井川

仕方ないから、トウモロコシ用の板にガムテープって穴を少なくして
やってみましょう。
メヒコ そんなんで大ジョブなの?
井川 大ジョブです。現にこうして畑になってる。
これは砂田さんのアイデア。
メヒコ なんだかテンション下がるな。
井川 あのね。文句言わずに、なんでもあるもので、とりあえずやってみる。
「とりあえず、よっちゃん。やってみるべ」
これは砂田さんの口癖。
ぼくらはこの言葉にどれだけ励まされて、
ここまでやってこれたか(涙)。
メヒコ わかったわかった。
井川 足跡の上を、まっすぐ歩いてください。
メヒコ はーい。あっ、これは楽ちん楽ちん。
ハハハ。楽しい。
井川 ちょっと、ちょっと。
ちゃんと播いた種の上を歩いてください。
メヒコ えぇっ?
井川 種の上を踏んづけて歩いて。あなたは避けて歩いている。
メヒコ 播いた種を踏んづけたら芽が出ないじゃない。
井川 踏んづけなかったら芽が出にくいんです。
メヒコ なにそれ。聞いたことがない。どこの法律よ。
播いた種を踏んづけろなんて。
球根が植わってるので花壇には入らないでくださいって。
小学校の時にやらなかったの?
井川 あのね。
豆は播いた上から転圧した方が発芽しやすいの。
メヒコ 信じられないわ。わたしは踏まないでやってみるわ。
井川 じゃぁ、勝手にすれば。そのかわり、
ここらの鳩に食べられちゃうよ。
メヒコ 鳩?鳩がいるの?
井川 いますよ。ほら鳴いてるじゃない。
鳩による大豆の食害に対する予防と対策、なんて資料があるくらいだから。
鳩が全部食べちゃいますよ。
メヒコ 対策はないの?
井川 鳩が食べたら苦い薬をまぶして播くの。
でも、その豆はまぶしてませんよ。
メヒコ まぶしなさいよ。鳩に食べられるじゃない。
井川 薬は使わないことでやってるから。ちゃんと踏んづければ大丈夫。
メヒコ うう。
井川 大ジョブだから。強情だな。
メヒコ ・・・。
井川 これにはついてないけど、服部さんのところの播種器には、
後ろに重たいローラーがついてて、
転圧するようになってました。
だから安心して踏んでください。
メヒコ 固定概念というのを崩すのはなかなか難しいわね。
井川 そう。
こんなことがありました。
豆を播くときにどこに豆を播くのかと悩んだときに。
あるひとは凹に播くんだと。
メヒコ 穴を掘って播くと言うこと?
井川 そう。
だから、最初藍ちゃんは、いま耕耘機で掘った、畝間に播いてたわけ。
メヒコ はいはい。
井川 穴を掘って何かを播くという固定概念があるから。
けど、豆というのは3㎝くらいの深さでいいわけで。
ぼくは凸と凹なら凸に播けと。
凸が畝なんだから。
メヒコ 凹は畝間だからね。
井川 で、どっちに播けばいいかわからなくて。
メヒコ 結局どうしたの?
井川 「とりあえず、やってみるべ(笑)」
メヒコ ハハハ。
井川 凸で正解でした。
メヒコ なるほど。
井川 こんなこともありました。
種を播いた後、畑にカラスをよく見る様になった。
メヒコ うんうん。
井川 ボクは「あっ、豆を食べてる。このやろ、あっち行けこの野郎」
って石投げたの。そしたら、
「石を投げるのはやめてー」って、麻衣ちゃんと藍ちゃんが。
メヒコ 言うの?
井川 そう、「カラスさんをいじめないでー」って。
メヒコ ほうほう。
井川 「カラスさんは豆を食べてるんじゃないの」
いや豆を食べてるに決まってる
「カラスさんは土の中にいる悪い虫を食べてるの」
「そんなバナナ」
「あたし見たもの」
「あたしも見た」
「オレは白いものくわえてるの見たンだぞ」
「だからあれは白い虫」
「ほら、掘ってごらんよ、こういう白い虫を食べてるのよ」
「そうかもしれないけど、豆も食べてるよ」
「それは都会人のカラスに対する偏見よ」
「カラスを悪者だとすり込まれているのよ。かわいそカラスさん」
「かわいそ」
「かわいそ」
メヒコ いつまで続くの?
