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みんなたちへの豆教室 VOL.15

みんなたちへの豆教室 VOL.15

 

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今はもう面影ないですけど、ひところは北海道の駅と言えば風情があって素敵だった。
哀愁がただよって。
いま、北海道の駅は、惨憺たるものです。
風情もなにもない。
それでもあるだけまだましです。
廃線になって駅そのものがなくなったところもいっぱいあります。
国鉄・広尾線もそのひとつです。

農産物の運搬のために開通し、ひところは相当賑わった。
けど時代とともに、トラックが物流の主流になり、昭和61年に廃線になった。

帯広-依田-北愛国-愛国・・・野塚-新生-広尾まで。
全部で17の駅です。

駅名というのは、関係ないひとにとっては関係ないですけど、
少しでもゆかりのあるひとにはね、

一つずつ、にじむような思い出があるものです。

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ミドリ「(涙ぐみながら)なっつかしいねぇ。広尾線じゃないか。
(煙草に火をつけながら)オビヒロ・・・ヨダ・・・キタアイコク・・・アイコク。
・・・・。
あたしの駅の手前でさ、終わってるじゃないか(号泣する)」

帯広-依田-北愛国-愛国-大正-幸福-中札内-更別-上更別-忠類-十勝東和-大樹-石坂-豊似-野塚-新生-広尾。

ゴロウ「全部書いたから、泣クンジャネェヨゥ」

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その当時、「愛の国から幸福の道へ」ということでね。
新婚旅行にこの電車にわざわざ乗りにきて、幸福駅で写真を撮ったり、切符を買ったり。
そういう新婚夫婦やカップルがたくさん、たくさん、いたんだそうです。

のどか過ぎて胸が少し痛くなりますね。

「愛の国から幸福の道へ」。

駅舎に立つと古い写真が貼ってあります。
彼と幸せになります。と写真が貼ってある。
もうその駅も線路も使われてないんですから。
胸がチクリと痛みます。

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話しを戻すとその「愛国」と「幸福」の駅の間の「大正」村で、
その中村さんの豆をいっぱい増やして、どんどん収穫したから
「大正金時」というそうです。

北海道立十勝農業試験場というところがあってね。
種の開発を、お金かけてせっせとやってるところです。
道立ですからまぁ税金を使ってね。
北海道にふさわしい良い種を作ろうと日夜研究してる。

この試験場で今までに作ったり研究した金時豆をざっと資料からひろいました。

長金時1号、紅金時、鶴金時、美瑛金時、手無鶴金時、大正金時、白金時、新金時、昭和金時、十勝白金時、福白金時、北海金時、丹頂金時、福良金時・・・。

金時豆と申しましてもね、ものすごい数あるわけです。
お金をかけて研究してるということは、当然狙いがあるわけです。

北海道は寒いところで、あんまり豆作るには向いてないんだと小豆の時に言いましたね。
だから。
北海道で良い豆というのは、誤解を恐れずに言えば、まず美味しいことよりも、安定的に穫れるものをいうわけです。
美味しくなくていいんだ。ということはないけれど、まず穫れなければ話しにならないという理論が先に立つ。もっと言うと作りやすくて売りやすいものの研究が優先される。

たとえば、豆にとって霜が天敵だと。
それなら霜に当たらないような種をつくらなくちゃ。
春の霜が出なくなった頃にまき、秋の霜が下りる前に収穫できれば霜に当たらない。
頭いいでしょ。
それには生育期間がうんと短いほどいい。
そういうものを「早生(わせ)」っていいます。

北海道の豆は早生じゃなくちゃ困る。
早生であればあるほどよい。
今日植えて、明日収穫できるものができればこんないいことはないよね。
さらに早生なら金時が終わった畑に秋まき小麦も植えられる。
これもすごくくいい。二毛作できますから。

まぁすごいお金をかけて研究しても、いまだ「大正金時」を超えるものが出ないんですから、偶然の産物「大正金時」というのは、まぁすごいんですね。

でもね。
「大正金時」も同じ畑で半世紀近く作ってるからか、やはり昔に比べてどんどん小ぶりになってきてるんだそうです。
小ぶりなのは東京の人は嫌がる。
それで農業試験場で早生で大粒で多収の「福勝」=フクマサリ、とか、「福良金時」=フクラキントキとかを開発して、大正金時の時代は新しい後継種にとって変わられようとしてるんだそうです。
金時豆と申しましても、色んなことがあるものです。