先日、京都の洋菓子ブランド、
「京都 北山 マールブランシュ」の社長さんがインタビューされてる
ネットニュースを読みました。

「大家族主義で我が社の「人」は強い。
社員の成長が会社の成長につながる。
うちは全員経営です。」

MAMEHICOも少人数でやっているので、
みんなひとりずつができることを増やせば、
自然とお店は良くなると実感していたので、
この言葉がとても心に響きました。
でも、だからこそ、

「言うのは簡単やけど、どないして実践してるんや?」と思い、
「お話を伺いたいです!」と便箋6枚の重い手紙を送りました。笑
するとすぐにお返事をいただき、
経営をされている株式会社ロマンライフの社長 兼 COOの
河内優太朗さんとお会いできることとなりました。
こちらに、河内さんと話して特に印象に残った言葉を紹介します。

河内社長の人柄に触れて、会社の空気感や、
何を大切にされてきたのかが伝わってきました。
私たちも頑張りたい、良いお店にしたいと改めて思えました。

御影店長の妻 渡辺みゆき

河内社長
うちは祖父の代から、大家族主義、
それをすごく大切にしてきたんですね。
会社は大きな家族で、うちは数百人はいるんですけど、
大きな家族として、それぞれの関係性を築いていきましょう、と。

家族というと、温かみとか、優しさとか、良い面ばかりではなく、
厳しさとか成長とか規律なども大事で、それも含めて家族ですと。
そういうことをよく伝えています。

みゆき
はいはい、わかります、ただ、わかりますけど、
その、具体的に家族って、
どういう伝え方をしてるんですか?

河内社長
例えば、ここのオフィスのコンセプトは「家」なんですよ。
社員一人一人の「家」という設定。
だから、わが家なわけだから、まずゴミが落ちてたら拾いますよね。

みゆき
拾います。

河内社長
トイレの洗面台が水で濡れてたら拭きますよね。

みゆき
拭きます。

河内社長
自分の家やと思ってないから拾わへんし、拭かへんし。

みゆき
自分毎になってない、ということですね。

河内社長
そうなんですよ。
あのこれ、うちの日報と社内報です。
任意ですが毎日スタッフが日報をあげてくださっています。

みゆき
全員ですか?

河内社長
全スタッフです。
そこに僕や役員や部長などもコメントもしています。
僕は全部に目を通しています。
社内でぜひ共有したいという日報は、
まとめて社内報であげています。

社内報は日曜日以外、毎日発刊してまして、
最新号は4184号になっていて、10年以上前からずっとやっています。

みゆき
えーすごい!

河内社長
祖父の代も社内報は手書きのFAXでやり取りしてまして、
父の代はメールになって、
10年前からはアプリを使ってやっています。

ブログを投稿するみたいな感覚で出来るんですよ。
僕は返信するのも含めて一日2時間、
多い時は4時間くらいかけています。

みゆき
ひえー!

でも、日報と社内報を引き継がれ、さらに継続されているのは、
どういう想いからなんですか?

河内社長
これね想像以上に大変なんですよ、実は。

みゆき
でしょうね、わかりますよ。

河内社長
多い時には1日に100通以上レポートが届くこともあり その内容もさまざまなので、どのようなレポートが届くか 内心ドキドキしています(笑)

みゆき
あーそうか。何書いてもいいんですもんね。たしかに、、、

河内社長
ただ、これを読んでると。
ぐっと、経営がやりやすいんですよ。

どういうことかといいますと。
僕たち13店舗いまお店がありまして、さらに工場が2つあるんです。

みゆき
そんなに!

河内社長
それを全部の状況を把握するのって難しい。
だけど、全部とは言わないけど、半分くらいかな、
この日報を読んでると、現場の状況がわかるんです。

みゆき
なるほど。

河内社長
毎日、日報を読んでるわけですから。
現場に行くでしょ。
行っても、現場で働く人の気持ちが、めちゃくちゃわかる。

「こないだこう書いてあったけど、
あれってどういうことやったん?」

こっちも日報で状況を知ってるから、
コミュニケーションがぐっと踏み込めるんですよね。

みゆき
それは、違いますよね。

河内社長
違います。それにですね。
日報を継続して読んでると、
「あれ最近、あの子日報で名前見なくなったな」とかに気づく。
「一行しか書いてないな、これは、メンタルやられてるな」とか。

みゆき
はぁ、そこまでわかりますか。

河内社長
わかるんですよ。

だからこれ、働くみなさんのためっていうより、
経営してる僕のためにやってもらってる感じなんです。

みゆき
大家族主義でやるには、社内で何が起こってるのか、
わかってないとだめですもんね。
日報はそのための、大事なツールになってるんですね。

でもあれですか?
ほんとに、中には辛辣な、社長に物申すみたいな意見もありますか?

河内社長
物申すっていうか、耳痛いことはありますよ。

みゆき
そういうのが来てしまったらどうするんですか?

河内社長
もちろん、直接、返事をする時もあります。
そうではなくて、直で会いに行ったりもあります。

案件によっては、共有すべき人に転送したり、
その子の上司に連絡して、
「ちょっと話聞いといたってくれへん?」って連絡したりとかね。

みゆき
とにかくシカトはしないってことですね。
すごいな。いや、すごいですね。

社内には、先代の時から働いてる方もいはるんですよね?

