東京都内にカフェ3店舗を展開する株式会社セレンディピティ。
カフェを経営する傍ら、北海道のハタケで、
料理やデザートに使用する豆を東京のスタッフが
入れ替わりで栽培するハタケマメヒコという活動も行っています。
「東京でカフェ・北海道でハタケ」という2つの視点から
見えてくることを代表の井川啓央氏に伺いました。
 

□日本古来の豆のカフェ

珈琲のお供に、日本古来の豆を食事やデザートに使った
カフェ、カフエマメヒコを始めたのはいまから9年前です。
三軒茶屋で始めて、その後、渋谷に2店作りました。
いま三軒茶屋に新しいお店を作っているので、これで4店舗になります。
 

お店で使っている日本古来の豆というのは
小豆、大豆、黒大豆、紫花豆や白花豆、金時豆、虎豆などのインゲン類です。
マメと珈琲ということで、珈琲を逆さに読んでヒコ、
それでマメヒコとしたんです。
とくに深い意味はありません。
 

開店以来、毎日、5種類近くの豆を店内のスタッフが炊いています。
主にデザートに使います。
お店で一番人気の黒豆寒天というのがあるんですけど、
これは吸水に1日、味入れに2~3日くらいはかかります。
それぞれのお店の厨房で、スタッフがイチから豆を煮ます。
女の子が多いんですが、もちろんうちに来るまでは豆なんか煮たこともない、
普段もあまり食べないというスタッフばかりです。
豆好きを集めてるわけじゃないですから。
それでも、それぞれの豆に合わせた火加減を教えて、
まぁ、なんとか1年もいれば勘所がわかるようになります。
ホールとキッチンが分かれているわけではないので、
豆は全員が炊くんです。
うまくいくときもあればいかないときもあるんですけど、
甘煮を作ったり、あんこを炊いたり、塩大豆を作ったり、
最近は味噌も作ったり、そういうことを楽しみながらやるという感じですね。
 

でもお客さんも豆に馴染みがないですから、
「私が炊いたんです」なんて若い女の子が言うと受けるんですよ。
「あら、偉いわね」って。
そういうことが励みになる。
豆を煮ることはそんなに難しくない。
ただ、時間がかかるというだけでね。
それでもみんなやらないから、
「渋谷の真ん中で豆を煮てるなんて、すごいわね」ってなって、
なんか会話が弾むんですね。
 

□豆のカフェを開いた理由

それだけ豆というのは馴染みがあるけど馴染みがない食べ物なんです。
知ってるようで知らない。
ボクはそこが面白いと思ってマメヒコを始めました。
 

マメヒコを始める以前、料理教室を開いていたことがあったんですね。
料理好きの生徒さんがわらわらと集まって来る。
あるとき、みんな料理は作るけど豆を煮たことは無いというんです。
母親が豆を煮てる姿も見たことがないと。
それに煮豆は甘すぎて、そんなに食べたくないと。
そもそも、乾物の食品を戻して食べるという食習慣が
現代にはほとんど無くなってしまいました。
みんな口をそろえて、はっきり言ってめんどうくさいと。
あぁ、料理好きにとっても、
乾物を戻すというのはめんどうなことなんだと関心したんです。
それで、自分でやってみたんです。
豆を煮てみた。
ところがそんなにめんどうくさくないんですね。
戻すのに時間がかかるというだけで。
ただ、外食が中心になってきている今の時代には、
明日明後日の食事のために豆を戻すというのはハードルが高い。
そして豆のレパートリーも甘く煮るくらいしか知らないとなれば
作らなくなっても仕方がないと思いました。
 

当時、小さなテレビの制作会社をやっていたんですが、
ひょんなことからカフェをやろうと決めました。
カフェはカフェでも、なにをやろうかと考えた時に、
このめんどうくさいとみんなが思っている「豆を戻して煮る」という作業を
店で肩代わりしたらみんな喜ぶんじゃないかと思った。
豆は名前も面白いし、フォルムもきれいです。
そしてなにより誰もやっていない。
だったらということで、乾物豆のカフェをやることを思いついたわけです。

