井川

まぁ、実はひとつだけ芽が出なかったのがある。
メヒコ そうなの?
井川 黒豆だけはいっこうに芽が出なかった。
おかしいなおかしいなと思って、しばらく様子見てたんだけど。
これはおかしいと思って、掘ってみたら死んでた。
メヒコ 事件ね。
井川 土のなかでカビてたんです。
メヒコ どうして?
井川 原因はわからないんです。
メヒコ 黒大豆だけ?
井川 そうです。
黒大豆だけ。
どうにもわからない。
全滅です。
メヒコ ミステリーだわね。
井川 ミステリーですね。
結局そこは全部ヒマワリを植えました。
メヒコ 植え直すわけにはいかないの?
井川 行かないんですね。
また来年にかけるしかない。
メヒコ はぁ。
井川 ほかのはこうして、順調に育ってくれて。
メヒコ 愛情をかけて育ててるからよ。
芽を出してちょうだいねって声かけると違うんだって。
井川 そう言いますね。
メヒコ 頑張りなさいと声かけると豆も頑張る。
井川 そう。愛情はかけてる。
メヒコ この通りの両サイドは花豆でしょ。
井川 はい。ともに白花豆。
メヒコ もう花が咲いてる。
井川 そうです。
実は右サイドと左サイド。
同じ日に植えたんだけど、全然違うでしょ。育ちが。
メヒコ そうね。左の方が大きい。
井川 これはともに、中生白花豆なんだけど、
右はマメヒコから持ってきたもの。
左はこの大樹町で採れた中生白花豆。
左の方が大きいんです。
メヒコ へぇ。
井川 地豆という言葉があるんです。
その土地由来の豆。それが地豆。
よそから持ってきた豆は、この土地、この場所に慣れてないから、
育ちは悪いんです。
ここで生まれた2代目3代目の豆は、育ちが良い。
メヒコ そういうことってあるんですね。
井川 あるんですね。
メヒコ ミステリーだね。
井川 そう。同じ畑に同じものを植えてもこれだけ違う。
これは経験、体験しなくてはわからない。
そして、よくよく観察してないとわからない。
梅と桜も同じ花だろ、くらいに思っていたんでは、
小豆も大豆も同じ豆だろ。ぐらいに思っていたんでは、
やっぱり農業はうまくいかないと思う。

メヒコ

なんでもそうでしょうけど。
ミクロとマクロの二つの目を持つということが大事。
井川 ほらこれなんかもよくよく見て。
こっちは大豆、隣は貝豆、紅絞り。
メヒコ ほんとだ。
井川 これらは花豆と同じインゲン豆だけど、ツルの出方が違う。
メヒコ 竹の長さも違うのね。
井川 そう。この竹は手竹と言ってツルのあるインゲン豆に使います。
メヒコ これ全部刺すだけでも大変ね。
井川 1200本あります。
メヒコ それを2人で?
井川 もちろん。
メヒコ 大変だわ。
井川 大変でもないです。
メヒコ 偉いわね、東京から来て、こんな畑で手竹まで刺して。

井川

みんなそう言うんだけど、
そうでもないです。
藍子も麻衣子も。2人ともね東京でカフェやったり、芝居やったり、
ラジオやったり、テレビの仕事したり、新しいお店を作ったりしてきましたけど、
ほかにもっともっと大変なことはいっぱいありました。
それに比べれば、全然たいしたことないし、
ハタケ マメヒコというのは相当楽しい部類です。
ボクらはそれを伝えたいと思ってるんですね。
メヒコ ハタケ マメヒコは楽しいと。
井川 そう。おかげさまで。楽しくやらせてもらっていますと。
夜、こっちでよる8時くらまで畑で働いてると、
偉いわね偉いわねと褒めてもらえる。
けど、東京の渋谷のマメヒコで8時まで働いたって、
だれも偉いなんて言ってくれないですよ。
テレビ局で、明け方まで働いたって、だれも偉いなんて言ってくれません。
メヒコ そりゃそうね。
井川 けど、東京で仕事をして、まぁ、サラリーマンとして勤めてね、
安い給料だとブーブー言ってもね、
働いた分のお給料がもらえないと言うことはないでしょう。