河内社長
います。一番長い人やったら、僕が生まれる前からかな?
43年いてくれてはりますね。

僕が入社した時、
「あの子がまぁ、ずいぶん大きくなったな〜」
って言われましたもん(笑)

みゆき
(笑)

長年働かれてらっしゃる人もいる伝統ある会社で、
河内さんが新しく社長になって。

先代から受け続けていく部分、時代に合わせて止めたり、
変更したりする部分、その判断て、たくさんあると思うんですね。

結果として、会社も成長させなくちゃいけないっていう、
大きなプレッシャーもあるなかで。
迷ったりしないのかなって。

私たちのはなしで恐縮ですけど、
東京にあるMAMEHICOの考えかた、お客さん第一主義っていうか。
それはオーナーの井川の考えっていうのがあって。
わたしたちもそれに共感してやってるんですけど。

だからこそ、実際の神戸のお客さんに愛されるために、
自分たちで、もっと変えたほうがのいいかも?
と思ったりもします。
だけど私は自分に自信がないところがあって、
どこを守って、どこを変えたらいいかが、
迷ってしまって、わかんなくなるという、、、

河内社長
はい、なんかわかります。
その答えになるか分からないんですが、僕も就任したばかりの時、

「優太朗くんの時代になったら何するんですか?」とか、
「3代目になったらどう進化させるんですか?」とか、
めちゃくちゃ聞かれたんです。

僕もそれはね、それなりのこと返事してたんですよ。
「そうですねぇ、やっぱりこれからは海外展開ですかね〜とか(笑)」

みゆき
(笑)

河内社長

父の時代は、明日潰れるかもしれないっていう、
すごく苦しい時期が長かったので、
父がトップダウンで、「これなら、こうしていこう」って、
30年間かけて様々な土台を作ってくれたんです。

ありがたいことに、僕の父は、
経営者としても人間としても尊敬できる人で。
だけど僕は父のように、すごいマーケターでもないし、
開発者でもない。それで悩んだことはありますね。

けどある方に、
「後継者は先代を超えなくていい」って、
言われたことがあるんですよ。
それが僕にはめちゃくちゃ刺さって。

なんや、このままやってたらいいんや、って思えたんです。
僕はいろんな人の話を聞いて、それらを混ぜて、
いい形にするのが得意だと思っていて。
父は発するタイプでしたけど、僕はヒアリングするタイプで。

その中で、僕のやりたいことは全員経営やったんですね。

みゆき
はぁ、いい話ですね。

河内社長
就任してからの一年間、15分の朝礼をやりました。
5分くらいは僕が話すんですけど、
あとはみんなにしゃべってもらうようにしたんです。

最初は、シーンとなんのかなって思ってたんですけど、
むちゃくちゃ騒がしいんです。(笑)
そうやってみんなが発する機会を増やしたりしました。

うちは、世間の流れと逆行して、暑苦しい会社で、
いまだに社員旅行とかもしてます。
父も社員の人達とご飯を食べたり、
騒いだりするのが好きやったんですよ。

これ祖父の代からそうなんです。
僕が小さい頃も、よく社員の人たちがうちに遊びに来ていて。

弟とスーパーファミコンする部屋があったんですけど、
ある時、そこを開けたら、たくさんの社員さんが、
ぶわーっと寝てて。タバコ臭いし(笑)。

祖父も父もそんなんが好きでした。

みゆき
いいですね。
私達夫婦は核家族で育って、
みんなで一緒にご飯を食べたり、
雑魚寝したりっていう経験がないから。

河内さんのそういう経験が、
この会社の空気感を作ってるんだなって感じます。

河内社長
はい。
現場の空気が悪かったら、味が悪くなる。
要するに、現場の人たちが仲良くないと、
珈琲もケーキも美味しくならないと思ってるんです。

ケーキは美味しいんやけど、なんか惜しいってお店ってある。
ほんまに良いお店って、スタッフ同士めっちゃ仲良さそうなんです。

うちはみんな熱いんで、議論が白熱することも多いですけど、
よそからはケンカに見えるかもしれないけど、
それは喧嘩じゃなくて。

真剣に、自分のこととして、
お店を考えてくれてるスタッフばかりなんです。

みゆき
そういうのが、お店から伝わります。

河内社長
そういえば、クリスマスって僕たちにとって、
一番の繁忙期なんですけど。

みゆき
お菓子屋さんは、みんなそうですね。

河内社長
それでね、ほんとに忙しいその時期に、
クリスマスケーキをご予約いただいたお客さまに、
手書きのメッセージカードを書いたらどうかって、
そんなアイデアが出て。

みゆき
えっ?ただでさえ忙しいのに?

河内社長

さすがに僕もね、
「めっちゃ忙しいこの時期に、
なんで手書きで書かなあかんねや」って、
ブーたれて書いたりしたんですけど(笑)
スタッフはみんな喜んで、書くんですよ。

そしてまた、お客様からの反応も、たくさんいただいて。
喜んでもらえて良かったねって。

みゆき

えっ、すごーい。ほんとすごい会社なんですね。