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[読みもの]「カフエと映画」について

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マメヒコは、映画を作っています。レアチーズを作ったり、
黒豆寒天を作ったりするように映画を作っているのです。

マメヒコで作る映画は、マメヒコの日常で感じたことを、
マメヒコの風景のなかで、映し出そうとしてきました。

それは一作目、二作目、三作目ともに
共通していることです。

マメヒコを仕事にしている、私たちの視点から、
作れる映画を作っているのです。

ご鑑賞いただいた方からは、「コレは本当のお話し?」
と、よく聞かれます。

「もちろん映画ですから、大きな嘘はあります。
でも、マメヒコにいるワタシから見て、
小さな嘘はついていないと思います」
と、お伝えしています。

上映期間中、宇田川町店は上映専用の
ウーダ映画館へと変わります。
カフエなので、珈琲を出すだけでなく、
映画にちなんだ料理やデザートも考えます。
映画の中でおいしそうなケーキが
あって、それを食べながら、
映画を観たら、楽しいと思うのです。

そういう体験をされると、観ている皆さんは、
「映画のなかに映っているマメヒコ」
と、
「私がいま居るマメヒコ」
との境界線がぼんやりしてくるそう。
これがとても不思議なようなのです。

そういうことを面白いと言ってくださった
お客さまたちのご支持があって、
この夏、三作目の公開となります。
製作費の一部も、おかげさまでクラウドファンディングで
集めることもできました。

ゲーテ診療所とは。

ゲーテ先生は博識な心療内科医です。

そのゲーテ先生が居るゲーテ診療所は
都会の雑居ビルにひっそりとあるのです。

小さなテーブルと大きなイス。
そして患者用のイスが1つ置いてあるだけの小さな診療所には、
看護師のフサコさん、そしてロバと豚、イヌとネコ、
そしてニワトリがいます。

先生の治療はお薬を使いません。
ただ、フンフンと患者さんのお話しを聞いてあげるだけです。

ただし。
この『聞いてあげる』というのが、
できるようでなかなかできないものなんですね。

だからか、ゲーテ先生の評判を聞きつけて、
今日もどこからか、
患者さんがたくさんやってきます。

先生は患者さんの話しをしばらく聞いた後、
ドイツの文人、
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテの「言葉」を口にします。

先生の本棚には尊敬するゲーテの本が何冊も置いてあり、
先生は暇さえあればドイツ語の本を読んでいるのです。

ゲーテ先生から言葉をもらった患者さんは、
なんだか分かったような分かんないような気分になります。
そして、は決まって歌を歌わされます。

するとどうでしょう。
診療所から出ると、みんなたちどころに元気になっているのです。

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ゲーテ先生役 増原英也(バリトン歌手)

劇『ゲーテ先生の音楽会』

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劇『ゲーテ先生の音楽会』というのを、
2014年のクリスマスと、
2015年のゴールデンウィークに上演し、大いに盛り上がりました。

劇として2回、上演してみたことで
『ゲーテ診療所』という設定に大きな可能性を感じ、
このたび映画化することにしました。

この劇『ゲーテ先生の音楽会』は、
「歌と音楽と演劇を組み合わせたものをカフエでやりたい」と
 バリトン歌手である増原英也さんが
企画してくれた所から始まったものです。

増原さんは沖縄の大学に入って、
その後、何を思ったか芸大の声楽科に入学して、
そののちイタリアに留学してみたり。
もともとお父さんがみんなで楽しめるような劇団を主宰されていたり、
そういうこともあってでしょう。
「カフエでやることに意義がある、
この際、無茶なことをやりましょう」と、
『ゲーテ先生の音楽会』をやろうやろうと勧めてくれたんですね。

宇田川町店には、ちょっとした「小上がり」がありまして。
演劇をやるなんてそんな立派なものじゃなくてですね、
えっここ?っていう感じの「小上がり」。
あすこにはブビンガという木の一枚板の大きなテーブルがありましてね、
カフエマメヒコ宇田川町店の客席の
およそ70%は占めるであろうブビンガ製のテーブルほか、
もうどうすることもできない。

