変わっていくものを、観にいく
こんにちは。MAMEHICO神戸・御影スタッフの水野知帆です。
今回は、井川さんが手がける一人芝居・音楽劇「脱走兵」について、その魅力のひとつでもある「公演を重ねるごとに変わり続けていく面白さ」をお伝えしたいと思います。
私はこれまでに、銀座で一度「脱走兵」を観たことがあります。
そのとき、隣に座っていた方が何度も観に来ている方で、終演後に「どうでしたか?」と声をかけてみたんです。
すると、「1ヶ月前にも観たけど、パワーアップしてる!」とおっしゃっていて。
その言葉が、ずっと心に残っています。
数ヶ月後、たまたま生配信を観る機会があったのですが、そのときにもまた驚きました。
劇中の歌が1曲、よりキャラクターのことが分かる歌詞やメロディーに、がらりと変わっていたんです。
最初に観たときも、涙を流しっぱなしになるくらい良かったのに、それでもなお「もっと良くしていく」という変化が続いていました。
普通、映画や小説のような作品は、長い時間をかけて完成されたものが世に出ますよね。
たまにドキュメンタリー番組などでその制作過程を見ると、想像を超えるような時間や葛藤があって、まるで「命を削っているようだ」と感じることがあります。
そうした作品は本当に素晴らしいし、観る側としても深く心を動かされますが、裏側を知れば知るほど、こちらの体が強張るような、そんな感覚になることもあります。
それに対して、『脱走兵』は少し違う在り方をしているように感じます。
公演を重ねながら、少しずつ変わっていく。
完成させてから出すのではなく、世に出しながら育てていく。
その姿は、追い込んで完成させるというよりも、呼吸をするように自然に続いていくもののように見えるんです。
実際にその過程を見ていても、井川さん自身が疲弊しているようには感じません。
むしろ、「ここをこうしたらもっと良くなる」と常に考え、進み続けている。
その姿は無理をしているというよりも、楽しんでいるように見えることさえあります。
こちらも肩の力を抜いて安心していられるし、なんなら少し、そこに関わってみたいな、とも思わせられます。笑
この「変わり続けていく」というあり方は、お店づくりにも通じていると思います。
何年もかけて完璧な形を目指すのではなく、営業をしながら少しずつ手を入れていく。
その積み重ねは無理がなく、だからこそ続いていくし、長く愛されるものになっていくのだと思います。
『脱走兵』は、そうしたプロセスそのものを体験できる作品です。
一度観た方でも、次に観たときにはきっと違う発見があるはず。
その変化を楽しめるという意味でも、ライブならではの魅力が詰まっています。
変わり続けている今この瞬間の「脱走兵」を、ぜひ体験してみてほしいです。

出演 / エトワール★ヨシノ
作・演出 / 井川啓央
日時: 5/2日(土)、3(日)
場所: MAMEHICO銀座
変わり続ける「脱走兵」を体験できる
この機会を、どうぞお見逃しなく。