カフェは健全な食べ物を提供すべき、という強い思いがボクにはある。たかがカフェだよ。たいしたもんじゃない。だけど、やっぱりヒトの口から身体に入るものを提供してる場所なわけですよ。ボクらがこっそり毒を提供すれば、ヒトを殺すことだって簡単にできるわけだからね。
マメヒコの食べ物や飲み物はきちんとしたい。明らかに身体に悪いって知ってるものは出したくない。
これはボクの自己満足なんだよ。
というのも実際の多くのお客さんは、身体に良いかどうかはそれほど気にしてない。それより、コスパがいいか?バエるか?気軽か?そういう理由でお店を決めているから。健康そうであれば受けるし、不健康そうであっても受ける。本質とは関係ない。世間とはそういうもんでしょ。
安い食材にはからくりがあるよね。
店で出すものは、なんでも手で作りたい、そうするほうが面白いからね。マヨネーズもジャムも、珈琲のシロップも、ほとんど店内で作ってる。ケチャップはトマトの水分を飛ばすのが大変だからやめたけど。それは国産トマトで作ったものを買ってきてる。
店内で出してる小豆や黒大豆も、自分たちで栽培してみようかってね。それでハタケマメヒコっていう発想が出てきたんだよ。
北海道で1ヘクタールを借りてやってみて、初めて分かる。土を耕す苦労、堆肥を作る苦労。
──たとえば堆肥、発酵前と後では匂いが変わってくる。牛のフンは土を冷やす、馬のフンは土を温めるという。針葉樹の木っ端は油多いからだめ、広葉樹を集めて、とか、色々とやればわかって面白いわけよ。
──たとえば除草。ラウンドアップなんていう除草剤をみんな使ってるけど、あんなのはほんと身体に良くない。だから除草はホーっていう鎌で手作業でやるのよ。でもね時間がかかり過ぎちゃう。よほど忍耐力のあるヒトか、それに専念できるヒトじゃないと除草はできない。除草剤に頼りたくなるの
はわかるよ。
(2022 年8月号)