そこでね、いわゆるどこぞのホールで歌っているオペラ歌手と、
演劇、歌、音楽を気軽に楽しめる会をやろうと。
できれば食事もついていたらいいねとかなんとか。
それで『ゲーテ診療所』を舞台にした劇を2時間半やりました。
冬の時はバッハのコラールがテーマでした。
賛美歌「主よ人の望みの喜びよ」をみんなで歌う。
春の時はドイツ・リートがテーマで、
シューベルトの「野ばら」や「ます」、
シューマンの「詩人の恋」なんかを歌いました。

おかげさまでお客さんも大勢来てくださって。
終わってみたらすごく高揚したものになっていました。
2時間半、お客さんは笑いっぱなしだし。
最後はスタンディングオベーションで、
感動したと泣いてるヒトまでいるし。
普通のヒトの、
普通の生活に、
芸能が宿る。

ドイツの文豪、ゲーテの本を読むとわかるんですけど、
世の中を渡っていくための処世術が書いてある。
立派なことを言い過ぎるとややこしくなるから、
あんまり深く考えるなよ、とかね。
自分のことを嫌いになることほど、
馬鹿げたことはないからね。
人生色々あるけど元気に生きていこう。
そういうことが詩だったり、
小説だったりに手を替え品を替え書いてあって、
あぁ、そういうんだったらね、
これはカフエ向きだなと思いました。

とかくボクらは難しく考えすぎる。
そして、 
考えすぎていよいよわからなくなって、
今度は一切合切、 
投げやりに何も考えなくなる。
これはひとつの病気だとボクは思う。

世の中はあらゆることが誰かの利益のために複雑になってますから。
普通のヒトの、 普通の生活にこそ、世の中があり、
そこにこそ芸能が宿ると
ゲーテは考えていたはずです(ある側面としてですけど)。
カフエでやる『ゲーテ先生の音楽会』こそ芸能であり、
そこに居合わせたお客さんが喜々とした笑顔を見せたのは、
案外今のボクらの周りに、 
芸能って無いのかもしれないなと。

芸能界はビジネスであり、
芸能ではないですものね。
偶然気づいたことですけど、
この『ゲーテ先生の音楽会』は、 
カフエと芸能の親和性を考えるきっかけになったのでした。

わたしたちは、何を目指していけばよいのでしょうか。
世間というものを識ること。
そしてそれを嫌ったりしないことです。
人間というのは劣等感を持ち、
ダメになってくると、
人の不幸しか喜べなくなってくるものです。

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最新作
「ゲーテ診療所 とうさんのティラミス」

■ フォーマット
120分 ハイビジョン
■ 上映場所
カフエ マメヒコ宇田川町店
■ 上映時期
2016年6月24日~
■ ロケ地
北海道・千歳 ハタケマメヒコ
渋谷マメヒコ公園通り店ほか
■ 撮影期間
2015年8月~10月
■ 脚本・監督
井川啓央
■ キャスト
ゲーテ先生 増原英也

監督

井川啓央 いかわよしひろ カフエ マメヒコ 1973年生まれ。
カフェ店主/映画監督、執筆家、料理家。
テレビディレクター、番組制作会社代表を経て、
2005年、東京・三軒茶屋に『カフエ マメヒコ』を開業。
その後、渋谷に公園通り店、マメヒコ宇田川町店を開店。
また2010年に北海道に豆農園『ハタケマメヒコ』を開園。
マメヒコで使う大豆や小豆を栽培している。
マメヒコ宇田川町店には、劇場を持ち、
カフエマメヒコ制作の演劇や映画を上演、上映している。 

カフェが映画をはじめた理由。

『マメヒコピクチャーズ』として、2013年と2012年に
カフエ マメヒコを舞台とした映画(のようなもの)を制作してきました。
そして、それをささやかではありますが、カフエで上映してきました。
カフエが映画を作るなんて。
ボク自身、まるで考えもしないことでした。
そしてみなさんもそうお思いでしょう。
無理もありません。
でもこれには、ちょっとしたいきさつ、『ドラマ』があるのです。
そのことを、ここで初めて披露します。
それはある秋の日の、
ある女性のお客さんとの立ち話しのことです。

