• ゲーテ診療所
  • チャンネル
  • ウーダ劇場
  • コーヴァイヴ
  • まめひこさんご近所さん
  • WEBショップ


[読みもの]「ポーチの秘密」について

pouch_top

「ポーチの秘密」について

私たち、マメヒコの店員は珈琲を淹れます。
デザートを作って、食べていただいたりもします。
そのどれも大事なお仕事ですし、それができないと、
やっぱりつとまりません。

いろいろと多岐にわたることがある仕事ですが、
一番大事なことは何かなと考えてみると、結局のところ、
ヒトを観察することが一番大事じゃないかなと思うのです。

いろいろなお客さんを観察しながら、
コミュニケーションの糸口を見つける。
それができれば、カフェのお仕事は
とてもやりがいのある楽しい仕事です。
(云うのは簡単ですが、なかなかできないものなんです)

マメヒコの店員が腰に「ポーチ」を
下げているのをご存知ですか?
あのポーチ、美容師さんが鋏を入れる
シザーポーチなのですが、その中に、小さながま口の小銭入れ、
お札を入れる長財布が入っています。DSC_0294マメヒコでは開店以来、テーブル会計と
呼ばれるお会計方法をとっています。
お会計に呼ばれれば、いつでもお会計ができるよう
レジを持ち歩いているんですね。
このポーチ。不思議な力があって、持っていると
会話が生まれるきっかけになるのです。

「あら、かわいいお財布ね。それあなたのお財布なの?」

「そんなところからお釣りを出して大丈夫?
だって、それあなたのお金なんでしょ?」

「あら、赤いがま口はダメなのよ。
財布は黄色くないとお金が貯まらないのよ」

最後に、こういう会話が弾みます。
そのとき、サービスについて厳しく言われることもありますし、
とても褒められることもあります。

ポーチを通しての会話で、お客さんとお店、
それぞれがスムーズだったかがわかります。
効率の良いお会計じゃありませんが、
お金を払うときに、お客さんの人となり
というのが出るなと思うのです。

ポーチからお財布を出し、お会計をする。
あたかも自分のお財布を使って、
お金のやり取りをしてるように見られる。
そして、自分たち店員も、自分のお財布から
出していると錯覚する。

例えば、自分たちの淹れた珈琲が、
「あっ、こんなに高いんだ」と思うことがあります。
ずいぶんお待たせして、少し冷めてしまってたなと。
不快に思われていないかしらと、お会計のときに思います。
そのときにお客さんのお顔を見て謝るスタッフもいますし、
かえって、目を合わせないで、逃げるように
お会計をするスタッフもいます。

逆に横柄な態度のお客さんから、
投げるようにお金を渡されたとき、
苦々しく思うことも本音ではあります。

ポーチを通して、お客さんの人となりと、
私たちの人となりが、見えてしまうのです。

毎日、閉店後、今日の売上を
数えるのも、私たちのお仕事です。
夜になり、パンパンに膨れ上がった
がま口をテーブルに広げます。
たくさんの小銭がテーブルに散らばり、
1日の忙しさを物語ります。

小さなお金ばかりですが、楽しかったこと、
嫌な思いをしたこともここに集まります。

眠い目をこすりながら、
何百枚という10円や100円玉を数え、
また明日の営業のお釣りを
がま口とお財布に用意して、ポーチにしまいます。

マメヒコでも、ポーチはめんどくさいからやめたい、
という声がもちろんあります。
ポーチだとどうしても過不足も多くなります。
でも、ポーチがなくなったら、ポーチが担っていた役割を
他に探すのは、なかなか難しいという気も、私はしています。

まめひこさんとご近所さん 回覧板 2016.05.09号より

back_to_list2