氷に想いをこめて

こんにちは。MAMEHICO東京スタッフの前島由紀です。

初夏の空気が心地よい季節になりました。
気温はまだ不安定ですが、最近は冷たいアイスドリンクをご注文される方が増えています。

「MAMEHICOのアイスドリンクは、氷まで美味しい」と言ってくださるお客さまも多く、その理由のひとつが、“純氷(じゅんぴょう)”です。

一般的な飲食店では、製氷機で作られた四角い氷が使われていますが、MAMEHICOでは純氷を使用しています。
純氷は、60時間以上かけてゆっくり凍らせた大きな氷のかたまりから、用途に合わせて切り出されたものです。
空気や不純物が丁寧に取り除かれているため、見た目も透き通り、硬くて溶けにくいのが特長です。
飲み物をしっかり冷やしながらも、味を薄めることがありません。

この純氷を仕入れているのは、創業100年を超える三軒茶屋の氷屋さんです。
まだ家庭用冷蔵庫が一般的でなかった時代、氷が生活の必需品だった頃から、町の人々の暮らしを支えてきたお店です。
三軒茶屋店から歩いて1分ほどのところにあり、私たちが毎回、直接受け取りに伺っています。

私たちが氷を取りに行くと、汗だくのタンクトップ姿のおじさんが、今日も「お、マメちゃんだ。今日は何個?」と声をかけ、出迎えてくれます。
傍らにはタバコの吸い殻、大きな冷凍庫の奥では、アイスピックでごつごつと氷を削る姿。
まさに昭和の風景がそこにあります。

おじさんに話を聞くと、「今はコンビニでも安い氷が買えるからね。うちなんて、もうダメよ」と、ぽつり。
「車をちょっと止めて作業してるだけで苦情が来たり、置き配なんて氷が溶けちゃってできないしさ」と、時代の変化への戸惑いも語ってくれました。
若い人も継ぐ人がいないから、自分の代で終わりだろう──そう言うおじさんの言葉が、胸に残ります。

100年続いた店が、静かに幕を下ろすかもしれない。
それは、私たちMAMEHICOのような小さな店にも通じることです。
だからこそ、この氷を大切に、丁寧に使いたい。
そんな気持ちで、今日も一杯のドリンクを作っています。

昭和の職人がつくる氷と、MAMEHICOの飲みもの。
初夏のひとときを、ぜひ三軒茶屋の店内で。
ただし、あんまりちびちび飲んでいると…、さすがの純氷も、溶けてしまいますよ。
美味しいうちに、どうぞ召し上がれ。

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