちするとき、スタッフは必ず、お客さんのテーブルのそばに立ちます(当たり前ですが。笑)。
そのとき、ほんの一瞬、その方の様子が見られます。
ゆっくり過ごしたいのか、少し誰かと話したい気分なのか、ただ静かにしていたいのか。
言葉にしなくても、なんとなく伝わってくるものがあります。

そのときに、お声がけすることもあれば、何も言わずに、そっと置いて離れることもある。
こちらも様子をうかがいながら、お話ししたり、しなかったり。

MAMEHICOは、いちいちスタッフが近づいていきます。笑
ほっといてほしいときには、少しうるさく感じるかもしれません。
それは、「距離を詰めたい」というより、ちょうどいい距離を探っているから。
最初から距離を決めてしまうと、楽だけど、そこに余白がなくなってしまう。

近づいてみて、反応をうかがい、少し引く。
また必要なときに近づく。
その繰り返しの中で、言葉にならないやりとりが、少しずつ積み重なっていく気がしています。
カトラリーをお持ちする、というほんのささいな動作の中にも、実はそんな時間が流れています。

効率や合理性だけでは測れない、人と人とのあいだにある、間合いや空気感。
それを、なくさないようにしたい。
特別なことではないけれど、あとからふと思い出すような、なんとなく心に残るような、そんな時間を過ごしていただきたいなぁと考えています。

だから今日も、わざわざ近づいていきます。
もし少しうるさく感じられたら、ごめんなさい。笑
でも、それも含めて、楽しんでもらえたらうれしいです。

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