
音楽劇「脱走兵と群衆」昼の部
エトワール★ヨシノよりみなさまへ
「脱走兵」と「群衆」は、どちらもシャンソンの名曲として知られています。フランスの古い歌。もう何十年も前の歌なのに、いまもわたしの心に刺さります。 「脱走兵」は、戦争に行くのがいやで、逃げた男の歌です。国のためとか、大義のためとか、そういうことに従えない。みんなが行くから行くんじゃなくて、自分の心に正直でいたいから脱走する。そんな生き方はかっこいいけど、危ういし、孤独です。 でもね、その脱走兵を、見つけては殺そうとする「群衆」の中に、ひそかに彼を匿う人もいた。大衆に合わせるふりをしつつ、黙ってかくまうヒトがいた。少ないけれどそういうヒトがいる。そこがわたしにはヒトが美しいと思うところです。 もうひとつ「群衆」は、ヒトの波にもまれて、会いたいヒトにはもう二度と会えない、そんな歌。人生って、そういうものだろうっていう諦めと、でも、やっぱり好きなヒトとは、いつまでも一緒にいたいっていう切なさ。それが沁みる歌です。 この「脱走兵」と「群衆」っていう二つの歌は、わたしにとっては、生き方そのものです。群衆と離れた脱走兵でありたい。でも誰か脱走兵を、そっと匿えるヒトでもありたい。 シャンソンって、きれいごとを歌わない。逃げたっていいじゃないか。弱いまま、醜いままで、生きたっていいじゃないか。わたしは、そんなシャンソンが好きで、自分の作る歌もシャンソンだと思っています。
エトワール★ヨシノと脱走兵の軌跡
解説 /評論家 小豆皮 頑固
エトワール★ヨシノは、もともと稀有な存在である。単なる「歌手」でもなければ、「俳優」でもない。舞台に立つたび、その身体全体で物語を伝える「表現者」だ。ヨシノの歌は、旋律の美しさだけに頼らない。言葉一つ一つが血を通わせ、聴く人の心に静かに火を灯していく。歌詞がメロディに押し流されることはない。むしろ、メロディは言葉に寄り添い、言葉は舞台の上で生き始める。ヨシノの歌を聴くとき、ただ「聴く」だけではない。舞台の上でともに「生きる」感覚へと誘われる。今回の舞台は、シャンソンの名曲「脱走兵」と「群衆」をもとに作られたオリジナルドラマである。歌い、語り、身ぶりを通して、時代に抗う者たちの魂を呼び覚ます。それは、ヨシノ自身が、時代からこぼれ落ちた者たちの痛みを知っているからだ。音楽には、さまざまな顔がある。軽やかに笑わせる瞬間もあれば、誰にも見せたことのない傷にそっと触れる場面もある。ヨシノは、それらすべてを自由に操る。わずか一瞬で表情を変え、観る者の胸に入り込み、かすかな笑みとともに、深い傷跡を残していく。ここには、軽い楽しさはない。あるのは、静かな絶望と、それでもなお立ち上がろうとする意志だけだ。ヨシノの歌が過去から未来へと手を伸ばすとき、観る者は、まだ知らなかった自分自身の感情に出会う。見知らぬ土地で夜空を見上げる亡命者たちの姿に、そっと心を重ねながら。
○日時
2025年11月22日(土)開場11:00 /開演12:00
○出演
エトワール★ヨシノ
石川潤一(ピアノ)
○場所
MAMEHICO神戸・御影
○料金(別途、1drinkのご注文をお願いしています)
4,500円(税別)
【お弁当】
+ヨシノ特製 幕の内弁当 1,580円
+ヨシノ特製 鮭弁当 1,480円
+ヨシノ特製 鶏の唐揚げ弁当 1,680円
+ヨシノ特製 牛肉弁当 2,480円
【デザートオプション】
+デザートセット 1,280円
【各種割引は、店頭支払いをご選択ください】
※ヨシノサポーターは10%割引
※ブローチ割あり 100円引き
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日付
- 2025年 11月 22日
時間
- 12:00 PM - 3:00 PM
チケット価格
- 4,500円
キャスト
-
エトワール★ヨシノ
エトワール★ヨシノ プロフィール
エトワール★ヨシノは、シャンソニエ(歌う詩人)として活動する音楽家。
2017年に活動を開始し、作詞・作曲・歌唱・演出までを一人で手がける。
これまでに5枚のオリジナルアルバムを制作。
東京・銀座のMAMEHICOを拠点に定期的にライブを行う。その楽曲は、シャンソンの系譜を受け継ぎながらも、ジャンルにとらわれない独自の表現世界を持ち、
日常のことばで紡がれた詞に、ユーモアと風刺、哀しみと希望が交錯する。ヨシノの歌は、技巧を超え、生き方そのものを語るものである。
舞台上の語りと歌を通じて、「それでも、楽しく生きてゆく」ことの尊さを届けている。
“仮の名”をまとうことで、自らの境界を越え、聴き手の心の境界もまた揺さぶる、
時代にひそやかな問いを投げかける存在である。