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2009/07/14

クルミド 影山知明 第二話


kageyama2-1.jpg影山知明-1973年、西国分寺生まれ。愛知県育ち。
東京大学、法学部卒業後、外資系コンサルティング会社に勤務。
その後、志を持ってベンチャーキャピタリストに転身。
昨年秋、生家の地にマージュ西国分寺を建てる。
そこに子供たちのためのカフェ「クルミドコーヒー」を開き、
試行錯誤の毎日を送っている。娘のゆのちゃんは今年2歳。
クルミドコーヒー 
http://kurumed.jp/

「クルミドケーキのお客様」

テーブルの上に花が咲く。
色とりどりの花がそこかしこを向いて笑っている。
美味しいねと一人が言うと、美味しいでしょともうひとりが笑う。
北海道の小麦、それも強力粉を使っているからこの食感なんだとか、
バターを使わず良質の菜種油を使ってるんだとか、
アイスクリームも厳選した素材で丁寧に作られたものなんだとか。
どこにもそんなことは書いていない。

影山「デザートや食事は、幼い娘に食べさせてあげたい。
そういうものだけを出しています」

kageyama7.jpg去年の1年間、影山は「マメヒコ」にどれだけ通っただろう。

この場所に古い生家が建っていた。
そこをコンクリートの建物に建て替え、一階を人々が集まるカフェにしたいと思っていた。
そうだ、自分も妻も好きな「マメヒコ」に入ってもらおう。
それが「マメヒコ」との出会いのきっかけだ。
ところが「マメヒコ 西国分寺店」は思わぬ結論になる。

「影山さん。これはきっとうまくいかない。
まず建物に森を感じない。まず階段の位置が悪い。
まず地下があるとは何事か。まず、まず」
「わかりました。ではどうすればうまくいきますか」
「それはただひとつ、影山さんがこの店の責任を持つことじゃないですか」
いつもの帰り道が、ふわふわと柔らかい道に思えた。

kageyama8.jpg3年前。ここを建て替えることが決まった時、
森と住宅を共存させたいとおぼろげに思っていた。
そのアイデアを周囲は強く反対もしなかったが、強く賛成もしなかった。
ハッキリとしたビジョンはないまま、なんとなく前に進んだ。
森と共存させる、建物を一本の木に見立てるというコンセプトが決まり、建築図面が出来上がった。
建物名はマージュ西国分寺とした。

影山「建物ができたとき、寒々しいその外観に少しショックでした。やってしまった、的なね。
いまならこうはしないと思う。
どこか、だれかに頼っていたところがあったんだと思う。
だからカフェは自分でやろうと思ったんですね」

カフェの打ち合わせは、子供のころの記憶をたぐい寄せるような作業だ。

kageyama19.jpg影山「あるときボクが甘栗が好きだという話しになったんです。
でも『甘栗むいちゃいました』はいやだと。
ほかにトウモロコシも大好物だけど、缶詰のコーンはいやだと。
トウモロコシは自分でかじって食べなきゃいやなんだと。
痛みを伴わずになにかを得てはいけないという思いがボクにはあるんです。
そしたら井川さんが、だったら木の実の店にしようよと言い出した。
それもテーブルで木の実をお客さんに割らせる。
食べたければ割りなさいと。No pain No gain だと。
木の実か。そういえばこのあたりで兄弟でよくドングリ拾ったな。
そんな子供のころの記憶がわーっとよみがえってきてね」

kageyama9.jpg店のすぐのところに、一画、宅地として整備されていないかつての森がある。
クヌギやコナラ。このあたりに当たり前にあった雑木林が、フェンスに囲まれ四角く切り取られている。
影山は何か迷うと、この場所に来てかつての友に話しかける。
カフェのオーナー。逃げられないというプレッシャー。
本業のベンチャーキャピタリストとしても、まだまだやらなければならないこともある。

「木の実の店をやろうと思うんだけど、どう思うかな」

kageyama10.jpgクルミドコーヒーの工事は真夏の炎天下の中、続いた。
井川のデザインは変更に次ぐ変更。
二つ作っては一つ壊し、三つ作っては二つ壊す毎日が続いている。
工期と予算についてはせかしたり、けちったり絶対にしなかった。
予算をオーバーしそうだと報告を受ければその足で銀行に向かった。
クルミドコーヒーをいままさに生み出さんとしているひとたちに、その思いのたけを存分に形にしてもらうこと。
それが自分にできることだと心から思っていた。

クルミの産地、長野にも出向いた。そこで初めて食用の菓子クルミの木を見た。
珈琲豆はマメヒコと同じ札幌の菊地珈琲にしよう。
水出し珈琲にすることも決まった。

kageyama12.jpg打ち合わせの中で、だんだん自分のやりたいことが明確になって来た。
意味は、あとからついて来た。
マメヒコとは全く違う、木の実の店。
「クルミドコーヒー」がもうじきできる。

kageyama11.jpg

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