ワタシはね、
たくさんの映画を作ってきたものです。

その道のプロとしてね。
けど、今はもうさっぱり。
だって、作っても上映できる場所がないんですもの。
そう、ワタシが見たいような規模の、
サイズ感の映画ね。

そういう映画が見られるようなシアターは少ないし、
だからでしょうね、
多様な映画を作ることはできなくなってしまったの。
それはとっても寂しいじゃない。
つまらないじゃない。
やるせないじゃない。

だってね、
ワタシはそういうのが作りたくて、
この世界に入ったんだからさ。
そうでしょ?そう思わない?思うわよね。

だからね、
ワタシね、
あなたにね、
折り入ってお願いがあるの。

ここをね、このカフエをね、
映画館にしてほしいのよ。

あら、ううん。
いつもいつも、
というわけじゃないの。
たまにでいいの。
1年に数日でいい、
大きな映画館では見られないような映画をやってほしいのよ。

派手じゃなくていい、
きちんと真面目なやつをさ。

カフエという日々を、そのまま映画にしたっていい。
これだけいっぱいのヒトが出入りしてるんだもん。
映画になるようなことはいっぱいあるはずなの。
それは知らないだけ。
毎日起きるカフエの『出来事』のなかに、
きっとたくさんの『ホント』があると思う。

それをね。
あなたは映画にする。
そして、この店に関わる、多くのヒトたちで、
そーゆーものを作れたら、
それはなんて素敵なことだと思わない?

きっと多くのヒトや、
映画人にも夢を与えるわ。

だから。

まずあなたが、
最初の1本を作り、ここで上映なさい。
ワタシはあなたがやるなら、
きちんとお手伝いする。

———

その女性のお客さんが約束をきちんと果たしてくれたおかげで、
1本目は無事生まれ、そしてその反省を活かして2本目を作りました。

 クラウドファンディング

今回、マメヒコでは、
モーションギャラリーの協力を得て、
はじめて、クラウドファンディングを利用しました。
クラウドファンディングとは、クリエイターや起業家が資金調達をする手法として、
世界中で注目されているものです。
制作費の一部の250万円のご支援を募りました。
https://motion-gallery.net/projects/mamehico_pictures

クラウドファンディングのMotionGallery(モーションギャラリー)

https://motion-gallery.net/
クラウドファンディングのモーションギャラリー(MotionGallery)。
みんなの共感を力にクリエイティブなプロジェクトを実現する、
国内最大級かつ手数料最安値のクラウドファンディング・ プラットフォームです。

過去の作品

第2作 「さよならとマシュマロを」 2013年11月公開

前作同様、マメヒコという名前は出てきませんが、
カフェを舞台にお客さんとスタッフとの
人間模様を描いた作品です。
物静かな、なにもバタバタもない、淡々とした作品です。
今回もカフェのオーナー役に田口トモロヲさん、
ほかテレビや舞台で活躍されている役者さんたち
それと店のスタッフ、エキストラで
参加されたマメヒコのお客さんたち、
がひとつの映画を作るところが見どころの作品です。

《監督/脚本》
井川啓央(カフエ マメヒコ)

《キャスト》
メック・・・田口トモロヲ
ルミエール/メックの姉・・・木野花
万四郎・・・古山憲太郎
清水・・・水津聡
ツグミ/ユキの妹・・・三須杏奈
シーボルト・・・田村泰二郎
店員の女の子たち
ユキ・・・富山恵理子
店長ナナ・・・村松えり
アン・・・蔵下穂波
アイ・・・八木麻衣子
ハル・・・小松春菜
サキ・・・神原早紀
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 第1話 「紫陽花とバタークリーム」 2012年公開
2014紫陽花とバタークリーム チラシ

