井川 地杭上に横たわってる箇所を見てください。
メヒコ はいはい。
井川 いまからその骨組みのすごさを教えますね。
メヒコ お願いします。
井川 一般的にホゾ組みと言いまして、細く削った木を、穴を開けた木に入れて
組んでいくんですね。
メヒコ はいはい。在来工法の場合はそうですね。
井川 穴に入れるほうをオス、穴の方をメスと言います。わかりますね。
メヒコ わかるわよ。
井川 そのオスとメスにいろいろな組み方がある。
たとえばね、
この部分。
よく見ると同じ形で継いである。

メヒコ オスもメスもないわね。
井川 これは日常的に良く使われる継手で、
梁、桁、母屋などの継手としてよくよく多用される。
これを「追掛大栓継」。
おっかけ、おっかけと言ってます。
メヒコ オッカケダイセンツギでは言いにくいものね。
井川 そうです。
こうすることで、一本の木をそのまま使うより、
横揺れに強くなる。
それが、ちゃんと全部におっかけ継ぎがしてある。
それでね、細かいんだけど、おっかけしてる位置は、
微妙に左右でずらしてある。
左右同じところで継いだら、その分弱くなるから。
メヒコ あら、ほんとだ。
井川 それは基礎的なことだそうです。

メヒコ 知らないわねそんなこと。
井川 おっかけは、下の基礎部分と、上の桁にも使われてるでしょ。
メヒコ 桁がよくわからない。
井川 土台の上に四隅、柱が立ってますね。
メヒコ はい。
井川 あれは通し柱。
メヒコ はい。通し柱。
井川 その柱の上に四角く土台と平行に木があるでしょ。あれを桁。
メヒコ あぁ、あれが桁。ぐるっとね。
井川 そう。
その真ん中にも一本あるでしょ。
あれを敷棟(しきむね)。
メヒコ しきむね。
井川 桁から敷棟まで渡ってるのが梁です。はり。
メヒコ もうそろそろ、わからなくなってきてます。
井川 まだまだ続きますよ。
その敷棟と平行して、屋根の一番上のところにも一本通ってるでしょ。
あれを棟木。
メヒコ ムナゲ。
井川 棟木(むねぎ)です。
メヒコ はぁ。
井川 さらに、建物の棟木と平行する方向を「桁方向」、
棟木と直行する方向を「梁方向」って言うんですね。
メヒコ もうギブ。
井川 もうすこし。
桁方向に屋根を支えているのが母屋。
メヒコ オモヤ。
井川 はい。
母屋ね。
メヒコ うんうん。
井川 梁の上で、母屋を支えているのが、
小屋束。
メヒコ コヤヅカ。
井川 棟束(むなづか)とも言うって。
これは全部佐藤さんに教わったものです。
メヒコ はあ。
井川 これは一番簡単な構造だから、
この小屋で在来の基礎の基礎は覚えられるんですね。
メヒコ 覚えなくちゃいけないの?
井川 覚えなくても良いですよ。
覚えたところで仕方ないです。
きっと瞬く間に忘れるでしょう。
けど、そうやって作った佐藤さんのことは忘れないんです。
メヒコ そうね。それはそうね。
井川 だって、こうやっとけばどんな大きな地震が来たって大丈夫。
100年は持つぞって言いながら、いろいろと説明してくれる。
ここに100年なんて全然思ってもなかったし、
地震が来るって言ったって、こんなハタケの真ん中で
地震も何もねぇ(笑)。
メヒコ ハハハ。
井川 でもそうやって作ってる。自分が死んだ後のことを考えてものを作るって
あんまり考えないでしょ。普通。
メヒコ そうね。その日暮らしだわね。
井川 テレビなんてまさにそうでしょ。
メヒコ そのときだけよければいいやって言うね。
井川 まだまだ秘密がある。
メヒコ もう難しいのはいいわ。
井川 そう言わず、聞いてください。
しゃべりたいんですよ。
メヒコ なら聞くわ。
井川 在来工法と言っても、地域ごとに違うんですかと聞いたら、
やっぱり違うと。
メヒコ そうでしょうね。
井川 その土地土地に合わせた作り方というのがあって、
たとえばここ。
井川 すごい下地がすごいでしょ。
メヒコ うん。
井川 これは軒を支える下地なんだけど、
冬雪が降って、軒に加重がかかっても平気な様に
これだけ頑丈に作ってあるんです。
メヒコ 雪が降るんだものね。
井川 だから、佐藤さんの口癖なんだけど、
ことあるごとに、「こうしとけば寒くないから」って。
メヒコ 寒くない?
