
井川のはなし
見えなくても踏み出す
先だって、六本木のカフェで珈琲を飲んでいたときのことです。 少し離れたテーブルで、中年の男性が大きな声で話していたんです。年の頃は五十代後半くらいかしらね。話しぶりも堂々としていて、彼のまわりには4〜5人の男女が集まって、熱心にうなずいておられる。 「なるほどですね」「たしかに、たしかに」「目からウ

先だって、六本木のカフェで珈琲を飲んでいたときのことです。 少し離れたテーブルで、中年の男性が大きな声で話していたんです。年の頃は五十代後半くらいかしらね。話しぶりも堂々としていて、彼のまわりには4〜5人の男女が集まって、熱心にうなずいておられる。 「なるほどですね」「たしかに、たしかに」「目からウ