2009/11/11

源ファーム 大美浪源 第三話

1947年大樹町生まれ。十勝・大樹町、養豚家。源ファーム代表。
豚にホエー(乳精)を飲ませて育てるホエー豚を平成15年より飼い始める。
現在はホエー豚研究会会長。

日本の養豚のほとんどが「三元交配豚」という品種だ。
大ヨークシャー、ランドレーヌ、デュロック。
この三品種を掛け合わせて、各養豚家が好みの豚を作りだす。それぞれの個性をいかに出すかが要だが、個体差が大きく、なかなか意図したものを作り出すことが難しい。
さらに三種類の種豚をそれぞれの農場から連れてくるため、病気も蔓延しやすい。
源ファームも豚の病気で何度も痛い思いをした。
病気が原因で経営破たんし、倒産していく養豚業者も多い。

ケンボロー豚とは、1962年にイギリスで開発された品種だ。
病気が少なく、繁殖力があり、健康なのが特徴だ。
肉質は柔らかく脂身が少ないヘルシーな豚とされており、コレステロールも低い。
源ファームのホエー豚はこのケンボローと黒豚の掛け合いで肉質が柔らかく、歯ごたえもある。
ケンボロー豚は病気が少ないが、抗生物質は使っている。

「病気でもないのに、ジャブジャブ抗生物質を使うということはないよ。
ただ、病気の恐ろしさで苦労してるから使わないということもない。なにをどれだけ使ってるかはきちんと公表してる」

いま養豚業も変わりつつある。
豚舎の中で飼うのではなく放牧して飼っているもの。
飼料も全国津々浦々、多岐にわたっている。
近頃ではスペインからドングリを食べさせたイベリコ豚をわざわざ輸入までしている。
各地の養豚家は玉石混淆のブランド豚から頭一つ出ようと必死だ。
その中でホエー豚は今もっとも注目されているブランド豚の一つだ。
ホエーとは乳清のことで、チーズを作る時にできる上澄み液である。

源ファームのホエーは、同じ町で牧場を営む半田ファームにもらいに行く。

「豚にホエーをあげるようになった1年前に、ホエーを飲ませた方がいらしたんですよ。
ホエーは、いわば産業廃棄物だからね。
その処理に困った人がたまたま豚に飲ませた。
そしたら肉がおいしくなったという噂を聞いた」

イタリアでは古くからホエーを豚に与えている。
イタリア料理に欠かせないパルミジャーノレジャーノというチーズはパルマが産地であり、そのパルマはプロシュートと言う生ハムの名産地でもある。
パルミジャーノレジャーノを作る際に出たホエーを豚に飲ませることで、プロシュートができたというのが定説だ。
ゲンさんは生ハム作りの過程で調べていくうちに、ホエーが豚肉を作るのにいいことを知った。

ゲンさんは勝手知ったる感じで半田ファームの倉庫を開け、ホエータンクから自分のトラックに移し始めた。
トラックに積んだ大きな容器にすべて移し終えると、底の方に少しチーズのカスが残った。

「これ見るとね、ああ今日はチーズが上手にできたな、とかいまいちだな、とかわかるんだよ。ククク」

「半信半疑でホエーをあげてみたら、ほんとに味が良くなって驚いた。
肉も脂身も柔らかくなるし、脂身がとけるように柔らかく甘い。
旨みが凝縮されるんだよね。不思議だよね。
でもホエー豚といってもいろいろでね」

近年、ホエー豚といってもその実態は様々だ。
コップ1杯飲ませただけでも「ホエー豚」と言って販売することも出来るし、
生のホエーではなく粉末にしたホエーを飼料に混ぜてホエー豚とするところもある。

「みなさんそれぞれだからね、どれがいいとか悪いとか言えないの。ボクも言うつもりもないしね。
ただ同じホエー豚だから同じだろうと思ってよその豚を食べると味が明らかに違うんだよね。
ほんとはホエーを飲ませている養豚家でやりくりしたいと思ってるんだけど、あまりに様々なもんだから。
『十勝ホエー豚研究会』というのを作って規定を設けることにしたの」

規定ではホエー豚とは、生後30日から95日の間に1頭当たり50リットル以上のホエーを与えられたものとし、
さらに100リットル以上のものは「マスター」とする。
源ファームでは、期間内に1頭当たりおよそ110リットルのホエーを与えているという。

「でも、わかんないんだよ。
いまあげてるホエーが適当かどうか。
だから来年は、もっともっと豚に飲ませるホエーの量を倍にしようと思ってるんだよ。
倍にしたらさて、どれほど味が変わるのか。
だれかがやってみなきゃわかんないんだから。
豚はね、品種、個体差、えさ、飼育方法で全く味が違う。
さらにね。つぶしてから一週間。
つまり賞味期限ぎりぎり、いやむしろ過ぎたもののほうが、新鮮なものよりずっとずっと美味しいことが最近わかった。
だから奥が深いんだ。まだまだ試さなきゃいけないことが山ほどある」

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