日: 7月 10、2025

井川のはなし
井川 啓央

見えなくても踏み出す

先だって、六本木のカフェで珈琲を飲んでいたときのことです。 少し離れたテーブルで、中年の男性が大きな声で話していたんです。年の頃は五十代後半くらいかしらね。話しぶりも堂々としていて、彼のまわりには4〜5人の男女が集まって、熱心にうなずいておられる。 「なるほどですね」「たしかに、たしかに」「目からウ