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みんなたちへの豆教室 VOL.28

みんなたちへの豆教室 VOL.28

 

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遠軽に住む豆商人の長谷川さんを乗せて車で30分。
湧別の農家、平間さんのおうちに着いたときは在来種の豆の収穫の真っ最中でした。
今年の秋はね。ほんとに北海道はあったかかったそうです。

平間の母さん「こんなぬくい年はないね。クヒャヒャヒヤヒャ」

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それでも。東京から行ったボクにはオホーツクの風は冷たく、一日中、外にいたらすっかり冷えちゃう。
だから一緒に豆の脱穀作業を手伝いました。

いやもとい。

あぁいうのは手伝ったなんて、言ったらいけないです。
ただ邪魔したに過ぎない。

さや付きの乾燥豆を抱えて脱穀機に突っ込んでいく単純作業ですけど。豆の殻はとっても痛いんです。
平間の母さんは全身に豆を抱えて、脱穀機に何十キロと投げ込んでく。
手なんて巻き込まれたら一瞬で亡くしてしまう古い機械に、ぼんぼんぼんぼん豆を投げ込んでいく。

でもボクにはそんな真似できないんですね。

軍手でも貸してくれればいんだけど、手にとげがささっちゃってできない。
ユニクロのフリースなんて着てったもんだからね。脱穀機からはじかれたとげが全身に刺さる。

だから、あんな程度を手伝ったなんていうのは都会の人の嘘で、ちょろっと訳知り顔で邪魔してきただけなんです。

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お宅まで上げてもらい、お茶もお茶請けもごちそうになって、それでもご夫婦でうれしそうな顔をされてね。
突然の押しかけにも、遠いところまでよく来た、よく来たと言ってもらってね。
きっとボクの名前も覚えてないと思います。
それでも、最後の最後まで姿が見えなくなるまで車に手を振ってもらいました。

失礼だったんではないかと、ずっとそう思ってました。
ボクならあんな顔で迎えられない。
イヤな顔すると思います。

東京でカフェやってますから是非いらしてくださいね。
そう言うことで、なんとか小さな心のとげを抜きたくて、ご夫婦に何度も言いました。
けどお店に来られることは、おそらく無いと思います。
東京でカフェをやってるってなんて意味が、わかんないと思います。

そのとき子供の頃読んだトルストイ原作『イワンのバカ』がぱぁっと、よみがえったんですね。