第3回 無肥料栽培 /メヒコの部屋 初夏の畑編
| 井川 | これがね。 | |||
| その一番最初に書いた、畑の未来予想図です。 | ||||
| 一番下が入り口ですね。 | ||||
| ここは、四方がちょうど林に囲まれた土地なの。 | ||||
| 図の右側が白樺の林、 | ||||
| 奥は柏やカラ松なんかもあるいわゆる雑木林。 | ||||
| 左手は川があって、小さいけれど白樺林です。 | ||||

| メヒコ | 畑の真ん中に小さなサークルがあるのね。 | |||
| 井川 | そう。ここは周りをぐるりと花畑にしてる。 | |||
| メヒコ | 畑の真ん中に花畑? | |||
| 井川 | ところどころに花を植えたら可愛かろうと。 | |||
| 畑の至る所に花を植えました。 | ||||
| メヒコ | 畑がべつに可愛くなくてもインじゃないの。 | |||
| 井川 | まぁそうなんですけど。 | |||
| メヒコ | よく見ると変な畑ね。 | |||
| 真ん中の道、あぜ道かな?が向こうまで続いてて。 | ||||
| 普通これは端にあるんじゃないの。 | ||||
| 井川 | そうね。 | |||
| メヒコ | 畑の真ん中に道があるなんて。 | |||
| 井川 | その両脇はずっと花豆を植えてるんですね。 | |||
| 縦のアベニューは花道にしようと思って。 | ||||
| 花豆街道になってる(笑)。 | ||||
| 50mまでの両サイドは白花豆、 | ||||
| 100mまでは紫花豆、150mまではまた白花豆。 | ||||
| ちょうど今頃、咲き始めたんですけど。 | ||||
| 花豆って言うくらいだからね。 | ||||
| もともとは花を鑑賞するための豆だったんだよねあれ。 | ||||
| メヒコ | あぁ、ちらほら咲いてるわ。 | |||
| 赤い花と白い花がついてる。 | ||||
| 井川 | 花道にもなるし、その実は食べれるし。 | |||
| 花豆街道万歳。 | ||||
| メヒコ | よく考えたじゃない。 | |||

| 井川 | そうでしょ。もっとほめてください。 | |||
| ほめて伸びるタイプだから。 | ||||
| メヒコ | 調子に乗るからほめないわ。 | |||
| これひまわりも植えてるの? | ||||
| 右側に描いてあるでしょ。 | ||||
| 井川 | 畑の右側。こっちは西に当たるんですけど。 | |||
| ここは日当たりが悪いんですね。 | ||||
| だから豆を植えても大した生らんだろうと。 | ||||
| それに、白樺林に近いですから。 | ||||
| クマザサやフキなんかの根も | ||||
| 畑の中にいっぱい生えてる。 | ||||
| だから、まぁひまわりでも植えとこうと。 | ||||
| メヒコ | ふむふむ。 | |||
| 井川 | おととし、「みんなたちの豆教室」というのを連載していたときに、 | |||
| 緑肥というのを知ったんですね。 | ||||
| メヒコ | あたしも読みましたよ。 | |||
| 井川 | ほんとですか(嬉)。 | |||
| メヒコ | ほんとよ。 | |||
| その中に緑肥って書いてあったあった。 | ||||
| えっと。あれ何だっけ? | ||||
| 井川 | ・・・。 | |||
| メヒコ | 肥料よね。そう肥料。 | |||

| 井川 | まぁ肥料ですね。 | |||
| 畑の中にすきこんでしまう肥料です。 | ||||
| 牧草みたいなものが多いんだけど。 | ||||
| 中にはひまわりとか、菜の花とか、 | ||||
| きれいに花咲く緑肥があるのを知って、 | ||||
| 空いた土地にひまわりを植えたんです。 | ||||
| メヒコ | うんうん、そうだった。 | |||
| 井川 | ほんとに読んだのかな。 | |||
| メヒコ | 嫌らしい目で見ないで。 | |||
| 井川 | 豆農家を取材したりして得た知識というのは、 | |||
| それなりにあるにはあるんです。 | ||||
| ただ、それをただのひとつも実戦していないわけで。 | ||||
| その知識が合ってるのかどうかわからない。 | ||||
| わからないのに知ったかぶりしてるというのが、 | ||||
| なんか座りが悪いと思ってきたんですね。 | ||||
| メヒコ | うん。 | |||