メヒコ はい。
井川 でも、農家は1年間働いたって、全部パーになるってことが
いくらでもあるんだ。
パーになるだけじゃない。借金だけが残ると言うことがいくらでもある。
そう言う意味では、東京でサラリーマンとして働くのはお気楽かもしれません。
メヒコ どっちがどうということは、ないわよ。そりゃ。
田舎暮らしはと都会暮らしのどちらが幸せなんてことはないでしょ。
井川 おかげさまで楽しいです。ってことはまず伝えたいんですね。
そして、それほど大変じゃない。
1200本の手竹を立てるのも、自分たちのペースでできる。
こういうことは、少しずつでも長く続けられないかなと思っているんですね。
メヒコ 来年こそは黒豆やるぞとかね。
井川 そうそう。もう来年どうしよっかというはなしになってるんです。
メヒコ そう言う意味では、いまこの建設中のこの「豆小屋マメヒコ」。
これもあなた、ずいぶん立派だわね。
井川 はい。
メヒコ 物置を建ててるって言うから、そうかと思ったら、
住めるじゃない。
井川 水道もトイレもないから、住むってわけにはいかないですけど。
メヒコ これはどういうつもりで作ったの?
井川 今年とりあえずやってみて、また来年どうするか。
そう言う思いでやり始めたんですね。
でも、最低限の作業小屋はいるなと。
それを畑の端っこにひっそり作ろうと思ってました。
メヒコ 全然ひっそりじゃないわよ。
井川 はい(苦笑)。
メヒコ かなり目立つ。
井川 目立ちますね。
でもこれはひとりの大工さんに出会ったからこうなったんです。
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mamehicoハタケマメヒコ '10 十勝メヒコの部屋井川 まぁ、実はひとつだけ芽が出なかったのがある。 メヒコ そうなの? 井川 黒豆だけはいっこうに芽が出なかった。 おかしいなおかしいなと思って、しばらく様子見てたんだけど。 これはおかしいと思って、掘ってみたら死んでた。 メヒコ 事件ね。 井川 土のなかでカビてたんです。 メヒコ どうして? 井川 原因はわからないんです。 メヒコ 黒大豆だけ? 井川 そうです。 黒大豆だけ。 どうにもわからない。 全滅です。 メヒコ ミステリーだわね。 井川 ミステリーですね。 結局そこは全部ヒマワリを植えました。 メヒコ 植え直すわけにはいかないの? 井川 行かないんですね。 また来年にかけるしかない。 メヒコ はぁ。 井川 ほかのはこうして、順調に育ってくれて。 メヒコ 愛情をかけて育ててるからよ。 芽を出してちょうだいねって声かけると違うんだって。 井川 そう言いますね。 メヒコ 頑張りなさいと声かけると豆も頑張る。 井川 そう。愛情はかけてる。 メヒコ この通りの両サイドは花豆でしょ。 井川 はい。ともに白花豆。 メヒコ もう花が咲いてる。 井川 そうです。 実は右サイドと左サイド。 同じ日に植えたんだけど、全然違うでしょ。育ちが。 メヒコ そうね。左の方が大きい。 井川 これはともに、中生白花豆なんだけど、 右はマメヒコから持ってきたもの。 左はこの大樹町で採れた中生白花豆。 左の方が大きいんです。 メヒコ へぇ。 井川 地豆という言葉があるんです。 その土地由来の豆。それが地豆。 よそから持ってきた豆は、この土地、この場所に慣れてないから、 育ちは悪いんです。 ここで生まれた2代目3代目の豆は、育ちが良い。 メヒコ そういうことってあるんですね。 井川 あるんですね。 メヒコ ミステリーだね。 井川 そう。