2005/05/20

帰り道に/井川

スチームコンベクションオーブンやエスプレッソマシーンの導入を検討しに、
朝からタッキーとコンサルのI氏と厨房機器メーカーのデモンストレーションへ。

といっても、ほぼ厨房機器の選定はできているので、あくまで参考程度。

それにしても、いまのハイテク調理器具はすごいよ。

ボタンひとつで焼いたり、蒸したり、ゆでたり、パン作ったりね。

かと思えば、調理済みのものを急速に冷ましそのまま冷凍保存したりさ。

一台で何百万もする機械が結構売れてるらしい。

お店にとってはタイムマシーンだかんね。

いままで半日かかってたもんが2時間でできちゃうとかさ。

結局、経営者にとってはタイム伊豆マネーだってことだよ。

人件費のコスト減につながるわけだから。

けど時間を歪めるためにすごい電力使って、あっためたり冷ましたりするっていうのは、
エネルギー資源的に見るとかなり無駄じゃないのかな。

暖房と冷房を同時につけてるみたいなもんでしょ。

たとえ見た目は同じでも、味だって差が出てくる気がする。

昼は渋谷のvironで食べて、こういうのがやりたいんだよなと再実感して三茶へ。

現場は工事が始まっています。

桜新町の東京電力に電力量のアップをお願いに。

この問題が片つかないので、オープンの日にちが確定せず。

ブルーな毎日が続いてます。

お願いにあがるも東電さんでは結論は出ず。
来週審議して工期が決まるそう。

でもどんなことあっても、7月のオープンを目指して準備は進める。

求人面接。
ひととおり終わりました。

まぁいろんな人が来たね。
ちなみに応募者のほとんどが女性でした。

事前に書類に目は通し、見込みある人とだけ面接しましたが、それでも会ってみないと人はわからないものです。

会うじゃない。

一応、採用とか、不採用とか決めるでしょ。

なにを基準に選んでるかってさ。

資格とか、経験とか。
ボクの場合、そんなもんどうでもいいわけ。

これから長く一緒にやっていく「人」を探してるんだから、その人を好きになれるかどうか、それだけなのね。

たとえば、珈琲の飲み方とか、手の「さま」、靴をそろえたか、履歴書の字とか、つまり物腰が気に入ったかどうかなわけです。

面接中は緊張してても、油断してるところに、そのひとの本質というかそういうものが、
どうしたって出てくるんだな。

でもね。

偉そうなこと言えないの。

この前こういうことがあったの。

面接の合間に、ふらっと古美術屋さんに立ち寄ったときのこと。

骨董器や古道具が好きだからなんとなく眺めてたわけ。

古い建物は天井が高く、柱時計の音。
静かな沈黙。

ご主人は台座に正座し、こちらを見るわけでもなく、まっすぐ前を向いてらっしゃる。

特に欲しいものもなく、けど黙って出るのもなんか悪い。
そういう時ってあるじゃない。

とっさに「こちらに釣ってある灯篭ですか。
珍しいですね」とボクも風穴を開けたわけ。
そしたら
「それは正倉院にある灯篭を模したものです。
球というのは珍しいものです。
天平時代の文様が特徴です」「はぁー、なるほど。
確かに唐草が今の文様と違いますね」
なんてこちらも相槌を打ってまた沈黙。

帰ろうかなと思ったらご主人。

「気を悪くしないでいただきたいのですが。

あなた様はお若いが、古いものが好きなのでしょう。

そうお見受けしますが、わたくしの店に入られるとき、ポケットに手を入れたままでおられた。

そして、そのまま店を回り、そちらの器を片手で持ち上げ、裏の値段を見、戻された。
悪気は無いでしょう。

しかし、、それであなた様の人の格がわかります。
どのように育てられ、普段どのような店で買物されているのかも分かってしまいます。
このような話しをしたのもあなたがきっとわかってくれると思ったからです。
古き良きものにご興味がおありになるのなら、ポケットに手を入れてお店へ入るのはおよしなさい」
そのまま1時間。
ものの道理について講義を受けたのでした。

人を選んでいるようで、誰かに選ばれているのだなと背筋をしゃんとしたのでした。

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