 6月に三軒茶屋のマメヒコで1週間、撮影しました。
マメヒコという名前は出てきませんが、
まさにマメヒコを舞台にお客さんとスタッフとの
人間模様を描いた作品です。
物静かな、なにもバタバタもない、淡々とした作品です。
日常に目をこらせば、それなりに色とりどりだよね、
という作品、作風です。
カフェのオーナー役を田口トモロヲさんが
とても好演してくださっています。
ほかにも、テレビや舞台で活躍されている役者さんたち、
それと店のスタッフ、エキストラで参加されたマメヒコのお客さんたち、
がひとつの映画の中で自然に混ざり合っているところが
一番の見所でしょうか。
《監督/脚本》
井川啓央(カフエ マメヒコ)
《キャスト》
メック・・・田口トモロヲ
あずさ・・・内田慈
村口・・・趙珉和
あずさ/村口の母・・・キムラ緑子
シーボルト・・・田村泰二郎
店員の女の子たち
ユキ・・・富山恵理子
店長ナナ・・・村松えり
アン・・・蔵下穂波
アイ・・・八木麻衣子
ハル・・・小松春菜
サキ・・・神原早紀
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素晴らしい映画について。

その夜、偶々通りがかったボクは、そこでその光景に出くわした。
蛍が飛ぶ夏の夜のことだった。
フェンスに囲まれた小さなバスケットコートが映画館になっていた。
近所の著名(名前を聞いたけど知らなかった)だという
イタリア人監督が自分の作品を上映していた。

映写機とプリントは監督の自前だったんだと思う。
それ以外のたとえば椅子とかは、めいめい観客が持ち寄っていた。
スクリーンはバスケットゴールの後ろの壁だ。
コンクリートにスプレーでFUCK YOU!!と書いてあった。

その映画は、ボクが今まで見たどの。映画よりも素晴らしかった。
けれど、その映画の中味をボクはちっとも思い出せない。
映画が終わると、ただの薄暗いバスケットコートに戻っていた。

あたりは闇になり、蛍が飛んでいた。
台詞はとても聞き取りにくかったし
(時々、けたたましいサイレンを鳴らす
消防車が何度も通過した。それにしてもNYの消防車は
なぜあんなに我が物顔にうるさいのだろう)、

撮影に原因があったのか、はたまた映写機のせいなのか、
ピントは終始ずれていたことが気になった。
けれど、誰もそのことを批判的に言ったりはしなかった。

たぶん。盆踊りみたいなものなのだ。

盆踊りにダンスとしてのクォリティー、音楽センスのまずさを、
問うことに意味がないように、
その映画に一般的な尺度を持ち込むことはつまらないことなのだ。

つまらないことに気を使うことほどつまらないことはない。
上映が終わり、誰かが持ち寄ったサングリアとピザを
観客も監督も食べ、ひとしきり食べ終わった後で、
彼らは再び同じ映画を見始めた。

夜の公園がまた白明るくなり、蛍が消えた。
ノースリーブの太ったイタリアンマンマに反射した
映写機の灯りがまぶしかった。
それとは関係ないけれど、マメヒコ飯店で
映画が見れたらいいのにと思った。
どうせ日曜日は定休日で閉まっているのだ。

気軽な映画が見れたらいいのに。
それで気軽に自分たちで作ることにした。
ケーキやお菓子を作る。自分たちの手で作る。
一事が万事そうしてきた。カフエを始めるとき、
そうしようと決めたのだ。
いまも今後もそのつもりだ。
それと同じ感覚で映画を作ってみることにした。
カフエ マメヒコを舞台とすればボクらでもできる。
イヤ、ボクらにしか作れない。
マメヒコの店員たちとお客さんとの間に起こるドラマなら
いくらだってあるんだ。

映画を作りますと言い出してから、
あっと言う間に時が経ち、
ついに映画が完成した。
気楽にヨイヨイとできました、ということもなかったけれど、
多くの皆さんの甚大なるご協力で、
ヨイヨイとできた部類だったと思う。お陰様で。
あとは、多くの皆さんに見てもらわなければなりません。
撮影に関わってくれたすべてのヒトたちが素晴らしかった。
そして出演してくれた皆さんが素晴らしかった。

こういう言い方は失礼かもしれないけれど、
みんな上手い下手を越えて素晴らしかった。
上手い下手を越えた素晴らしさを持つ映画がボクは好きだ。

バスケットコートの映画が、
ボクの中で一番素晴らしいピクチャーである理由もそこにある。

 2012年第1作紫陽花とバタークリーム完成に寄せて。

 

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