ボクは自分がカフエマメヒコを始めるならば、「リアリティ」をとても大切にしたいと考えました。
食品と料理の研究家である磯部晶策さんのご著書に『食品を見わける』という本がありまして、その中に「良い食品とは」というのがあります。
1.安心して食べられること。
食品添加物について考えるとともに、食品衛生の基本から安全を追求する。
2.ごまかしのないこと。
偽和、不当表示にとどまらず、一切のごまかしを排する。
3.味の良いこと。
化学調味料や、表示上で「天然調味料」と呼ばれるものなどによる安易な味付けに依存せず、原材料と技術の調和による美味を生み出す。
4.品質に応じた妥当な価格。
どんなに良くても品質に比較して不当に高い価格は失格と考える。
材料は品質の良いものを、手間暇かけて店内で作ってます。
それをお客さんが来ないと捨てるしか無いわけです。カフェはいつ誰が何人来るかわからない。捨てるなというと、スタッフは少ししか作りません。するとせっかく来てくれたお客さんはいつも食べたいものがなくて残念だわ、ってなる。
悲しいかな、カフェっていうのは捨てること前提に作るしか無いんですよ。これはとても無駄なことです。
それで、お客さんとの関係を作って、来るときは、できるだけ連絡を入れてもらう。そしてこちらからも、積極的に声掛けをする。いまはスマホがあるので、それを使えば一斉に声がかけられる。
「お客さんの皆様、マメヒコでございます。さて、今朝から、ニュースでは台風が来る、台風が来る、と脅かしています。こうなると、せっかく作ったケーキを捨てることになりそうです。ぜひ会社帰りにどなたか寄ってもらえませんか?」
材料の質を下げるとか、大量に作ってコストを下げるとか、手間暇をかけなくするとか。苦渋の選択として、やりたくないことをやるんじゃなくて、そうすると最初はよくても、いずれ、なんのためにやってるかみんなでわかんなくなる。
それよりも、ひとりずつお客さんと親しくなっていくことを努力しよう、そのためにいろんなイベントをやったりしながら、自分たちも楽しみながらやろう。お客さんとお店のスタッフの垣根をなくして、音楽会をやったり、演劇をやったり、マルシェをやったり、ハタケをやったり、連続ドラマを撮ったりするようになりました。そうやってマメヒコはなんとかかんとか潰れずにやってこれたわけです。
(2023 年2月号)