同じ畑に同じものを植えてもこれだけ違う。 これは経験、体験しなくてはわからない。 そして、よくよく観察してないとわからない。 梅と桜も同じ花だろ、くらいに思っていたんでは、 小豆も大豆も同じ豆だろ。ぐらいに思っていたんでは、 やっぱり農業はうまくいかないと思う。 メヒコ なんでもそうでしょうけど。 ミクロとマクロの二つの目を持つということが大事。 井川 ほらこれなんかもよくよく見て。 こっちは大豆、隣は貝豆、紅絞り。 メヒコ ほんとだ。 井川 これらは花豆と同じインゲン豆だけど、ツルの出方が違う。 メヒコ 竹の長さも違うのね。 井川 そう。この竹は手竹と言ってツルのあるインゲン豆に使います。 メヒコ これ全部刺すだけでも大変ね。 井川 1200本あります。 メヒコ それを2人で? 井川 もちろん。 メヒコ 大変だわ。 井川 大変でもないです。 メヒコ 偉いわね、東京から来て、こんな畑で手竹まで刺して。 井川 みんなそう言うんだけど、 そうでもないです。 藍子も麻衣子も。2人ともね東京でカフェやったり、芝居やったり、 ラジオやったり、テレビの仕事したり、新しいお店を作ったりしてきましたけど、 ほかにもっともっと大変なことはいっぱいありました。 それに比べれば、全然たいしたことないし、 ハタケ マメヒコというのは相当楽しい部類です。 ボクらはそれを伝えたいと思ってるんですね。 メヒコ ハタケ マメヒコは楽しいと。 井川 そう。おかげさまで。楽しくやらせてもらっていますと。 夜、こっちでよる8時くらまで畑で働いてると、 偉いわね偉いわねと褒めてもらえる。 けど、東京の渋谷のマメヒコで8時まで働いたって、 だれも偉いなんて言ってくれないですよ。 テレビ局で、明け方まで働いたって、だれも偉いなんて言ってくれません。 メヒコ そりゃそうね。 井川 けど、東京で仕事をして、まぁ、サラリーマンとして勤めてね、 安い給料だとブーブー言ってもね、 働いた分のお給料がもらえないと言うことはないでしょう。 メヒコ はい。 井川 でも、農家は1年間働いたって、全部パーになるってことが いくらでもあるんだ。 パーになるだけじゃない。借金だけが残ると言うことがいくらでもある。 そう言う意味では、東京でサラリーマンとして働くのはお気楽かもしれません。 メヒコ どっちがどうということは、ないわよ。そりゃ。 田舎暮らしはと都会暮らしのどちらが幸せなんてことはないでしょ。 井川 おかげさまで楽しいです。ってことはまず伝えたいんですね。 そして、それほど大変じゃない。 1200本の手竹を立てるのも、自分たちのペースでできる。 こういうことは、少しずつでも長く続けられないかなと思っているんですね。 メヒコ 来年こそは黒豆やるぞとかね。 井川 そうそう。もう来年どうしよっかというはなしになってるんです。 メヒコ そう言う意味では、いまこの建設中のこの「豆小屋マメヒコ」。 これもあなた、ずいぶん立派だわね。 井川 はい。 メヒコ 物置を建ててるって言うから、そうかと思ったら、 住めるじゃない。 井川 水道もトイレもないから、住むってわけにはいかないですけど。 メヒコ これはどういうつもりで作ったの? 井川 今年とりあえずやってみて、また来年どうするか。 そう言う思いでやり始めたんですね。 でも、最低限の作業小屋はいるなと。 それを畑の端っこにひっそり作ろうと思ってました。 メヒコ 全然ひっそりじゃないわよ。 井川 はい(苦笑)。 メヒコ かなり目立つ。 井川 目立ちますね。 でもこれはひとりの大工さんに出会ったからこうなったんです。