みなさん、こんにちは。MAMEHICOの星野美津子です。
年明けから紹介してきた連続ドラマ「ノッテビアンカ」。
ついに最終話に突入です!
ドラマの中では、大向トシコ役を演じました。
さて、最終話のタイトルは「Hopeful」。
連続ドラマの構想を練っているとき、井川さんが若いスタッフに「どんなドラマにしたい?」と訊いたところ、「希望あるドラマがいい」という答えだったそうです。私も同じ気持ちでした。
今を生きる人たちにとっての希望とは?
井川さんは最終回をどんな脚本にするんだろう?
台本が出来上がるのを楽しみにしていました。
この回のAct.1だけでも、思い出がたくさんあります。
まずはケンタが自立して、すぐに実家に帰ってきた場面。
部屋の整理をしたり、荷物を取りに来たのでしょう。
トシコとも仲直りしていて、セツオが作ったカレーを「一緒に食べよう」と言っています。
こういった軽やかさがあるのは、希望です。
実はこの場面、撮影場所が急遽変更になり、台本をその場で書き換えるということがありました。
「まあゆっくりしててよ」と書き直し始めた井川さん。
しばらくして「できた!」「はい、じゃあ繰り返して!」と。
もう文字にもならない台本。口伝です。
井川さんが言うセリフを繰り返してリハーサル、すぐに本番。
途中でちょこちょこ演出が入り、何度目かでOKが出ました。
短いシーンでしたが、これがとっても楽しかったのです。
即興の面白さを知ったという経験でした。
やはり外せないのは、的場とトシコとマイコの3人が和服で竹藪にいるシーンです。
一目で非日常、日本らしさを感じます。
台本に「和装で」と書いてあったのを見たとき、衝撃が走りました。
「ノッテビアンカ」では色々な衣装を(ほぼ自前で)着ましたが、「井川さん、私のタンスの中まで見えてるの?」と思うくらい、ありがたい場面でした。
というのも、数年前に伊勢神宮へ正式参拝するという話があり、たまたま伊豆の三島にある呉服屋さんで買ったものの、予定が叶わず、ずっと箪笥の中にしまってあったのです。
このドラマのおかげで、薄紫の着物が日の目を見たのでした。
このシーンで的場が話すセリフに、本質的なことが集約されています。
「感謝とは、数奇に満ちたこの世界を面白可笑しく生きること」
それを表すように踊ります。
井川さんからは「パピプペポを使って」と言われました。
子どもはパとかピとか言うから、と。
そうか、自然の中で子どもに還る、というイメージが湧きました。
出来上がったものを見た人から「鳥獣戯画のウサギとカエルみたい」という感想もあり、不思議ないいシーンになったと思います。
奇しくもこの撮影の日は、マメヒコ公園通り店が閉店する日でもありました。
撮影が終わり、着物のままでお店に行き、特別メニューのフルーツあんみつをいただきました。
いろんな人と会って話しました。
ひとつのお店が終わるけれど、もう次の何かが始まっている。そんな日でした。
この後の桐生ロケをきっかけに古い家と出会い、「MAMEHICO紫香邸」としてオープンして1年半が経ちます。
紫香邸のお客様にドラマの話をすることもあるのですが、創っていた頃から3年経った今でも「YouTubeでドラマ全部観たわよ!泣いちゃった〜!」などと感想をいただくこともあり、映像作品として残っている面白さを感じます。
コロナという変化のときにドラマを創る。
それが、まるでドラマのような現実につながっている。
まさに「数奇に満ちたこの世界を面白可笑しく生きる」——それを体験していると思う日々なのであります。

連続ドラマ「ノッテビアンカ」
全8話(vol.1〜8 Act.1,2,3/24回)