檸檬ケーキを支えるもの
みなさん、こんにちは。MAMEHICO東京スタッフの田中朋美です。
冬のデザートメニューの大本命といえば、やっぱり檸檬ケーキ。
この冬も、たーくさんの方に召し上がっていただきました。
檸檬ケーキは、檸檬クリームとシャンティ、そしてパイのバランスがとても重要です。
三位一体となったときの美味しさといったら…!!
みなさんがファンになる気持ちも、よく分かります。
MAMEHICOは、パイもすべてお店で手作りしています。
そのため、パイのおいしさを楽しみにしてくださっているお客さまは多く、だからこそパイ生地の仕込みはとても大切な仕事です。
私は年明けから、そのパイ生地の仕込みを任せてもらうようになりました。
この作業は、これまでずっと仕込みを担当していた、なかじゅんさんから教わりました。
パイ生地作りで大切なのは、とにかくバターを溶かさないこと。
そのため材料はしっかり冷やし、できるだけひんやりとした環境の中で作業をします。
じゅんさんはいつも、まだ外が暗い早朝の時間、お店のキッチンがひんやり寒いうちにパイ生地を仕込んでいました。
だから私も教わったときは早朝のお店に行き、その仕込み方を一つひとつ覚えていきました。
冷たいバターをプロセッサーで粉と均一になるように混ぜる。
それをカードと手でまとめていき、ある程度まとまったらカットして重ね、またまとめる。
さらにカットして、重ねていく。
そんな作業を繰り返すうちに、パイの層が少しずつできていきます。
でもここで難しいのが、バターを溶かさないまま作業を進めることです。
手の温度や、まとめる回数、つまり生地に触れている時間が長くなるほど、バターは少しずつ溶けてしまいます。
慣れていない私にとっては、時間がかかってしまうことが最大の難関でした。
パイ生地の状態は、「伸し」の作業のときにもよく分かります。
バターが溶け気味になってしまった生地は、硬くなって伸しにくくなります。
そのため、平らにするのに力が必要になり、必要以上に生地を押してしまったり、縁にヒビが入りやすくなったりしてしまいます。
状態の良いパイ生地は、伸し始めた瞬間に分かります。
ふわっとしていて、とても伸しやすいのです。
余計な力を入れなくても、すっと自然に広がっていき、焼き上がりもまったく違います…!
理想的な、サクサクほろっとした食感になり、パイの表面には層の模様が現れます。
パイを使ったケーキは、やはりパイが要。
MAMEHICOのパイの美味しさを楽しみにしてくださっているお客さまがたくさんいる。
それが分かっているからこそ、じゅんさんが仕込んだ生地の良さを知っているからこそ、なかなか上手くできない私にとっては、少しプレッシャーでもありました。
そんな私に、周りのスタッフはいろいろと教えてくれます。
パイ生地を伸したときの感触や焼き具合、ケーキをカットしたときの様子、そして実際に食べてみたときの食感まで。
よく見て、感じたことを、いつも伝えてくれます。
「サクサクというより、ザグザグって感じになっちゃってるね。」
「もしかしたら、固めようとして押しすぎてるのかもしれないよ。」
そんなふうに、いつも具体的なアドバイスをくれます。
だから私も、
「今度はこうしてみよう」「もっと良くなるはず」
と、また次の仕込みに向かう気持ちになれるのです。
もう一つ。
私の支えになっているのが、井川さんからいただいた言葉です。
「再現することが好きなんだね。」
教わったことや理想の形を目指して、どうすればその状態に近づけるのかを考える。
試してみて、また改善して、少しずつ良い状態に近づけていく。
そうやって研究したり工夫したりすることが、私は好きなのかもしれません。
そしてそれは、自分のためというよりも、その先にあるものを誰かに届けたい気持ちがあるからだと思います。
このパイ生地の仕込みは、自分の根底にそんな思いがあることに気づかせてくれました。
さて、パイについていろいろと熱く語ってしまいましたが、このパイを使った檸檬ケーキも、そろそろおしまいです。
本格的な春の訪れとともに、檸檬の旬は終わりを迎え、檸檬ケーキも食べ納めの時期となります。
シーズン最後のその日まで、美味しさをみなさんにお届けしたい。
そんな思いをパイ生地に重ねて、私は仕込みを続けます。
みなさんもぜひ、今年の檸檬ケーキの食べ納めにご来店ください。
お待ちしております。

檸檬ケーキは神戸・御影店と東京・三軒茶屋店にてお出ししています。