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mamehicoハタケマメヒコ ’14 千歳ハタケマメヒコ東京都内にカフェ3店舗を展開する株式会社セレンディピティ。カフェを経営する傍ら、北海道のハタケで、料理やデザートに使用する豆を東京のスタッフが入れ替わりで栽培するハタケマメヒコという活動も行っています。「東京でカフェ・北海道でハタケ」という2つの視点から見えてくることを代表の井川啓央氏に伺いました。  □日本古来の豆のカフェ 珈琲のお供に、日本古来の豆を食事やデザートに使ったカフェ、カフエマメヒコを始めたのはいまから9年前です。三軒茶屋で始めて、その後、渋谷に2店作りました。いま三軒茶屋に新しいお店を作っているので、これで4店舗になります。  お店で使っている日本古来の豆というのは小豆、大豆、黒大豆、紫花豆や白花豆、金時豆、虎豆などのインゲン類です。マメと珈琲ということで、珈琲を逆さに読んでヒコ、それでマメヒコとしたんです。とくに深い意味はありません。  開店以来、毎日、5種類近くの豆を店内のスタッフが炊いています。主にデザートに使います。お店で一番人気の黒豆寒天というのがあるんですけど、これは吸水に1日、味入れに2~3日くらいはかかります。それぞれのお店の厨房で、スタッフがイチから豆を煮ます。女の子が多いんですが、もちろんうちに来るまでは豆なんか煮たこともない、普段もあまり食べないというスタッフばかりです。豆好きを集めてるわけじゃないですから。それでも、それぞれの豆に合わせた火加減を教えて、まぁ、なんとか1年もいれば勘所がわかるようになります。ホールとキッチンが分かれているわけではないので、豆は全員が炊くんです。うまくいくときもあればいかないときもあるんですけど、甘煮を作ったり、あんこを炊いたり、塩大豆を作ったり、最近は味噌も作ったり、そういうことを楽しみながらやるという感じですね。  でもお客さんも豆に馴染みがないですから、「私が炊いたんです」なんて若い女の子が言うと受けるんですよ。「あら、偉いわね」って。そういうことが励みになる。豆を煮ることはそんなに難しくない。ただ、時間がかかるというだけでね。それでもみんなやらないから、「渋谷の真ん中で豆を煮てるなんて、すごいわね」ってなって、なんか会話が弾むんですね。  □豆のカフェを開いた理由 それだけ豆というのは馴染みがあるけど馴染みがない食べ物なんです。知ってるようで知らない。ボクはそこが面白いと思ってマメヒコを始めました。  マメヒコを始める以前、料理教室を開いていたことがあったんですね。料理好きの生徒さんがわらわらと集まって来る。あるとき、みんな料理は作るけど豆を煮たことは無いというんです。母親が豆を煮てる姿も見たことがないと。それに煮豆は甘すぎて、そんなに食べたくないと。そもそも、乾物の食品を戻して食べるという食習慣が現代にはほとんど無くなってしまいました。みんな口をそろえて、はっきり言ってめんどうくさいと。あぁ、料理好きにとっても、乾物を戻すというのはめんどうなことなんだと関心したんです。それで、自分でやってみたんです。豆を煮てみた。ところがそんなにめんどうくさくないんですね。戻すのに時間がかかるというだけで。ただ、外食が中心になってきている今の時代には、明日明後日の食事のために豆を戻すというのはハードルが高い。そして豆のレパートリーも甘く煮るくらいしか知らないとなれば作らなくなっても仕方がないと思いました。  当時、小さなテレビの制作会社をやっていたんですが、ひょんなことからカフェをやろうと決めました。カフェはカフェでも、なにをやろうかと考えた時に、このめんどうくさいとみんなが思っている「豆を戻して煮る」という作業を店で肩代わりしたらみんな喜ぶんじゃないかと思った。豆は名前も面白いし、フォルムもきれいです。そしてなにより誰もやっていない。だったらということで、乾物豆のカフェをやることを思いついたわけです。