「円パン」の経緯

マメヒコの円パン。パン生地を丸い型に閉じ込めて焼いた、美味しい形をしたパンです。さて、人気が高まっているマメヒコの円パンについて、今回はそのこだわりをご紹介します。かつてマメヒコパートⅢというお店が、あったことをご存知でしょうか。周辺の再開発のため惜しまれつつも閉店しましたが、ここには、マメヒコのパン工房がありました。

そしてここで、サイフォンコーヒーとともに、厚切りのトーストをお出ししていたのです。お客様はけして多くはないお店でしたが、この厚切りトーストが大好きだと、楽しみに通って来られる方がいらっしゃいました。この店を閉店してからしばらくして、

「あの厚切りトーストを復活させてほしいわ」。

そうおっしゃるお客様がたくさんおりました。厚切りトーストというのは、食パンの中にある水分を、厚切りすることで、閉じ込めることが狙いです。そうすることで表面はサクサク、けれど中はしっとりとしたトーストになるのです。

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せっかく生クリームや牛乳をふんだんに使った生地なんですから、生地のミルク風味を味わっていただきたい。
試行錯誤の中で、食パンの厚切りトーストを、各店のオーブントースターで焼いても、あの味は出せないことに気付きました。なんとか、お客様が口にするまで、風味を閉じ込められないか。これが円パン誕生のきっかけとなりました。 

ひとつずつ型に入れる

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マメヒコパートⅢは古き昭和の食文化を提案する。そういうコンセプトで作ったものです。目まぐるしく変わってゆく渋谷に、古きよきものを提案したかったのです。
トーストとサイフォンで淹れる珈琲。パンは型に入れて焼く「角食、食パン」の生地にこだわって。とんかつを提供したのも、昭和の食文化の代表だからでした。

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「角食」というパンは、もっちりした食感が特徴です。これはお米を食べている日本人らしい食文化です。このもっちりさを出すために、生地にはぎりぎりまで水分を入れます。そしてそれをきちんとふたをした型で、いわば蒸し焼きにするのです。

ところがせっかく蒸し焼きにしているのに、薄切りにしてトースターで焼いてしまうと、水分がすべて抜けてしまい、時間がたつとカサカサになってしまいます。これでは生地にたっぷりミルクを使っているのに残念です。そこで、お客さんに提供するひとつずつを、型に入れて焼いたらどうかと思いつきました。
そのとき小さな、スポンジを焼くケーキ型が目に留まりました。これに生地を一つずつ入れて焼いたらどうかと。

マメヒコの食パンは耳まで美味しいし、一つずつ型に入れて焼く円パンのアイデアはここで生まれました。
一人のお客様のパンを、ひとつずつ丁寧に焼く。東京では様々なパンが食べられます。
そのなかで、カフエが焼くパンは、「あなたのために焼く」というほうがマメヒコらしいと思ったのです。

全粒粉円パンの生地は水分が多く、油分がないため柔らかくくっつきやすいので常に打ち粉をしながら作業します。
そして一次発酵へ。ホイロという、湿度と温度が発酵に適した状態に保つ装置に入れます。発酵の進み具合は気候やその他の条件で毎回違うので、適切なタイミングを見極めるにはコツが必要です。一次発酵が終わったら、生地を型に合わせて分割し、整形します。

生地はとても柔らかいので扱いには細心の注意が必要です。整形しているうちにしわができ、空気が底に集まってしまうので最後につまんで空気を抜いたり、焼き上がった時に型とくっついてしまうのを避けるため、型に入れる前に全粒粉をまぶしたりします。製造現場からすれば、本当に面倒な手順ですが、それでもやっぱり、美味しいものを食べてもらいたいのです。型に入れた生地を、ホイロに入れて二次発酵させます。そして二次発酵が終わったら、ついにパン焼き用のオーブンに入れて焼いていきます。

釜に入れるときも、それぞれの生地の発酵の具合を見ながら発酵の進みが遅いものは奥の温度の高い場所へ進んでいるものは手前へ入れて焼くという気配りがここにも。焼き上がりをなるべく均一にするためです。

焼く時は、天板4枚を重しとして乗せます。
こうすることで、天井が平らに焼きあがります。

焼きたての味わい

こちらは焼きたてほやほやの円パン。 きれいに焼きあがりました。

リッチな円パンの焼きたては柔らかくて、
ちょっと押されただけでつぶれてしまうので
リーンな全粒粉円パンよりやさしく取り出していきます。
型からひとつずつ取り出したら、冷まして完成です。


焼きたての円パンの断面を見てみましょう。

左のリッチな円パンは高密度でしっとりとしています。口頬張ると、濃縮ミルクの風味が漂い、全体的に味がしっかりしている印象です。もちろん、食事に合わせることもできますがまずはバターとあんこやジャムを合わせて、円パンを主役にして食べるのがおすすめ。

右のリーンな全粒粉円パンは、空気をたくさん含んでふかふかしています。こんがりと焼けた全粒粉のほのかな香ばしさを感じます。焼きたての状態だと中も外もふわふわですが、トーストすると、表面はかりっと、でも中はふわふわのまま。

この食感が楽しいのでトーストして食べるのがおすすめです。材料がシンプルなぶん、主張の強くない、素朴な味わいで食事と一緒に食べても、おかずの邪魔をせず、むしろ引き立てにまわる名脇役です。

カフエで召し上がるなどして、もしお気に召したらマメヒコのwebショップでお買い求めいただけますので、ぜひ、ご利用くださいね。ご自宅でも、円パントーストや円パンサンドがお楽しみいただけますよ。