| 井川 | 緑肥だとか、農業の知識をまずは、 | |||
| 形にしてみたいという思いがあった。 | ||||
| そうじゃないとこれから先、 | ||||
| マメヒコやるのになんか進まないというかね。 | ||||
| メヒコ | その集大成として畑をやると。 | |||
| 井川 | この図にはそういう思いを込めてます。 | |||
| メヒコ | この絵はいままでマメヒコをやってきた | |||
| あなたにとっての、 | ||||
| ひとつの理想郷であると。 | ||||
| 井川 | とまでは言いませんけど。 | |||
| たとえばね。 | ||||
| この土地は当然、無農薬で育てるわけです。 | ||||
| メヒコ | うん。そうだと思った。 | |||
| 井川 | それはですね。 | |||
| 遠軽で豆を作っておられる服部さんや平間さん。 | ||||
| それを扱ってる長谷川さんの、 | ||||
| マメに薬は使っちゃならねぇよ、 | ||||
| というメッセージをボクらなりに受け止めてのことなんです。 | ||||
| うちで扱ってる長谷川さんのお豆は無農薬です。 | ||||
| それまで薬を使ったものをマメヒコでも使ってたんだけど、 | ||||
| その味の歴然とした違いに衝撃を受けたもんだから。 | ||||
| メヒコ | それなら自分も薬は使いたくないよね。 | |||
| 井川 | どうしてもそうなっちゃう。 | |||
| メヒコ | そりゃそうだ。 | |||
| 井川 | そして、この畑は無肥料なんです。 | |||
| メヒコ | 無肥料!? | |||
| 井川 | まったく堆肥一つ入ってない。 | |||
| メヒコ | 有機栽培ではないの? | |||
| 井川 | そう。有機栽培でもない。 | |||
| 無肥料栽培。 | ||||
| メヒコ | あきれた。それではなにも育たないじゃない。 | |||
| 難しいわよ。 | ||||

| 井川 | そうかもしれません。 | |||
| あの、有機有機って言いますけどね。 | ||||
| たとえば牛の糞だとか、鶏の糞。 | ||||
| それに落ち葉だとか、残飯とか、おがくずとか、 | ||||
| 酒粕とか、まぁなんでもいいの、 | ||||
| そういうものを混ぜで何ヶ月と微生物の力で発酵させて作る、 | ||||
| それが堆肥ですね。 | ||||
| メヒコ | うん。 | |||
| 井川 | 有機栽培と呼んでるものは、 | |||
| 化学肥料で作ってる現代の農業に対して | ||||
| あえて言ってるだけでしょ。 | ||||
| 本来植物は、窒素、リン、カリウムという | ||||
| 三大栄養素、そして微量元素、 | ||||
| 鉄だとかマグネシウムだとか、まぁそういうものを、 | ||||
| 化学的に精製したものを畑に配合してあげましょうと。 | ||||
| メヒコ | 窒素、リン、カリウム。 | |||
| 井川 | カリウムは根の発育を助けてうんぬん、 | |||
| リンは実のなるものにうんぬん。 | ||||
| 窒素はもろもろにうんぬん。というのが現代の常識となっていて、 | ||||
| まぁざっとそんなとこじゃないかと思うんです。 | ||||
| たとえば永田農法というのがありますね。 | ||||
| メヒコ | トマトがすっごく甘くなるっていうあれでしょ。 | |||
| 知ってる。よく聞く。 | ||||
| 井川 | はい。スパルタ農法とか呼んだりする。 | |||
| 何年か前にユニクロがそれを宅配野菜としてやってたんです。 | ||||
| ボクはそれを取っていて、ずっと楽しみに取ってたんだけど。 | ||||
| あのね。 | ||||
| ほんとにおいしかったの。どの野菜もえぐみがないし、甘いし。 | ||||
| メヒコ | やめちゃったの? | |||
| 井川 | やってません。ユニクロがやめちゃった。 | |||
| この永田農法。 | ||||
| おいしいと有名だけど、あれ本読むと | ||||
| 基本的に化学肥料しかあげないんですから。 | ||||
| メヒコ | そうなのぉ? | |||
| 井川 | 肥料も水もあげすぎてはいかんよ。 | |||
| 野菜や果物を甘やかしてはだめだよというスパルタ。 | ||||
| それが植物の本来の力を引き出すと。 | ||||
| あれ逆を言うと、 | ||||
| いまの農業は有機栽培だろうが化学肥料だろうが、 | ||||
| 肥料のあげすぎだよと言ってることでしょ。 | ||||
| メヒコ | そうなるの? | |||
| ちょっとよくわからないのは、どうして化学肥料をあげるの。 | ||||
| 有機肥料じゃだめなの? | ||||

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