井川 この小屋の建ってる向きをよーく考えてあるんです。
あっちが北です。
メヒコ あっちが北ね。
井川 そうしたらね、北風が入ってこない様に最大限の工夫をしてるんです。
メヒコ 北風。
井川 たとえば、この窓、ほんとうは、左側が前なんです。
服のボタンと同じで。
左が前。
0
mamehicoハタケマメヒコ '10 十勝メヒコの部屋井川 地杭上に横たわってる箇所を見てください。 メヒコ はいはい。 井川 いまからその骨組みのすごさを教えますね。 メヒコ お願いします。 井川 一般的にホゾ組みと言いまして、細く削った木を、穴を開けた木に入れて 組んでいくんですね。 メヒコ はいはい。在来工法の場合はそうですね。 井川 穴に入れるほうをオス、穴の方をメスと言います。わかりますね。 メヒコ わかるわよ。 井川 そのオスとメスにいろいろな組み方がある。 たとえばね、 この部分。 よく見ると同じ形で継いである。 メヒコ オスもメスもないわね。 井川 これは日常的に良く使われる継手で、 梁、桁、母屋などの継手としてよくよく多用される。 これを「追掛大栓継」。 おっかけ、おっかけと言ってます。 メヒコ オッカケダイセンツギでは言いにくいものね。 井川 そうです。 こうすることで、一本の木をそのまま使うより、 横揺れに強くなる。 それが、ちゃんと全部におっかけ継ぎがしてある。 それでね、細かいんだけど、おっかけしてる位置は、 微妙に左右でずらしてある。 左右同じところで継いだら、その分弱くなるから。 メヒコ あら、ほんとだ。 井川 それは基礎的なことだそうです。 メヒコ 知らないわねそんなこと。 井川 おっかけは、下の基礎部分と、上の桁にも使われてるでしょ。 メヒコ 桁がよくわからない。 井川 土台の上に四隅、柱が立ってますね。 メヒコ はい。 井川 あれは通し柱。 メヒコ はい。通し柱。 井川 その柱の上に四角く土台と平行に木があるでしょ。あれを桁。 メヒコ あぁ、あれが桁。ぐるっとね。 井川 そう。 その真ん中にも一本あるでしょ。 あれを敷棟(しきむね)。 メヒコ しきむね。 井川 桁から敷棟まで渡ってるのが梁です。はり。 メヒコ もうそろそろ、わからなくなってきてます。 井川 まだまだ続きますよ。 その敷棟と平行して、屋根の一番上のところにも一本通ってるでしょ。 あれを棟木。 メヒコ ムナゲ。 井川 棟木(むねぎ)です。 メヒコ はぁ。 井川 さらに、建物の棟木と平行する方向を「桁方向」、 棟木と直行する方向を「梁方向」って言うんですね。 メヒコ もうギブ。 井川 もうすこし。 桁方向に屋根を支えているのが母屋。 メヒコ オモヤ。 井川 はい。 母屋ね。 メヒコ うんうん。 井川 梁の上で、母屋を支えているのが、 小屋束。 メヒコ コヤヅカ。 井川 棟束(むなづか)とも言うって。 これは全部佐藤さんに教わったものです。 メヒコ はあ。 井川 これは一番簡単な構造だから、 この小屋で在来の基礎の基礎は覚えられるんですね。 メヒコ 覚えなくちゃいけないの? 井川 覚えなくても良いですよ。 覚えたところで仕方ないです。 きっと瞬く間に忘れるでしょう。 けど、そうやって作った佐藤さんのことは忘れないんです。 メヒコ そうね。それはそうね。 井川 だって、こうやっとけばどんな大きな地震が来たって大丈夫。 100年は持つぞって言いながら、いろいろと説明してくれる。 ここに100年なんて全然思ってもなかったし、 地震が来るって言ったって、こんなハタケの真ん中で 地震も何もねぇ(笑)。 メヒコ ハハハ。 井川 でもそうやって作ってる。自分が死んだ後のことを考えてものを作るって あんまり考えないでしょ。普通。 メヒコ そうね。その日暮らしだわね。 井川 テレビなんてまさにそうでしょ。 メヒコ そのときだけよければいいやって言うね。 井川 まだまだ秘密がある。 メヒコ もう難しいのはいいわ。 井川 そう言わず、聞いてください。 しゃべりたいんですよ。 メヒコ なら聞くわ。 井川 在来工法と言っても、地域ごとに違うんですかと聞いたら、 やっぱり違うと。 メヒコ そうでしょうね。 井川 その土地土地に合わせた作り方というのがあって、 たとえばここ。 井川 すごい下地がすごいでしょ。 メヒコ うん。 井川 これは軒を支える下地なんだけど、 冬雪が降って、軒に加重がかかっても平気な様に これだけ頑丈に作ってあるんです。 メヒコ 雪が降るんだものね。 井川 だから、佐藤さんの口癖なんだけど、 ことあるごとに、「こうしとけば寒くないから」って。 メヒコ 寒くない? 井川 この小屋の建ってる向きをよーく考えてあるんです。 あっちが北です。 メヒコ あっちが北ね。 井川 そうしたらね、北風が入ってこない様に最大限の工夫をしてるんです。 メヒコ 北風。 井川 たとえば、この窓、ほんとうは、左側が前なんです。 服のボタンと同じで。 左が前。