井川 もう少し、
「そうかよ。だっら勝手にしろやい」
「ちょっとどこ行くの。そっちは森よ」
「もう、知らねぇ。オレは帰る」
「ちょっと。麻衣ちゃん止めてよ」
「いいわよ。ほっときなさい。あんな分からず屋」
メヒコ もういいわ。なんなのその少女漫画みたいな台詞回し。
わかった。私が悪かったわ。
ちゃんと豆を踏むわ。踏みますよ。
井川 なかなか自分の考えというのは変えられないんですね。
メヒコ そうね。
井川 これで豆を全部播き終わりました。
それが6月の10日前後です。
メヒコ それから天気がぐんぐん、よくなったんでしょ。
井川 そうなの。
去年以上の冷害と大きく新聞の見出しには出てたんだけど。
6月中頃から30度近い日が続いて、
みるみる発芽して、
発芽しないんじゃないかという心配は吹っ飛びました。
メヒコ でもすごいわね。
こうやって、全部芽が出たんだから。
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mamehicoハタケマメヒコ '10 十勝メヒコの部屋 井川 仕方ないから、トウモロコシ用の板にガムテープって穴を少なくして やってみましょう。 メヒコ そんなんで大ジョブなの? 井川 大ジョブです。現にこうして畑になってる。 これは砂田さんのアイデア。 メヒコ なんだかテンション下がるな。 井川 あのね。文句言わずに、なんでもあるもので、とりあえずやってみる。 「とりあえず、よっちゃん。やってみるべ」 これは砂田さんの口癖。 ぼくらはこの言葉にどれだけ励まされて、 ここまでやってこれたか(涙)。 メヒコ わかったわかった。 井川 足跡の上を、まっすぐ歩いてください。 メヒコ はーい。あっ、これは楽ちん楽ちん。 ハハハ。楽しい。 井川 ちょっと、ちょっと。 ちゃんと播いた種の上を歩いてください。 メヒコ えぇっ? 井川 種の上を踏んづけて歩いて。あなたは避けて歩いている。 メヒコ 播いた種を踏んづけたら芽が出ないじゃない。 井川 踏んづけなかったら芽が出にくいんです。 メヒコ なにそれ。聞いたことがない。どこの法律よ。 播いた種を踏んづけろなんて。 球根が植わってるので花壇には入らないでくださいって。 小学校の時にやらなかったの? 井川 あのね。 豆は播いた上から転圧した方が発芽しやすいの。 メヒコ 信じられないわ。わたしは踏まないでやってみるわ。 井川 じゃぁ、勝手にすれば。そのかわり、 ここらの鳩に食べられちゃうよ。 メヒコ 鳩?鳩がいるの? 井川 いますよ。ほら鳴いてるじゃない。 鳩による大豆の食害に対する予防と対策、なんて資料があるくらいだから。 鳩が全部食べちゃいますよ。 メヒコ 対策はないの? 井川 鳩が食べたら苦い薬をまぶして播くの。 でも、その豆はまぶしてませんよ。 メヒコ まぶしなさいよ。鳩に食べられるじゃない。 井川 薬は使わないことでやってるから。ちゃんと踏んづければ大丈夫。 メヒコ うう。 井川 大ジョブだから。強情だな。 メヒコ ・・・。 井川 これにはついてないけど、服部さんのところの播種器には、 後ろに重たいローラーがついてて、 転圧するようになってました。 だから安心して踏んでください。 メヒコ 固定概念というのを崩すのはなかなか難しいわね。 井川 そう。 こんなことがありました。 豆を播くときにどこに豆を播くのかと悩んだときに。 あるひとは凹に播くんだと。 メヒコ 穴を掘って播くと言うこと? 井川 そう。 だから、最初藍ちゃんは、いま耕耘機で掘った、畝間に播いてたわけ。 メヒコ はいはい。 井川 穴を掘って何かを播くという固定概念があるから。 けど、豆というのは3㎝くらいの深さでいいわけで。 ぼくは凸と凹なら凸に播けと。 凸が畝なんだから。 メヒコ 凹は畝間だからね。 井川 で、どっちに播けばいいかわからなくて。 メヒコ 結局どうしたの? 井川 「とりあえず、やってみるべ(笑)」 メヒコ ハハハ。 井川 凸で正解でした。 メヒコ なるほど。 井川 こんなこともありました。 種を播いた後、畑にカラスをよく見る様になった。 メヒコ うんうん。 井川 ボクは「あっ、豆を食べてる。このやろ、あっち行けこの野郎」 って石投げたの。そしたら、 「石を投げるのはやめてー」って、麻衣ちゃんと藍ちゃんが。 メヒコ 言うの? 井川 そう、「カラスさんをいじめないでー」って。 メヒコ ほうほう。 井川 「カラスさんは豆を食べてるんじゃないの」 「いや豆を食べてるに決まってる」 「カラスさんは土の中にいる悪い虫を食べてるの」 「そんなバナナ」 「あたし見たもの」 「あたしも見た」 「オレは白いものくわえてるの見たンだぞ」 「だからあれは白い虫」 「ほら、掘ってごらんよ、こういう白い虫を食べてるのよ」 「そうかもしれないけど、豆も食べてるよ」 「それは都会人のカラスに対する偏見よ」 「カラスを悪者だとすり込まれているのよ。かわいそカラスさん」 「かわいそ」 「かわいそ」 メヒコ いつまで続くの? 井川 もう少し、 「そうかよ。だっら勝手にしろやい」 「ちょっとどこ行くの。そっちは森よ」 「もう、知らねぇ。オレは帰る」 「ちょっと。麻衣ちゃん止めてよ」 「いいわよ。ほっときなさい。あんな分からず屋」 メヒコ もういいわ。なんなのその少女漫画みたいな台詞回し。 わかった。私が悪かったわ。 ちゃんと豆を踏むわ。踏みますよ。 井川 なかなか自分の考えというのは変えられないんですね。 メヒコ そうね。 井川 これで豆を全部播き終わりました。 それが6月の10日前後です。 メヒコ それから天気がぐんぐん、よくなったんでしょ。 井川 そうなの。 去年以上の冷害と大きく新聞の見出しには出てたんだけど。 6月中頃から30度近い日が続いて、 みるみる発芽して、 発芽しないんじゃないかという心配は吹っ飛びました。 メヒコ でもすごいわね。 こうやって、全部芽が出たんだから。