伝わらなさの、その先に

こんにちは!MAMEHICO東京メンバーの永井宏佳(ひろし)です。
cinemusicaで、ぼくが演じているのは、ある暗い過去を抱えた映画館の掃除夫の役です。

MAMEHICOでモノづくりをしてて、もどかしく思う時があります。
「なんで分かんないかな」って。
言葉で言ったら簡単だけど、言葉で言ったらもっと伝わらないのが分かってるから、わああぁもう帰りたい!ってなる。

でも、よくよく胸に手を置いて考えてみると、伝わらないもどかしさって、受け取らない相手にもどかしく思っているのではなくて、受け取ってもらえないことに傷ついてる自分にもどかしく思ってるのかもしれない。
こういうことって、人と繋がっていく上で、必ず起きる葛藤なのだと思います。
夫婦なんてそんなことばっかりです。
いっそ、受け取られることなんて綺麗さっぱり諦めてしまえば楽なのに、って思います。

cinemusicaは、閉館前日の古い映画館で掃除夫として働く男と、彼を訪ねてきた母を亡くした大学生の女の子の、物語です。

彼も諦めて生きていました。
本当は受け取ってほしかったけど、伝わらなかった思い。
そんな彼の元に女の子が訪ねてくる。
彼女も伝わらない思いを抱いていました。
2人はほんとうに諦めているのでしょうか。

クライマックス、物語が止まる。
ストップモーションの中、入日茜さんの生の歌声が、すっと流れこんでくる。

ああ、そうだったんだ。
彼女の歌が、演じる僕にも、中身の僕の心にも伝わってきます。
僕は演じていて、毎回救われた気分になります。

先日、神戸で公演をしました。
すすり泣く声が聞こえてきました。
きっとお客さんにも、そのような思いがあったのだと思います。

考えてみると、MAMEHICOがモノづくりを続けているのは、伝わらなさと向き合い続けるためなのかもしれません。

これ以上言葉で伝えることができませんが、ぜひ7月6日、劇場へ足を運んでみてください。

 

cinemusica
2025.7.6
開場12:00 /開演13:00
開場17:00 /開演18:00
MAMEHICO東京・銀座にて

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