態度は空気をつくる

こんにちは、MAMEHICO神戸・御影店スタッフの水野知帆です。

MAMEHICOにいると、お金じゃ簡単に解決できないことが起こります。
たとえば、私自身の「態度」にまつわることです。こんなことがありました。

御影店では、普段のお客さんに出す料理とは別に、スタッフ用のまかないごはんも一緒に作っています。
お昼ごはんは順番にいただくのですが、ある日、次は私の番だと先輩スタッフから声をかけられました。
そこで当たり前のように「はい、いただきます」と言いながらごはんを茶碗によそおうとしたとき、先輩が真剣な顔でこう言ったんです。

「態度が悪い!もっと『ありがとうございます!いただきます!』って、明るく言えないの?なんか、ゼンッッゼン可愛くないね」

これにはさすがの私も戸惑いました。
自分が料理を作ったり、お客さんに接客したりする姿を見て、「もっとこうしたほうがいいよ」と、毎日のように仕事に対してアドバイスをもらっていたので、叱られるのにはある程度慣れていました。
でも今回は、私の「仕事」ではなく、「態度」について言われたので、とても混乱しました。

実はこの一年、何度も態度について注意はされていたんです。
でも、のらりくらりとかわしてきました。
それは、自分の感情を素直に表に出すことが恥ずかしかったし、そうしたくなかったから。

特に、一年も一緒に働いてきたよく知ったスタッフに対して、今さらキャラを変えるようなことなんて、できないと思っていました。
でももう、いい加減腹を括ろう。女は愛嬌、それをやってみよう。
そう決意して、さっそくまかないをいただくときには、「いただきます!具沢山で、体に染み渡りますね!」と声を上げてみました。

最初は正直、恥ずかしかったし、ちょっとやりすぎたかな?と内心ビクビクしていました。
でも、周りのスタッフがクスッと笑ってくれて。それが、なんだか嬉しかったんです。
自分には絶対に無理だと思っていた“愛嬌”も、案外やればできるのかもしれない、と思いました。

そんなふうに思ったとき、ふと田舎にいる家族のことが頭に浮かびました。
私は家族に対して、可愛げのある態度をとっていたかな?と振り返ってみると、なんだかそうじゃなかった気がします。

父は町工場で黙々と仕事をし、母は毎日お弁当を作ってくれていました。
それらを当たり前のように受け取り、感謝の言葉を口にするよりも、勉強や部活で結果を出すことで「手のかからない子ども」でいようとしていました。
親から態度についてとやかく言われることはなかったけれど、そのぶん家族団らんの時間は減っていき、なんとなく殺伐とした空気の中で、私も逃げるように外の活動に没頭していたのを覚えています。

あの時、もし私がもう少し可愛げを持って家族と向き合えていたら、もっと温かい空気が流れていたのかもしれない。
そう思うと、少し切ない気持ちになります。

自分の態度を変えるだけで、こんなにも空気が変わるのであれば、もっと早くからそうしていればよかった。
けれど、態度を改めるのって、簡単じゃない。
今もまだ恥ずかしさは残っているし、余裕がないとムスッとしてしまうこともあります。
でも、「いけないな」と思った時に気を取り直して、「ありがとうございます」「すみませんでした」と言葉にすることで、その場の空気がふわっと和らぐことに気づきました。

可愛くあるって、思っていたよりも体力も気力もいります。
でも、お金はかかりません。タダです。
そして、ムスっとしていても、良いことってあまりないよなと、改めて思うのです。
だからこれからは、できるだけ可愛く、生きていきたいと思います。(出来るだけねっ!)

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