珈琲豆の値段が、ずっとジワジワ上がってきていたんですが、ここにきて、いよいよ「ひどいな」と言いたくなるほどの値上げが、容赦なく来ています。
2024年の終わりには、世界の主流であるアラビカ種の先物価格が1ポンド(約454g)で3.29ドル、つまり500円を超えたそうです。
2025年2月には、たった1年前と比べて約2.2倍。
こんな数字は、歴史的にも例のないレベルだそうで。
最大の産地であるブラジルで雨が降らず、干ばつの影響で収穫量が激減。
さらに、物流費も上がり、容器や包材、燃料に至るまで値上がりの連鎖。
理由はいろいろあるけれど、まぁ、理由がどうであれ、上がったものは下がらないということです。
珈琲業界全体でも「もう無理だ」と音を上げ始めてるようですが、ボクたちみたいな小さな喫茶店では、もっと切実です。
そもそも喫茶店っていうのは、珈琲で利益を出して、その利益で空間を保ったり、料理を提供したりしてるわけです。
だからその珈琲が、ここまで高くなったら——To be, or not to be.
シェークスピアじゃないけど、生きるか死ぬかの話になってくる。
もちろん、珈琲一杯の値上げをすれば原価率は下げられる。
でも、そのせいで来店数が減れば、売上が落ちる。
売上が落ちれば、家賃や人件費などの固定費の比率が上がってくる。
固定費は下げられません。
「珈琲の値段上がって大変でしょうから、来月から家賃2万円引きますね」なんて言ってくれる大家さんはいませんから。
それでも、うちは今の豆の品質を下げるつもりはありません。
札幌の焙煎所で焼いてもらった豆は、これまで一度も替えたことがないんです。
これがMAMEHICOの味になってくれてるわけですし、値上げしても、味を変えるわけにはいきません。
でも、なんかできることはないか。
そこで、こう考えてみた。
メンバーの方に、1kg単位で豆をまとめて買ってもらうのはどうか。
もちろん、豆のままでも、挽いてでも大丈夫。
1kgなんて多い、と思うかもしれないけど、珈琲好きのヒトなら意外とすぐ飲みきってしまう量だし、飲みきれない分は冷凍しておけばいい。
誰かと分け合ってもいい。
こういう形で豆を買ってもらえれば、焙煎所の菊地さんも張り合いがあるんじゃないかと思うわけ。
「ちゃんと珈琲を待ってるヒトがいる」と思って焼くのと、ただ卸すだけっていうのでは、きっと違うと思うのね。
そして、こんなふうに大変なときこそ、やっぱり実名のつながりが強いんじゃないかと思うのね。
「◯◯さん、今回も豆1kgですね」「△△さんのぶん、小分けしときましたよ」。
そんなふうに、名前を知ってる誰かとやりとりしていく。
生活の中の小さな助け合いがあれば、結果としてボクたち店も助かるし、焙煎所も助かる。
お客さんも、まとまって買ってもらうんだから、簡易包装にして、できるだけ値段も抑えます。
ボクらはボクらで、やれることをやってみます。
まずは夏に向けて、アイスコーヒー用の深煎り豆から始めてみます。
興味のある方は、ぜひ一声かけてください。
珈琲の値段が上がって、もう飲めなくなるかもしれない、という時代が来るかもしれない。
でも、それでも——。
誰とどう関わっていくかで、自分の暮らしは変わると思うのです。

アイスコーヒー用珈琲豆(1kg)
¥6,900