4月の食の会に参加しました。豆を炊いたことのない人ばかりの会…。笑
今回も初めて識ることばかりでした。
食の会では『季節の六マスお弁当』を味わうことができ、このお弁当を楽しみにされている方も多いかと思います。
今回私は、前日にお弁当の下ごしらえの下ごしらえ…のお手伝いを少しさせてもらいました。
そのとき心に残ったのは「青菜のお浸し」のほうれん草でした。
洗ってね、と渡されたのは根元がしっかり残ったほうれん草。それはそれは立派な大きさでした。
そのほうれん草の根元を洗い、根元はそのまま残して3cmほど縦に切り込みを入れ、水を張ったボールに根元を下にしてしばらく浸しておきました。
「雨が降った時のようにしてあげる、生えているときと同じようにしてあげると水を吸い上げてピンッと元気になるんだよ」
と、葉の部分にも水をかけながら、スタッフのトモちゃんが教えてくれました。
しばらくすると…。
元々立派だったほうれん草は、さらに勢いが増したかのように葉先までピンッと張り、明らかに元気になりました。
そして切り込みを入れた根元と茎は、吸い上げた水のおかげでパリッと!モリッと!なって、自らの張りで2株に裂けているものがあるほどでした。
すごい…生きてる…!
その姿があまりに可愛く思えて、思わずほうれん草を撫でてしまいました。
ほうれん草たちは、そこからさらに丁寧に土や汚れを落とされ、赤い部分を残したままササッと茹でられたのでした。
この下処理をしているかしていないかで鮮やかな緑色に違いが出るのだそうです。
その日の六マス弁当のハンバーグの隣に添えられていた青菜のお浸し。
根元がしっかり残っていて美味しかったです!
この光景、見覚えがありました。それは実家での光景でした…!
私の祖父母は専業農家で、主にほうれん草とねぎを出荷していました。
ほうれん草は「菜っぱ」と呼び、他の葉物野菜も「菜っぱ」。みんな「菜っぱ」でした。
2人は大きな背負い籠いっぱいに収穫した菜っぱを作業小屋に広げ、一つ一つ手作業で大きさを揃え、根元をほんの少し切り揃えて、ガシャンッとJAの紫色のテープで止めていました。
私は小さい頃、その作業を見ているのが大好きでいつも作業小屋で遊んでいました。
その小屋には小さなプールのような水槽があって、出荷される前の晩は菜っぱの根元を水に浸しておき、早朝になると軽トラの荷台で運んで市場に並べていたというわけです。
その菜っぱもきっと、パリッとしていたことでしょう。
出荷対象にならない菜っぱは食卓行き。
今思えば、必ずと言っていいほど根元残しのものでした。
「根っこの部分が甘くて美味いんだ」と祖父や父は好んで根元を食べていて、切り落として捨てた日には怒られました。
そして祖母や母は、調理する前に台所の流しできちんと水に浸していたことを思い出しました。
祖父母と一緒に住んでいたので7人家族。
大きなシュウ散実用鍋が何個もある台所でした。
ぐらぐらと沸いたたっぷりのお湯で茹でられたうちのほうれん草も、鮮やかな緑色と赤色だった…!
銀座のキッチンで私の記憶も鮮やかに蘇りました。ありがとうございました!
残念ながらうちは自然栽培ではありませんが、本当に美味しい食べ方を教えてもらっていた環境に、今改めて感謝をしなければなりません。
環境そのもので食育をしてもらっていたのだなと思います。
そしていつか私も、間接的にでも食育に携われる未来があるといいなぁと思ったのでした。
食の会はもちろんのこと、来月の『季節の六マスお弁当』も楽しみです。
手間ひまをかけて丁寧に作られていることに感謝して…毎回美味しいお弁当をありがとうございます。