音楽・ピアノ 石川潤一
主催・制作:株式会社セレンディビティ 会場:MAMEHICO銀座
Story
1960年代、東南アジアの戦地に慰問団の歌手として派遣されたヨシノは、任務を終え帰国目前だったが、ある夜の「ピアノ事件」をきっかけに帰国の名簿から名前が消され、拠点に取り残される。現地の通信兵ミーリンと心を通わせる中で、この拠点が見捨てられる計画を知り、ふたりは脱走を決意。雨季の水路を使って命がけで逃げのび、ふたりはミーリンの故郷を訪れるが、戦争の爪痕と変わってしまった家族の姿に直面する。
「脱走兵」と「群衆」は、フランスの古いシャンソンで、どちらも名曲として知られています。何十年も前の歌なのに、いまも私の心に深く刺さります。「脱走兵」は、戦争に行くのを拒み、自分の心に正直でいたいと脱走する男の話。かっこよさもあるけれど、危うくて、孤独でもある。そんな彼を殺そうとする「群衆」の中にも、黙って目を伏せ、ひそかに匿う人がいる。少ないけれど、そういう人がいる。そこに、人の美しさを感じます。もうひとつの「群衆」は、波のように流され、会いたい人に二度と会えなくなる──そんな歌です。
この二つの歌が、今回の物語をつくるきっかけになりました。ご期待ください。
エトワール★ヨシノは、
いわゆる「俳優」や「歌手」といった肩書きに収まる存在ではない。
今回の音楽劇『脱走兵と群衆』は、
シャンソンの名曲「脱走兵」と「群衆」に着想を得て生まれた作品だ。
戦争、制度、群衆、
そしてそこから逸脱する個人──
その葛藤を、歌と語り、そして演技を通して描いている。
注目すべきは、その上演形式である。
鑑賞料は無料。
予約も不要。
決まった席もなければ、観劇のマナーを強いるような空気もない。
通りがかりにふと足を止めて見てもいい。
ふとした偶然で出会っても、
誰かの誘いでふらりと来てもいい。
そういうかたちでしか出会えない表現が、
たしかにあるという前提に立っている。
この「無料・予約不要」の試みは、
経済的な負担をなくすという意味だけでなく、
文化や芸術を「時間とお金に余裕のあるヒトのもの」にしない、という
明確な意思表示でもある。
誰かのスケジュールに組み込まれるのではなく、
自分の気持ちに従って触れる。
その自由を保障することが、
ヨシノの表現と深く結びついている。
事前にチケットを買い、予定を立て、時間通りに席に座る──
そうした「観劇の作法」に縛られないこの作品は、
舞台芸術のあり方に一石を投じている。
表現とは、もっと柔らかく、開かれたものであっていい。
新しい時代の幕開けとは、
大げさな変革ではなく、
こうした小さな自由の積み重ねから始まるのかもしれない。
解説/評論家:小豆皮頑固(あずきかわ・がんこ)
「脱走兵と群衆」は【MAMEHICO LIVE】として、鑑賞料も予約も必要ありません。
※ただし、席に限りがありますので、
満席の場合はご覧いただけないことがあります。
なるべくお早めにお越しください。
Ticket
Goods
今年のTシャツは2バージョン。
喫茶エトワールを象徴する「ヨシノ観音」をあしらった〈観音Tシャツ〉と、舞台《脱走兵と群衆》仕様の〈舞台Tシャツ〉です。
胸元に「喫茶エトワール」、絵の下に「2025 脱走兵と群衆」の文字入り。
「よれない」「透けない」「長持ち」の3要素を備えた、5.6oz ハイクオリティーTシャツ。
印刷方式は、繊細な色合いや細部まで美しく再現できるフルカラー転写プリントを採用。
耐久性にも優れ、洗濯を繰り返しても色落ちしにくい仕上がりです。
カラーはスミ色とバニラホワイトの2種類。サイズはご希望に応じて特注でお作りします。
ご注文から2週間以内にお届けいたします。
代金は請求書によるお支払い、または店頭でのお支払いとなります。
配送方法やお受け取り方法などの詳細は、追ってスタッフよりメールにてご案内いたします。
色とサイズは以下のリンクから選んでください。
限定生産の特別な一枚を、ぜひお手元に。
Q&A
はい、楽しめます。ヨシノの物語は初めての方にもわかるように構成されています。歌や語りを通して、一人の女性の生き方や想いが丁寧に描かれていますので、予備知識がなくても十分に感じ取っていただけます。
今回の舞台では、ヨシノが一人で複数の登場人物を演じます。
物語の案内役となるストーリーテーラー、通信兵ミーリン、そしてミーリンの義母──
それぞれの人物を、声や動き、小道具を使い分けて表現します。
一人でありながら、多様な人間の思いや関係が浮かび上がる構成です。
グランドピアノとキーボードの生演奏に合わせて、ときに軽やかに、ときに深く感情を込めて歌い上げます。
はい、本当です。
MAMEHICO LIVE は、鑑賞料(チケット代)も、事前の予約も必要ありません。
誰でも、ふらりと立ち寄って観ることができます。
会場は着席45席です。
席数に限りがあるため、混雑時には入場制限を行う場合がございます。
ふらりと立ち寄る自由を大切にしていますが、確実に観たい方は、事前予約をおすすめします。
お芝居を一部のヒトだけのものにせず、思い立った時にふらりと立ち寄れるものにしたいと考えています。
その代わりとして、会場では「おうえんコイン」を用意しています。内容に共感したり、応援したいと思ってくださった方は、お気持ちの分だけ自由にご協力ください。
休憩を含めて約2時間30分です。
お子さんによると思います。物語としては楽しめる内容ですが、静かに観る舞台ですので、小さなお子さんには少し難しいかもしれません。ヨシノの音楽ライブ「喫茶エトワール」のほうがより気軽に楽しんでいただけます。
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